ゲーム業界への就職・転職希望者必見!
現役ゲームディレクター&デジハリ講師が伝授!
ゲーム開発に必要なCGデザイナー・プランナーの視点
こんにちは。デジタルハリウッド東京本校です。
昨今「将来なりたい職業」の上位にランクインするようになった「ゲームクリエイター」や「ITエンジア・プログラマー」また、就活生の間でも今も昔も圧倒的人気を誇る「ゲーム業界のプランナー(企画職)」。
デジタルハリウッドのスクール説明会でもゲーム業界の企画職になるにはどうしたらいいですか?
「ゲームエンジニア」になるためには、何を勉強すればいいですか?
といった質問をよく耳にします。
デジタルハリウッド東京本校の講師は、全員が現役クリエイター講師ということもあり、入学するメリットの1つは、現役のゲームクリエイター、ゲームエンジニアの現場話を沢山きける機会があるということ・・・!
そこで今回は「ゲーム開発に求められるCGデザイナー&プランナーの視点とは?」という題材で、グラスホッパー・マニュファクチュアの現役ゲームディレクターである新英幸氏をお招きし、ゲーム業界で求められるCGデザイナー、プランナーの視点についてお話をいただきました。
新さんは、CGアーティストを経て、アニメーター兼プランナー(企画職)となり、 ゲームディレクターへと栄転されているご経験から、3DCGを武器にどのようにキャリアパスをされたのかをお話しいただきました。
これから、「ゲームクリエイター」「ゲーム業界のプランナー(企画職)」を目指す方には、まさに憧れのロールモデルです。
そんな新さんも実はデジタルハリウッドの卒業生です。
【グラスホッパー・マニュファクチュア】
「LET IT DIE」、「ノーモア★ヒーローズ」シリーズ、「LOLLIPOP CHAINSAW」、「KILLER IS DEAD」など、美麗なビジュアルとカッティングエッジな内容のゲームで業界を牽引するゲーム会社。
まずは現役ゲームデザイナーがCGに惹かれたきっかけとは・・・
誰にでも何かをはじめるきっかけがありますが、新さんの場合はどうだったのでしょうか。
新さん「元々絵を描くこと、デザイン等に興味があり、大学では教育美術を専攻していました。
当時、映画では「ターミネーター2」「タイタニック」などCGが頻繁に使われるようになり、ゲームでは「鉄拳」「バーチャファイター」「FF7(シリーズでは初めての3DCG作品)」などが出てきた時代だったので、自分もそれがやりたい!と感じていました。
しかし、その技術をどのように学べばいいか分からずまだ普及していたとは言い難いインターネットで3DCGが学べる学校を探しました。そしてデジタルハリウッドに入学したのが2000年のことです。」
新さん「周りは映画のような本物と見分けの付かないリアルな映像を制作したいという同級生が多かったのですが、私はゲーム業界にしか興味が無かったので、当時ゲーム業界では標準的に使用されていたソフト「SoftImage」のコースを受講しました。
その後、もう1年マスタークラスで学びました。その時の担任講師がスタジオパンチラインというゲーム会社の方で、卒業と同時に声を掛けていただきました。」
DH:新さんがゲームデザイナーになったきっかけはデジタルハリウッドで築いた人脈だったのですね!
時代は「メタルギアソリッド2」「鬼武者」!コナミへの入社がきまりCGアニメーターとして更なる飛躍を!
新さん「スタジオパンチラインでPS2タイトル「チュウリップ」の制作に関わったのですが、そのころ大手ゲーム会社からは「メタルギアソリッド2」「鬼武者」など(私が好きなタイトルです)、自分が関わったものとはけた違いなクオリティのタイトルが続々と生み出されていました。
ハードは同じはずなのに「何でこんなハイスペックなゲームができるのか」とその差がどこから来るのかが気になったのです。
大手ゲーム会社が生み出すタイトルに興味が沸きまくっているところで、ちょうどアニメーターを募集していた、コナミの門をたたきました。面談では「アニメーション専門です(本当はモデリングが得意だったのに)」とデモリールでアピールしたところ、即採用されました。
それまでアニメーションに特化してやってきたわけではないのですが、周りからは「アニメーションのスペシャリストが来た!」と期待されていた訳ですから、技術・知識を埋めるために猛勉強しました。
その甲斐もあってか、当時関わっていたタイトルのすべての敵キャラのアニメーションを担当させていただくことになりました。」
CGアニメーションの実力が認められ”プランナー(企画職)”を兼任
新さん「ゲームに関係するアニメーションのすべてができるようになりたいと情熱があったので、社内にあったモーションキャプチャーシステムの使い方、光学マーカーの付け方、フェイシャルモーション等、アニメに関して、可能な限り知識を得る努力をしていました。
アニメーションに関してはだれにも負けない気概で仕事をしていましたが、ゲーム自体を企画することも好きだったので、企画書を出したりしているうちにアニメーター兼プランナーとして、某サッカーゲームの企画の仕事も任せてもらえるようになりました。
その後、いろいろ経緯がありつつゲームアニメーションのスペシャリストとしてグラスホッパーに移ったのですが、私自身が会社に慣れる前には3DCGより企画書作成を求められ、四苦八苦しているうちにディレクターに任命されていました。
グラスホッパー・マニュファクチュアの企業方針は“レッツパンク”です(笑)。バイオレンスな表現の作品が多いです。日本国内より、海外から評価を貰うことが多いですね。
”ゲームプランナー&企画職” にCG技術は必要ないのか。
デジタルハリウッド: デジタルハリウッドでキャリアカンセリングをしていると就職活動で ゲーム業界での”企画職”希望 している大学が多いことに驚きます。
ゲームプランナー(企画職)というと、ゲームの制作工程や、CG映像の制作技術が全く必要ないと勘違いしている人が多いのですが、制作段階ではゲームデザイナーやプログラマーとも連携しながら作業を進めていくことも多いため、デザインやプログラミング知識も持っているとコミュニケーションがスムーズになります。
制作技術は必須ではないものの、CG制作やゲームエンジンに関わる知識や制作経験をもっていると一定の評価を得られる会社もあります。
未経験者であれば、なおさら、自分で企画したゲームを映像やCG技術を使って1から制作してみる、いろんな人に遊んでもらい、改善した経験がある、といったアクティブな行為自体が高評価につながります。
ゲーム業界でも ”コミュニケーション力” は大切! どんなに絵が上手くても“そのゲームに必要なビジュアル”を描けなければチームにとっては「役立たず」に。
コンシューマゲームタイトルの開発は、規模の大小はあれどチームでゲームを作ることが多いです。
そして、どのパートをとっても“コミュニケーション“が大事なことには変わりません。
グラフィックで例えるなら、どんなに絵が上手くスキルがあっても“そのゲームに必要なビジュアル”を描けなければチームにとっては「役立たず」になってしまいます。
だからこそ、同じ方向性を向くために意思疎通が必要です。
これが信頼にも繋がってきます。
ゲーム制作の技術やセンス/スピードはもちろん必要ですが、”なんだかんだ言って私は”人柄”を重視してしまいます。
ゲーム開発では、アート/サウンド/プログラムなど様々なチームが携わっているので、それぞれが何を求めているのか、自分が何を求められているのかを理解し、応えるためのコミュニケーションを取れる人が重宝されます。
ずっと心に秘めた明確な目標
「いつかは自分のゲームを作りたい」 という想いが叶えたプランナー職
新さん「ゲーム制作の現場では会社員でいるというイメージで働いていると、仕事に対して行き詰ってしまうことがあるような気がします。仕事の成果がすぐに形(利益・数値など)として見え難いというのが理由です。
例えば、
キャラクターデザイナー「すごいキャラクターを作りました!」
アートディレクター 「かっこいいね!」
評価者と被評価者の間でこんなやりとりがあったとしても、最終的には”売れたゲームの本数” によって利益が生まれ、給与にかえってきますので、自分で思う“頑張り”と“それに対する見返り”にギャップが生まれることがあります。
良いゲームなのに、「売れない」ということは大いにあることですが、自分を信じてチャレンジしてこそ、絶対見返りがあると思っています。
自分なりの目標、例えば「最高のキャラクターを作りたいのでスペシャリストを目指す!」といった指針を持っていると、心が折れ難くなると思います。
私の場合「いつかは自分のゲームを作りたい」という気持ちがあったので、3DCGアーティストとして働きながらも企画書を出していました。
それが現職に繋がっているのですが、CGの仕事ができなくなった今もゲームの仕事を楽しめております。」
ここからは、ゲーム業界を目指す方必見の【Q&A】タイム!
この記事を読んでいる方はみなさんが聞きたいこと、疑問に思っていることの答えがあるはずです!
デジタルハリウッドの現役講師の回答に参加して、より具体的なアドバイスになっています。
Q.企画書にはどのようにアイデアをまとめているのでしょうか?
A.新さん:結構昔の話ではありますが、自分なりにオンラインの良さを活かしたゲームというものを考えてその時の上司にプレゼンをし「ゲームじゃないじゃん」と一蹴された思い出があります(笑)
企画自体には自信があったのですが、この一蹴で学んだことは、誰に向けてプレゼンをするのかを明確にすることが大切、ということでした。
今では企画内容をどんな作風で見せるか、文章のまとめ方を変えたり、絵作りを変えたりします。
誰に向けて、何を訴えれば、目指すゲームが作れるのだろう?を考えます。
ゲーム制作を進める権限を持っている人に「面白そうだな、あなたに作らせるよ」と信じてもらえることさえできれば、何でもいいと思います。
その企画/プレゼンで何を勝ち取るかを明確にすることが大事です。
Q2. ゲーム業界の人は、ゲームはよく遊ばれるのでしょうか?
A.新さん
新さん:当然、と言いたいところですが、全く遊ばないという人も知っています。しかし、ゲームを遊んでおくと「こうしたらもっと面白い」というポイントが見えたり、開発を進める中で出てくるゲームの共通言語を知ることができるので、勉強という意味でも遊んでいたほうが良いと思います。
A.デジタルハリウッド講師
僕も受講生からおすすめの勉強法をきかれたときの回答として、「色々なゲームをプレイしてみる。」これに尽きるかと思います。単に楽しむのではなく、一つ一つの要素、たとえば3Dモデルであれば、どの点に、ポリゴン数、テクスチャを割いているのだろう。とか、キャラクターの様々なアクションを観察する等、色々あるかと思います。
業界に入って、「○○ゲームの、○○みたいな感じで」等、ディレクションで既存タイトルを引き合いに出す事も、少なくありません。その際、「いかに自分の中に引き出しがあるか」という点も、続けていく上で重要になってくるのではと、僕は考えています。
Q3.ゲームのCGを目指すうえで、これだけは勉強しておいたほうが良いということは何ですか?
A. 新さん
絵心を磨くことは当然として、ゲームグラフィックに興味があるならば、スクリプトを学んでおくと役に立つことが多いです。
MayaでいうところのMELなどです。ゲームCGの内部が理解できることと、プログラマが話す内容が少しだけ分かるようになります。
また、ゲーム制作に特化したツールなども多いので、勉強するとよいと思います。
最近だとスカルプトツールなどは必須レベルのような気がします。
Q4ゲームと映画で違う制作ポイントを教えてください。
A.デジタルハリウッド講師
実は、映画・ゲーム・アニメなど、それぞれの分野で必要とされる3DCGの制作技術はあまり変わりません。
違うのは、デバイス(PC、スマホ、TV、映画館のスクリーン、ゲーム機器など)に合わせた"CGの作りこみ"、です。
映画では、実写映像と差が出ないような写実的なCGを作る必要がありますが、ゲームで求められるCGは、"ある程度"に押さえる必要があります。
というのも、映画はあらかじめ"映像"としてのデータが完成していますが、ゲームではプレイヤーの操作に合わせて、キャラクターが動いたり、背景の見え方が変わったり、と展開を見せていきます。
そのとき、ゲーム機器の中では、「今、プレイヤーが見ている場面を綺麗に見せる!」とリアルタイムでデータが書き出されます。その時にデータが重過ぎると、”フリーズ”という現象が起こってしまいます。
最近はゲーム機器の性能がアップしていることもあり、データの制約が以前に比べて大分、余裕が出てきたと思います。しかし、携帯、ソーシャル系のゲームでは、色々と制約があります。
3DCGが担うデータ的な話で言うと、ポリゴン数、テクスチャ解像度などが該当します。その制約の中で、高いクオリティーが求められる傾向にあります。
ディレクターや、エンジニアの方と良く話し合い、限られた環境化の中で少しでもクオリティーが上がる様、試行錯誤していくスキルが求められます。
また、一般的な映像CGでは気にする事の少ない、頂点カラーというデータを軽くする技術に関しても事前に学んでおいた方が良いのではないか、と思います。
最後にCG業界の未来についてお話いただきました!
今後のCG業界のこと
ゲームエンジンと開発環境についてPS3を皮切りに「プログラマとグラフィッカーが質を上げる」制作手法が日本のゲーム業界を変えた。
新さん「スマートフォンが登場し、ゲーム業界の流れを変えたと感じています。
ちょっとした”すきま時間”を活用できることが、スマホゲームに人々が手を伸ばすきっかけになっていると思います。
私自身この遊び方は嬉しい傾向だと捉えています。
家庭用ゲームとスマートフォンゲーム、どちらを遊ぶかの時間比率は変わったと思いますが、ゲーム人口は増えているような気がします。面白いゲームを提供しようとする会社/人にはチャンスなのではないでしょうか。」
新さん「今では“ゲームエンジン”という言葉が当たり前のように使われていますが、この言葉が私の周りで使われ始めたのは、PS3が発表された、2006年頃だったと思います。
PS2時代までは和製ゲームの黄金期だったような気がしますが、PS3の時代になってから海外製のゲームに、クオリティも販売本数も押され始めたと覚えています。
PS2時代までは、ゲームグラフィックスに関して“ほぼ”アート担当、グラフィック担当者の腕、知識がグラフィッククオリティーを上げていました。
それがPS3の時代になり、海外では一足先に進められていた「プログラマとグラフィッカーが質を上げる」制作手法が日本に入ってきました。
PCゲーム開発でこういった技術が着々と蓄積されていたらしいです。
日本でのゲーム開発がそのような技術を実際にゲームに落とし込むまでに5年近くかかっていたような気がします。
海外ではゲーム制作の効率化を図るために、フォーマット(型)にはめて制作することが研究され、それを研ぎ澄ましたものが“ゲームエンジン”だと思います。
当たり前の部分、だれが作っても差が出ない部分は型にはめて効率化を図り、そこで浮いた残りの時間こそ、ゲームの本質を作ること、面白さ/オリジナリティ/クオリティに割くべき、という考えなのだと思います。
ゲーム映像はプレイヤーの操作に合わせて、リアルタイムに映像が描き出されます。
一昔前はリアルタイム映像のクオリティとプリレンダー映像のクオリティは雲泥の差があったのですが、ハードの性能やゲームエンジンの驚異的な進化によって、今ではリアルタイムでレンダリングされた映像でも、かなりリアルな表現までもができるようになっています。
リアルタイム映像の特徴としてライティングやカメラを変更して、反映結果をすぐに確認できることが利点なのですが、
これを上手く活用し、ゲームではない場面で使用されることもあります。
例えば、映像制作の現場で最終クオリティに近い質感で映像をリアルタイムに確認するなどです。」
技術革新によって新しいハードが生まれたり、手が届かなかったハードの金額が下がり一気に普及することは当然考えられます。
それが、新しいゲームプレイヤーを生み出す可能性もあり、まだまだチャンスがあると考えています。
今と全く違う、新しいハード、体験装置が生まれてきたとしても、面白いゲームというものは求められるはずで、それを作りたいという目標があれば、これからもゲーム制作に関わっていけると信じています。
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3DCGの基礎からモデリング・アニメーションコンポジットなど「3DCGデザイナー」としての就転職に求められる技術を1年かけて基礎から応用まで学ぶ、
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