デジタルハリウッド東京本校 ブログ

【東京本校/授業ブログ】
マーザ・アニメーションプラネット株式会社特別授業
映画/ゲームシネマティクス/リアルタイムCGから見る最新シネマティクス

2016-10-15



こんにちは。専科3DCGデザイナー専攻の田中です。

2016年9月14日にデジタルハリウッド東京本校にて実施されたワークアウトプログラムでは、マーザ・アニメーションプラネット(以下:マーザ)のスタッフの方々にお越しいただき、「長編映画制作のワークフロー」、「ゲームシネマティクス制作」、「最新ゲームエンジンを利用した映像制作」という題材で三部にわたってお話しいただきました。

私はアニメーション映画制作を志向してデジタルハリウッドでCGを学んでいるので、映画制作をミッションに掲げるマーザの方にお話を伺えることを、以前よりとても楽しみにしていました。

第一部「ストーリーボードから始まる長編映画制作のワークフロー」

第一部では、長編映画制作チームより、「ストーリーボードから始まる長編映画制作のワークフロー」というトピックでお話しいただきました。

まずはライティング・コンポジット・エフェクトマネージャーの波田琢也さんより、「最高の物語を、世界中のこどもたちへ」という会社のビジョンを、映画の制作工程でどのようにして体現しているかというお話でした。

マーザでは、アートチーム、TDチーム、キャラクターチームといったように、スペシャリストによりチーム編成がされ、「TRUST&RESPECT」や「FAMILY」といったコンセプトをもとに、互いのコミュニケーションを大切にすることで、ビジョンを守りながら高品質な映像制作を可能にしている、とのことでした 。

私が印象に残ったのは、映画作品「ロボドッグ」が、アメリカ出身の監督、スタッフの3分の1が海外アーティストという国際色豊かな環境で進められていたことでした。

多国籍なアーティスト達が海を越えて一つの映画を創るのは、決して容易なことではないと想像できますが、世界中のアーティストとコミュニケーションを取り合ってグローバル水準の映画を創るという仕事は、非常にやりがいのある仕事だと思います。

次に、ストーリーアーティストの木下宏幸さんより、具体的にストーリーボードをどのように作成するのかをお話しいただきました。

ストーリーボードとは、誰がみても話を理解できるように連続して描かれた絵コンテ(映像)であり、その作成のために英語で書かれた脚本を、「ストーリーの骨格」を参考にしてビジュアル化していくそうです。

そしてカメラ配置の演出、アクティング(どう演技をつけるか)、編集を経て一連の動画であるリールが完成されるということでした。
ユーモアのあるイラストを交えて説明いただき、仕事のやりがいがこちらにも伝わってくるおもしろい講義でした。



次に、上記のリールから、CGキャラクターの制作をどのように進めるのかを、キャラクターチームマネージャーの赤木達也さんよりお話しいただきました。
「キャラクターチーム」とは、モデラー、リガー、アニメーターが一緒になり、いいストーリーを伝えるために必須であるキャラクターを制作するチームです。

意外だったのは、それぞれの工程で作りこまず、途中段階で次の工程にまわし、必要があれば修正を加えていくとのことでした。
時にはアートにまで工程を戻し、デザインから修正することもあるようで、工程を行き来しながら試行錯誤することで、キャラクターをブラッシュアップしていくとのことでした。

映画において大切なのは、「キャラクターを魅力的にする」ことなので、自分の専門領域に固執せず、担当の工程を越えた広い知識をもって、映画をよりよくするための提案ができるような人材になろうと思いました。

最後に波田さんより、世界観設定についてお話しいただきました。
ストーリー、キャラクター、世界観といった映画で守るべき最も大切な三項目のうち、世界観をどのようにして守っているのかというお話でした。

「ビッグピクチャー」をもつこと、現実のものを実際に撮影しそれを参考にすることなどを通じて、世界観を守る努力をしているとのことでした。

 
エフェクトマネージャー・波田琢也

第二部「ゲームシネマティクス制作の舞台裏」

第二部では、ゲームシネマティクスチームより、「ゲームシネマティクス制作の舞台裏」という題材でお話しいただきました。

主に制作しているプリレンダリングムービーを、クライアントから受注を受け納品するまでにどのように制作しているか、ワークフローの詳細を説明いただきました。
こちらのチームでは、映画制作チームとは異なり、案件ごとに得手不得手があるため、多くのジェネラリストが在籍しているようです。 

第三部「リアルタイムエンジンを使用した映像制作」

第三部として、ゲームエンジンチームより「リアルタイムエンジンを使用した映像制作」についてお話しいただきました。

こちらのチームでは、上記の二チームとは異なり、プリレンダーCGではなく、リアルタイムCGを使用しているとのことでした。

従来ゲームで使われてきたリアルタイムエンジンが、GPU、ソフトウェアの発展により近年急速に成長し、映像で用いられるプリレンダリングにクオリティが追いついてきたことを背景にして、リアルタイムエンジンを用いた映像制作を新たなミッションに活動されているようです。

アンリアルエンジンで作成された短編映像「HAPPY FOREST」をみせていただきましたが、プリレンダーとの差が私の目では判断できないほど高品質な映像で驚きました。


最後に、リアルタイムCGとプリレンダーCGそれぞれの長所や短所や、(前者はレンダリングコストを圧縮しトライ回数を増やせるのに対し、後者はコストがかかる絵をリッチに生成できるなど)工程ごとのそれぞれのレンダー結果の違いなどを説明いただき、マーザでは、リアルタイムCGのメリットを活かしてプリレンダーに近い映像を制作することを目的に活動をしていると締めくくられました。


キャラクターチームマネージャー・赤木達也


今回のプログラムでは、約二時間という長丁場の中、異なる部署、担当の方々よりそれぞれの立場から具体的なお話をいただき、とても有意義な時間となりました。

自分も映画の映像制作現場に通じる実力を早く身につけられるよう精進しようと、意欲が掻き立てられました。

貴重なお時間を、本当にありがとうございました!

マーザ・アニメーションプラネットで活躍中の卒業生も!

異業種のカフェスタッフから、デジタルハリウッドで1年間学び、マーザ・アニメーションプラネット株式会社に転職した卒業生もいます!現在はプロジェクトマネージャーとして、活躍していらっしゃいます。


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