こんにちは。
デジタルハリウッド東京本校の中村です。
前回からだいぶ。
だいぶ時間が空いてしまいすみません。
スタッフ中村がデザインに関する話題をご紹介する「Trend Reserching」
やっとこさっとこ、vol.3をお届けしたいと思います。
今回取り上げるのは「AI」
アイ、ではなく、エーアイ。人工知能です。
これもずっと取り上げようと思っていたワードの一つ。
最近テレビなどでもよく取り上げられるようになってきたので、
聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
今日はこのAIをどう捉えていくかにも触れながら進めていこうと思います。
毎度おなじみのエト牛さん。
囲碁AIが世界のトップ棋士に勝利
先日、Googleの囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」が世界のトップ棋士を破ったことが
各メディアで話題になりました。
一手一手の選択肢が星の数ほどあることから、宇宙に例えられることもある囲碁。
あまりに膨大な手があるため、AIが人間に勝つにはまだまだ時間がかかると言われていましたが、
テクノロジーの進化により、研究者たちの予想よりも早くAIがプロ棋士に勝利することになりました。
そもそもAIとは、人工知能のこと。
Artificial intelligenceの略です。
一般的に、機械やモノが人間と同じような知能を持つことができる技術のことを指します。
近年、このAI技術の急速な発達を促したと言われている仕組みがあります。
「ニューラルネットワーク」
脳を構成している神経細胞、ニューロンと同じ役割を人工的に作り上げようとする仕組みのことです。
この仕組みを丁寧にお伝えしようとするととんでもなく難しい話になってしまうので、
難しい部分はちょっと割愛させていただき、今までより何が進化したかを簡単にお伝えしますと…
今までのAIは膨大な数のパターンを覚え込むことで最適な答えを導き出していたため、パターンを見つけることが難しいものは対応することができませんでしたが、
このニューラルネットワークによって、法則をあてはめることができないと考えられていた複雑な作業も、少しずつできるようになったこと。
これが今までと変わった点です。
自らの経験から考え、答えを出すことができるAI
また、2012年、グーグルとスタンフォード大学が、AIに猫を認識させることができたという研究成果を
発表しました。
動画投稿サイト、YouTubeから無作為に選んだ1000万枚のネコの画像をコンピュータに入力し
読み込ませることにより、ネコの顔を認識できる人工ニューロンが作り出されました。
「これが猫の画像だ」と人間から言われなくても、画像に含まれている猫の特徴を探し、
AI自ら学習を重ね、画像を認識できるようになったのです。
この出来事は、AIが人間の手を借りずに自ら学習できることを証明したとして、研究者たちを驚かせました。
AIが自分の経験から学習し、適切な答えを出すことができる。
つまりこれは、AIがパターンを覚えるのではなく、人間と同じように、自らの経験から考え、
判断することができることを証明する研究になりました。
(このような猫の画像をひたすらAIは読み込んでいったのでしょう。
あまりに猫がかわいすぎて、画像を選ぶのに結構な時間を割いてしまったのはここだけの話…)
強いAIと弱いAI
ですが、全てのAIが人間にかなり近いレベルで自ら物事を考え、
判断することができるわけではありません。
AIには大きく分けて二つあると言われています。
それは、
「強いAI」と「弱いAI」
カリフォルニア大学のジョン・サール教授が提唱したものです。
教授は弱いAIを「知能を持つ機械」、強いAIを「人間の知能の代わりを一部する機械」と
位置づけています。
少し漠然としているので、教授はこれをさらにイメージしやすい言葉で説明しています。
According to weak AI, the principal value of the computer in the study of the mind is that it gives us a very powerful tool.
…教授の論文から引用しましたが、まさかの英語ですね。
とってもざっくりと言うと「弱いAIは強力な道具である」
But according to strong AI, the computer is not merely a tool in the study of the mind; rather,
the appropriately programmed computer really is a mind,
in the sense that computers given the right programs can be literally said to understand and have other cognitive states.
さっきより長く引用してしまいましたが、こちらもとてもざっくりと言うと
「強いAIは正しいプログラムを組み込めば、まるで心のようなものを持つことが出来るもの。」
弱いAIは道具に過ぎないが、強いAIは心を持つ可能性があるもの、というニュアンスだと思います。
こちらの方がピンと来る方もいるのではないでしょうか。
では具体的にこれらのAIは何ができるのか。
弱いAIができること・・・乗換案内、道案内、翻訳、チェス・将棋などの専用のAIなど
これらは私たちの日常生活にはすっかり馴染んでいますね。
一方、強いAIにできることはというと、
会話する、ジョークを理解する、未来を予想する、嘘をつく、など。
これらはパターンを覚えればできるようになることではありません。
自ら考え、判断することが不可欠です。
私たち日本人が慣れ親しんだあのキャラクター、鉄腕アトムやドラえもんはまさに強いAIの代表例。
作品の中で描かれていた未来が、もう本当にすぐそこまで近づいてきているのです。
これからのクリエイターに求められること
AIでよく取り上げられる話題の一つが『2045年問題』
コンピューターの能力がこのまま上がっていくと2045年にはコンピューターが人類の知能を超えると考えられている問題です。
そのため今、AIの進化によって仕事が奪われるのではないかという議論が活発になってきています。
「奪われる仕事、生き残る仕事」などと言った特集が組まれているのを見たことがある方も
多いのではないかと思います。
デザイナーなどのクリエイティブな仕事はAIに代わられることはまだないのではないかと考えられていましたが、
そうではなくなりつつあります。
一例をあげると、webデザインにおけるコーディングやプログラミング。
これはいずれAIが行うようになるだろうというのが大方の意見です。
今でもwebサイト上には洗練されたテンプレートがたくさんあります。
そのテンプレートを使えば、以前よりもだいぶ簡単にwebサイトが作れるようになってきました。
すでにAIが自動でwebサイトを制作する『The Grid』というサービスも登場しています。
ではデザイナーやプログラマーなどの仕事がなくなるのかと言われると、
決してそうではないと思います。
ですが今までと求められることは、少し変わるはずです。
コーディングやプログラミングのスキルではなく、これから私たち人間に求められるのは
『0を1にすること』ではないかと感じています。
AIは私たち人間が考えた問題に対して、どういうデザインにすればいいか、
どのようにシステムを組めばいいのかを考えることはできますが、
「何を問題として設定するのか」
「何のためにデザインをするのか」
の部分を考えることは、私たち人間がしなければいけないことだと思います。
だからこそ、これからクリエイターには、デザインのスキルだけではなく、
『企画を考える力』
『解決すべき問題を定義する力』が求められるのではないでしょうか。
いつの時代も変わらず大切なものは、
『どんな技術を持っているか』以上に『どんな価値を提供することができるか』
ということですね。
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※ちなみに。
デジタルハリウッドではデザインのスキルと思考力や企画力の両方をしっかり身につけることができます。
気になる方はこちら
そんなこんなでやっとこさっとこお伝えしてまいりました第三弾。
次はもう少し時間をあけずに更新できることを目指して…
引き続きよろしくお願いします!ではまた!