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【イベントレポート】あの映画の舞台裏を大公開!映画「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」メイキングストーリー

2016-10-07

こんにちは。デジタルハリウッド東京本校の松本です。

2016年8月24日に本学にて開催されました、映画「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」のメイキングストーリーのレポートを公開いたします!

本学初めての、スクウェア・エニックス様のメイキングセミナーということもあり、
120名にも及ぶ方にご参加いただきました!!

映画館でご覧になった方も多いと思いますが、え、これがフルCG!?と息を呑むほどのリアルな長編映画です。


ハリウッド越えとも称される本作品は、スクウェア・エニックスが国内外のCGプロダクションを牽引して制作した作品です。

今回、その制作に携わられたスクウェア・エニックスの第2ビジネス・ディビジョン ムービーチームと、国内外のCGプロダクションとの制作に至った経緯について、ディベロップメントマネージャーの鈴木岳雪氏より、ご紹介をいただきました。

本作品は場面数が膨大な量だったため、その量をこなすために、様々な企業と連携することが始まりだったようです。

ここからは、各セクションでの制作の”こだわり”について、お聞きしました。

第1部 ~メイキングストーリー~

(左から)柿坪 巧彌 氏 / エンバイロメントスーパーバイザー、中野 崇 氏 /キャラクターモデルスーパーバイザー、小林 志帆 氏 / キャラクターリギング&シミュレーションスーパーバイザー、川村 茂 氏/アニメーションスーパーバイザー、佐藤 英 氏 / シーケンススーパーバイザー

【バックグラウンド】~世界観を演出する背景の制作工程~

パートナー企業と制作工程の共有を徹底するため、世界観のロケーションモデルや仕様書、必要なデータセットやデザイン画像などをセットで渡していたとのことです。

どれほどのデータ量になったのか、それを考えるだけで驚きます。

【キャラクターモデリング】~意外とアナログ?”髪型”はヘアウィッグから~

本映画に登場するキャラクターは、実在の俳優をベースにモデルからアニメーションまでキャプチャして制作されていることでも話題となりました。

モデリングで特に印象に残っているのは、下記の3点です。

  • スタッフ全員と共有するためのキャラクターデータを制作
  • ”髪型”はヘアウィッグで形状を固めることからスタート
  • “バイザー(ヘルメットのようなもの)”の制作は、形状とパーツ毎の動作を確認

ヘアウィッグの登場には驚きでしたが、FFシリーズのキャラクターに多い、少し特殊な髪型は、実際に立体として見て形状を確認してからの方が作りやすそうです。

バイザーのような動きがあるアイテムについては、アニメーションに伴う形状など、別パートの人たちに説明することも多い為、しっかりと考えることが必要とのことでした。

このデータを共有していく際は、不正ポリゴン・めりこみ・顔のメッシュの流れ、UV、テクスチャの形式、ヘアー、シェーダーの設定・・・など、細かいところまで確認されるとのことで、これまた確認項目の多さに舌を巻きました。

【キャラクターモーション】~リアルな人間性を持たせるために~

ボディ・フェイシャルの動きの両方に、モーションキャプチャデータが使用されています。しかし、ジャンプの動きや剣を振り回すような激しい動きについては、手付けで制作されたとのことです。

■キャプチャ、手付での制作の違い
制作のスタート地点で既に違いがあります。

  • 手付アニメーションの場合

ブロッキング(誰が見ても分かるアニメーションのアイデア)でカメラも意識しつつ、流れを作っていきます。

  • キャプチャアニメーションの場合

脚本家やディレクター、レイアウターによってシナリオや絵コンテを作成後、撮影、レイアウト、調整作業に続きます。

場面レイアウトとキャラクターデータを合わせ、体の向きや動き、バランスなど、アニメーションの調整が為されていきます。特にフェイシャル(顔)アニメーションは、目元や口の動きのぎこちなさがなくなるよう、調整がされていきます。

この一手間を加えることで、CGキャラクターに命が吹き込まれ、リアルな人間性を持たせていきます。


【クロスシミュレーション】~より綺麗なシルエットとするために~

キャラクターの纏う衣服では、Mayaの他、マーベラスデザイナーという既に服の型紙データを持つ、便利なソフトを使用されたとのことです。

すぐにクロスシミュレーションモデルを制作でき、細かい調整を加えれば実際の衣服構造に近いものとしてデータを作成できるため、大変重宝されたようです。

衣服の細かさを決めるポリゴンメッシュは、細かくすればするほど柔らかく、皺の入りやすい布地の質感に、厚くすればするほど、厚めのレザーやベルトのような固い、粗めの質感が出せるようになるとのことでした。

【ライティング】~場面の見栄えを決める照明設定~

シーケンス(ロケーションごとに分割されたシーン)が一手に集まるパートです。
膨大な量のデータを効率良く作業を進めていくために、シーンデータを集約する為のツール開発が行われたとの事です。

また、この作業では、ライティング(照明)の設定がかかせません。より良い見栄えを追及するために、演出を配慮しつつ、明るさの定義を決めて行きます。

時に現実に即しすぎると見栄えが良くないこともあるため、一番見栄えの良いライティングも探ります。

そして、ようやく完成です!
ファイナルレンダリングでは、シミュレーション結果との差が出ないように注意しながら、データの軽量化も同時進行します。

第2部【座談会】
~絵が描けずとも、”絵心”があれば、アートディレクターを目指せる!~


(左から)内藤 哲 氏 / チーフディベロップメントマネージャー(デジタルハリウッド卒業生)、北川 哲一郎 氏 / テクニカルスーパーバイザー(デジタルハリウッド卒業生)、 井手 弘人 氏 / アートディレクタ

第2部では、アートに携わる皆様にご登壇いただき、作品の最終的なゴールを設計するアートディレクションにまつわるお話を、本学在校生・卒業生の質問を交えながらお話いただきました。


 コンセプトアートを作る際、3DCGベースで作ることが多かったとお聞きし、驚きました。


通常、コンセプトアート=手書き/アナログ/2Dイラスト、のイメージが強いですが、3DCGで作るアートディレクションの仕事もできるとのこと。

Q.アートディレクターになる人の素質や背景を教えてください。

2Dグラフィックを勉強していた人の最終ゴールは多いかもしれませんが、3DCGをメインとしてきた人でも、“絵心”を培った人なら目指せると思います。私(井手氏)も法学部出身です。
ただ、時代や地域などどのようなロケーションにしていきたいのかをしっかり学び(調べ)、制作に活かしていく必要があるので、表現力を磨くための知識は必要です。

文系出身でクリエイターに方向転換されている方などは、業界に結構いますよ。
3DCGデザイナーを目指す人のゴールとしても、コンセプトーアーティストを目指すのは一つの方向性としてあると思います。

そんなアートディレクションの世界ですが、設定は、文章からスタートします。細かい所を詰めていき、シナリオとリンクをさせていきます。

3Dコンセプトアートは、そのまま動画として書き出せるため、動かさないとわからない部分をすぐに確認し、制作を進めやすいという利点があります。



―今回、映画の建物はデザイン西洋風の建物をイメージしながら、日本の建築物と融合しているとのことです。

Q.パートナー企業はどのように選んでいったのですか?

アポイントを取ることもあれば、クリエイターとして働くうちにできたコネクション、各社の先輩、後輩にお願いをしたり、と地道に声を掛けました。

Q.海外パートナーと制作する上で、文化的な違いの壁とかありましたか?

東京のネオン街をイメージした町並みなどは、ヨーロッパでは一般的ではないので、伝わりにくかったです。
そのため、ネオン街の写真を渡したり、現地の世界観と近いものからイメージを寄せていったり、と丁寧に伝えるようにしていました。

Q.海外のCG/ゲーム業界をどのように意識していらっしゃいますか?

ハリウッドの大作やゲームとか押されている部分はあると思いますし、学ばなければいけないことも多いですが、海外と一緒に働くことを受け入れられていること、知らないところで敬意が払われていることを感じます。

これからも先陣を切って、日本からコンテンツを発信していきたいですし、あとに続くように動いていかなければいけないと考えています。

Q.最後にデジタルハリウッド卒業生の内藤様からCGクリエイターを目指す後輩に一言メッセージをお願い致します。

私も19年前まで、皆さんの席に座って、セミナーを聞いていた立場でした。
学校で学ぶこと、受講生のときに覚えたことは始まりでしかありません。
少しでも早く、業界に足を踏み入れて、多くの経験を積んで成長していただきたいと思います。

一つ一つの作業で、細かいところまで気を使われていること、それをパートナー企業に共有されていることを考えると、驚嘆するばかりです。

貴重なお話を聞かせていただいただけではなく、本学の受講生からの質問にも色々とお答えいただき、誠にありがとうございました!

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