デジタルハリウッドSTUDIO新宿 ブログ

【イベントレポート】
TVアニメ『大雪海のカイナ』メイキングセミナー

2023-09-10

Introdaction

今年の夏も、STUDIO新宿・東京本校では " 好きなことを追求する " をテーマに

「Chase your Dream!-夢をかなえたCGのプロフェッショナルたち-」 と題して

イベントを開催いたしました!


今回はその第1弾、10月13日より劇場公開される『大雪海のカイナ ほしのけんじゃ』に繋がる作品である、 TVアニメ 『大雪海のカイナ』のメイキングセミナー のイベントレポート となります。

プリプロダクションからポストプロダクションまで、CGアニメーションがどのようにして作られていくのかを、制作の裏話なども交えながら分かりやすくお話しいただきました!

映画『大雪海のカイナ ほしのけんじゃ』予告

▼ゲスト紹介


株式会社ポリゴン・ピクチュアズ CGスーパーバイザー

長崎 高士/Takashi Nagasaki

企業サイト:https://www.ppi.co.jp/


映画『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』、
TVアニメーション『トロン:ライジング』『シドニアの騎士』『Lost in Oz』
『スターウォーズ:レジスタンス』など多数の作品にCGスーパーバイザーとして参加。
同社の分業化された大規模な制作体制の一翼を担っている。


株式会社ポリゴン・ピクチュアズ CGスーパーバイザー

石橋 拓馬/Takuma Ishibashi



2014年デジタルハリウッド卒業後にジェネラリストとして新卒で入社。
同年、「ストリートファイターⅤ」のモデリング/スカルプトアーティストとして参加。
2018年からCGスーパーバイザーとして映画「Human Lost」に参加。
その後も「シドニアの騎士 あいつむぐほし」「大雪海のカイナ」などの長編作品でCGスーパーバイザーを務める。

3DCGの制作工程

CGアニメーション制作は、上記の図のような工程を経て公開されているとのことです!

企画されてから公開までに至る期間はおよそ3~4年とのこと、、

とても長い年月をかけて制作されているんですね。

3DCG制作の段階

実際に公開されるCGアニメーション部分の制作は以下の手順で行われているそうです。


・モデリング/テクスチャリング(キャラクター、セット)

・リギング

・レイアウト/アニメーション

・エフェクト

・ライティング/コンポジット


こんなに細分化されて作業が行われているんですね!

CGアニメーション制作の裏話など

長崎さんと石橋さんにCGアニメーション制作の裏話なども話いただきました。

今回は、その中のいくつかをご紹介します!


声を先に収録している

手書きアニメの場合、多くは後から声を収録するアフレコを採用しているケースがほとんどだが、CGアニメの場合は、先に声を収録するセミレコで制作されるとのこと。

その理由は、先に声を収録した方が口の形などをアニメーションでしっかり合わせられるからなんだとか。

あまり絵が出来ていないのに声を入れる声優さんも、それに合わせてアニメーションをつけるアニメーターさんもどちらもすごいですね!

3DCGで制作する意味

実際に大雪海のカイナのCGスーパーバイザーを担当した石橋さんは、『3DCGアニメーションで作る意味』を常に考えているとおっしゃっていました。

大雪海のカイナでは、手書きアニメーションでは表現するのが難しい線が多いアニメーションを意識されたとのことです!

実際に大雪海のカイナを見られた方はわかるかもしれませんが、表現がすごく細かいですよね!

今後のCGアニメもどこに力を入れているのか考えちゃいますね。

セルルックアニメーションの特徴

海外の2Dアニメーションや、フォトリアルなCGアニメーションは1秒間に24フレームの描画枚数の映像になっているのに対し、セルルック(アニメ風)のアニメーションは、1秒間に8枚~12枚の描画枚数でアニメーションをつけることが多いとのこと。


これはリミテッドアニメーション呼ばれており、元来はコストを削減するために生まれた手法であったが、日本のアニメの独特な誇張やけれんが生まれる土壌にもなったらしいです!


今ではフレーム数を上げることもできるそうですが、セルルックのCGアニメーションもそういったジャパニメーションの潮流を汲んで、リミテッドアニメーションを採用することが多いんだそうです。

ポリゴン・ピクチュアズについて

ポリゴン・ピクチュアズは、1983年7月の設立以来、「誰もやっていないことを 圧倒的なクオリティで 世界に向けて発信していく」ことをミッションに掲げ、先端的なエンタテインメント映像の製作を手がける国内最大手のデジタルアニメーションスタジオです。


【代表作】
『大雪海のカイナ』『GODZILLA 怪獣惑星』『シドニアの騎士』『亜人』『BLAME!』『Lost in Oz』『ピングーin ザ・シティ』『パンダのシズカ』『ラブ、デス&ロボット シーズン3』『メック・カデッツ(MECH CADETS)』など。

▲今年で40周年を迎える

Q&Aコーナー

Q スーパーバイザーになってから、学生のうちに勉強しておけばよかったと感じることはありますか?


石橋氏英語ですね。特に最近は海外のクライアントと仕事をする機会が多いのですが、プロジェクトで自分以外の全員が英語を喋れるみたいな状況が結構多いです。なので学生のうちに勉強しておけばよかった後悔しています。


Q モデラーやアニメーター、エフェクトアーティストなど様々な職種がありますが、選択するにあたって何を重視して決めるのがいいでしょうか?


長崎氏好きこそものの上手なれだと思います。努力しているなと自分で感じてしまうのは、それを自覚している時点で継続するのは難しいと思います。自分が努力しているということを意識しないくらい好きなことを見つけることが大切なのではないでしょうか。


石橋氏集中して取り組める分野があれば、その職種をメインにするのもいいと思います。作品を作ること自体が好きということであればジェネラリストを目指すのもいいと思います。ちなみに、実際の就職のしやすさで話してしまうと、リガーとルックデヴアーティスト、LC(Lighting&Composite)アーティストなどが狙いめです(笑)


Q 現在CGを学習しています。将来的には上流工程にかかわっていきたいと思い、ジェネラリストを目指して学習しているのですが、ジェネラリストとして就職した場合、どのような働き方になるのでしょうか。


長崎氏企業によって異なります。ジェネラリストとして採用している企業もありますし、ジェネラリストとして採用されても、実際にはどこかの工程につく場合もあります。どちらにしても、自分の得意な工程を1つ持っておくことは大切だと思います。


石橋氏 僕も最初の4年間はいろいろな工程をたらい回しにされました。ただ、それぞれの工程である程度結果を残していかないと上流工程に行くのは難しいです。例えば『モデラーじゃなくてジェネラリストなのにモデリング上手だな』とか、各工程にいって存在感を発揮していくことは必要だと思います。


Q 現在CGを学習しているのですが、学習するうえで大切にしてほしいことや、クリエイターに身に着けておいてほしい能力はありますか?


長崎氏どの職種でもそうですが、学習しているとCGの技術的なことにどうしてもフォーカスしがちですし、実際にできないといけないのは確かなのですが、作成するものの根本的な構造や原理を考えることは大切にしてほしいです。あとは違う工程の人にデータを渡すということを考えて制作することも、基本的なことですがとても大切です。


Q 映像の仕事をするにあたって一番大切にしていることは何ですか?


石橋氏僕は監督の言いたいことの本質を理解することを一番大切にしています。例えば『このシーンは逆光にしてください』という指示があったときに、不安な雰囲気にしたいのか、もしくはホラーっぽくしたいのか、悲しいシーンにしたいのかなど、逆光というワード1つとっても、その本質によってライティングやコンポジットが変わってきます。言葉の表層だけを捉えてそのまま作っても、なかなかOKがもらえないことが多いです。これはどこの企業で働いても一緒だと思います。


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