新型コロナウイルス感染拡大にともない、社会や環境が目まぐるしい変化を遂げている昨今。
在宅ワークやリモートワークなどのテレワーク化が一層進み、「以前のような日常が戻ってくるのだろうか」という不安や、未経験でもスキルを取得すれば転職できるという観点から、今Webデザイナーへの転職が注目されています。
そんななか、現在デジタルハリウッドSTUDIOでは「将来を見据え、今からWeb業界に入って働き方を変えたい」「でも本当にWEB業界で大丈夫なのかわからない」など多数のお問い合わせを受けています。
そこで今回は、現場で働いているクリエイターをお呼びして、本音でお話しいただく『”この先どうなる?”現役Webデザイナーによる本音トークショー「Web業界のミライ予想図」』をオンライン形式で3週連続開催いたしました。
第2回目となる今回は、「withコロナで転職を叶えた卒業生のリアルなハナシ」と題して、今夏にデザイナー転職に成功したデジタルハリウッドSTUDIO卒業生、一杉あみさんと深山貴一さんをゲストにお招きし、お話を伺いました!
イベント概要
【目次】
1.登壇者紹介
8.まとめ
登壇者紹介
ゲスト:一杉 麻実(いちすぎあみ)
1992年生まれ。青森県弘前市出身。新卒で銀行に就職し、窓口業務や金融商品の販売を担当。その後Webサービスを運営する企業へ転職。ECコンサルタントとして、主に個人事業主の売上アップのサポートをする。
結婚と休職を機に自立できるスキルが必要と思い、昨年の10月にデジタルハリウッドSTUDIOに入学。就職活動は転職エージェントを活用。7月よりWeb制作会社にデザイナーとして勤務。
twitter:@ami_i_design
モデレーター:久保田 涼子(くぼたりょうこ)
フリーランスクリエイター
広島市出身。東京都在住。1982年11月4日生まれ。東京女子大学 文理学部 心理学科卒業。
「ワクワクするモノ・時間・場所を生み出す」をテーマにものづくりを行うフリーランスクリエイター。Web制作ナレーター業務 Coco-Factoryの代表をつとめ、国内外のウェブサイトをトータルプロデュースする他、デジタルハリウッドSTUDIO渋谷・吉祥寺講師としてオンライン講座や教材開発、ワークショップ開発に多数携わる。著書「webデザイン良質見本帳(SBクリエイティブ)」
ゲスト:深山 貴一(みやまきいち)
神奈川県在住。1996年生まれ。新卒でWebディレクターに就職後、1年半で退職。半年でWebデザイナーを目指す為にデジタルハリウッドSTUDIOへ入学。転職活動は自己応募とエージェントを利用。面接などほぼ全てリモートで行い、6月よりWebデザイナーとして勤務中。
入学〜卒業まで。卒業生のリアル体験
久保田さん:
今回参加者のアンケートを見てみると、ダントツで多いのがフリーランスではなく会社員として働きたい人。次に、学びたい内容としては、58%がデザインなどの制作知識。そして、やりたいことはやっぱりデザイン、UI/UX、そして企画プロデュースという順になりました。
前職は何してた?Webデザイナー転職前の経歴
一杉さん:
私は新卒で銀行に就職し窓口、外回り、融資を担当していました。その後、ECコンサルタントの会社に入り、予約サービスの出店者にアドバイスをするような仕事をしていました。
深山さん:
僕は大学が芸術系で映像制作などをしていたので、その流れもあって卒業後は主に企業のHPを作っている会社でWebディレクターとして働いていました。
その間、デザイナーの仕事を見る機会が多く、そっち側に行きたいなという思いが強くなり、1年半後に退職に至りました。
どうしてWebを学ぼうと思ったのか?
一杉さん:
結婚と休職を機に自立できるスキルが必要だと思ったからです。私ははじめて転職をしたときも何もスキルがなくて苦労したから、この後どんなライフイベントがあっても、会社に行けなくなっても、大丈夫なように自立できるスキルがほしいと感じたんです。
ー要は手に職をつけたかったということですよね。そうやってデジタルハリウッドに入学する人はすごく多い印象です。
深山さん:
僕は前職時代の知識を実務レベルに上げるためです。ディレクターをやっているときにコーディングやデザインのやり方はざっくりとわかってはいたんですけど、デザイナーを目指すに当たって、もっとしっかりと学ぼうと思い入学しました。
デジタルハリウッドで学んだコースについて教えて!
たくさんスクールがあるなかでデジタルハリウッドを選んだ理由は?
一杉さん:
知名度と卒業生の活躍で選びました。デジタルハリウッドといえば、デザインやWeb系をやっているイメージがあったのと、デザインについて調べて出てきた方にデジタルハリウッドの卒業生が多くて、卒業後に仕事をされていることに説得力を感じました。
ー私も入学のきっかけがそれでしたね。この業界自体がデジタルハリウッド卒業生だらけなので、転職のときも有利なんじゃないかと父親に言われたことがきっかけでした。
深山さん:
僕は半年で学べることと、クライアントワークがある点に惹かれました。すぐにキャリアチェンジができて、半年でギュッと学べるスクールって意外と少なかったんですよ。
それに、デジタルハリウッドにはクライアントワークがあったので、転職に活用できるのではないかと思いました。
他のコースより比較的大変な「超実践型 就職・転職プラン」をなぜ選んだのか?
一杉さん:
クライアントワークを扱えるからです。むしろこの「超実践コース」があるからデジタルハリウッドを選んだというのがあります。
実はデジタルハリウッド以前に他のスクールで学んでいたこともあったのですが、いざクライアントワークをするとき、何を聞いたらいいのか、どうやったらいいのかわからなくなったので、実際に扱えるところがいいなと思って入りました。
深山さん:
僕も、未経験で採用してもらうためには、クライアントワークが必要だと思ったのが大きいです。採用する立場から考えたときに、どう案件を進めるのか、どうヒアリングをするのかをわかっている人を採用したいと思ったので、超実践型 就職・転職プランを選択しました。
在学中にオススメの情報収集や学び方は?
一杉さん:
私はTwitterで現役デザイナーをフォローしていました。デザイナーは良い情報をシェアしてくれるイメージがあったので参考にしていましたね。また、1日1つサイトを決めて、色や構成などを研究していました。
あとは、STUDIOに行ったら必ず質問することを心がけて、新しい知識を身につけようと決めていましたね。平日は週3ぐらいのペースで通っていました。
深山さん:
僕もTwitter、まとめサイト、イベントなどで情報収集をしていました。最新のトレンドを学んだり、美術館に行ってインプットをしたり。あとはとにかくSTUDIOにきて勉強すること。デジタルハリウッドでは自主的にスケジュールを組んで学習していかないといけないので、モチベーションを維持できるように先生に質問するようにしていました。平日はアルバイトの帰りに、土日はなるべく行くようにしていましたね。
ーこの業界は技術がすぐに移り変わるから、キャッチアップするのは大事ですよね。今はSTUDIOに直接行くのが難しいけど、最近はZOOMでのサポートを取り入れたので、オンラインで質問ができる環境も整っています。
PhotoshopとIllustlator、どちらを使うことが多い?
一杉さん:
私はどちらもあまり使っていなくて、Adobe XDというツールをメインで使っていました。デジタルハリウッドでもXDのライブ授業があったので、それと併せてほぼ独学で学びました。
深山さん:
僕は大学のときからメインで使うことが多かったPhotoshopをよく使っていましたね。
ー最近だとAdobe XDやfigmaなどWeb制作に特化したソフトが増えてきたので、それを使っている受講者さんが多いな、という印象ですね。
卒業制作はどのように取り組んだ?
一杉さん:
私は芸術出身ではないので、基本的にイラストはフリー素材から取ってきています。素材は、イラストACを使ったり、さまざまなフリー素材サイトから検索できる『ODAN』というサイトも便利ですよ
深山さん:
サイトとなるといろいろ情報をのせることで良いサイトになると思うのですが、載せられる情報が少なかったので、「少ない情報をよりリッチに見せる」という見せ方の部分をこだわりました。
ー締め切りまでに仕上げるためにどのようにモチベーションを維持したんですか?
深山さん:
自分の得意なジャンルで制作を始めるとモチベーションは続きやすいですね。
一杉さん:
いろんな参考サイトを探すのが1番かなと思いますね。アイディアがどんどん湧いてくるので! 最初は誰かのをパクるくらいの勢いでいいと思います。あとは先生に相談すると提案してもらえたりするので、よく聞いていました。
ーデザインって引き出しの多さが大事なので、まずは真似から入ってみるのは私も賛成です!
△一杉さんが制作したクライアントワーク
△一杉さんの卒業制作
△深山さんが制作したクライアントワーク
△深山さんの卒業制作
コロナ中の就職活動について教えて!
転職で苦労した点、準備した点は?
一杉さん:
未経験の求人が少ないことですね。やはり採用側は即戦力を求めているので、最初の転職活動よりもキツかったですね。
深山さん:
リモート面接でやる気を伝えづらかったことです。僕の場合熱量で押し切るのが得意なので、リモート面接だとそれを担当の方に伝えるのが難しかったですね。
面接の内容は、「何か質問ありますか?」というのが半分以上なので、当たり前ですが会社に興味を持っておくのは大事ですね。
何社受けた?転職活動期間はどのくらい?
一杉さん:
転職エージェントはデジタルハリウッド在学中から登録していました。クライアントワークでお世話になったマイナビクリエイター、クリーク・アンド・リバー社、dudaです。
会社は20社ぐらい受けて、内定は1社でした。最終まではいけるのですが、なかなか内定まで結びつかなくて…。転職期間は1ヶ月半ほどですが、半月はポートフォリオ制作に当てていました。
深山さん:
僕は卒業してから1週間後に登録しました。15社受けて、内定は2社です。内定までは3週間でしたが、コロナの影響でレスポンスが遅い企業も多く、面接も半分くらいしかやってもらえませんでしたね。
ーお二人とも短期決戦ですね。フリーランスではなく転職を選んだ理由はなんですか?
一杉さん
私はフリーランスになるためにはコネが大事だと思ったので、就職したほうが繋がりもできますし、安定しながらフリーランスのような働き方ができるので今の段階では会社員を選びました。
深山さん:
フリーランスは魅力があるとは思いますが、会社で基本を学んだ後に独立しても遅くないかな、と思いました。
ー私も、フリーランスは一度業務全体の内容や業界の流れを知ってからなるのが理想的だな、と思います。
企業に選ばれた決め手は?
一杉さん:
デザイン感覚とコミュニケーション能力だと思います。ポートフォリオを見て、情報量や余白の取り方が良いと言われました
深山さん:
僕もデザイン感覚と、デザイナーになるまでのプロセスだと感じています。会社によってどういうデザインが求められてるかというのもあり、それがマッチしていたことと、ポートフォリオの中身がどれだけ丁寧に作られてるかが大事だったようです。
あと、僕の場合は前職のディレクターとしての経験から、「どうしてデザイナーになりたいか」をはっきりと言語化させていたのが良かったのかなと思います。
何をアピールポイントにしていた?
一杉さん:
私はポートフォリオに事例を6つ載せたので、とにかくたくさん作ったことをアピールしましたね。事例は、講義での課題や、受講しながら自主的に作ったもの、卒業してから作ったものなどを載せました。
ポートフォリオは、ポートフォリオ作成サービス『MATCHBOX(マッチボックス)』を利用して作りました!
深山さん:
僕は半年で3つ作ったので、それだけで勝負しました。アピールした点としては制作意図や、クライアントの要望に対しどう表現をしたのか、解説図を作ったりしていました。
これからWeb業界を目指す人へ
未経験の人が準備をしておいた方がいいことや心構えは?
一杉さん:
前職での経験の洗い出しですね。未経験だと、面接では基本的に前職のことを深堀りされることが多いので、業務内容を洗い出ししておくのが大事です。
深山さん:
デザイナーになりたい理由の明確化です。今はデザイナーになりたい人が多いので、熱量を企業の人に伝えられるようにしておくのが大事だと思います。
ー漠然と「やりたい」のではなく、なぜやりたいのかが言語化できることで、他の人と差別化できるんですね。
これからのWEB業界に求められるスキルは?
一杉さん:
動画編集スキルとマーケティングの知識です。転職中でも「動画編集できますか?」という質問が多かったんですよ。あとは、制作意図を伝える意味でも、どうしてこのデザインなのかをちゃんと説明できるように、マーケティングスキルも必要ですね。
深山さん:
人にものを伝える能力ですね。コミュニケーションを密に取ることが大事なので、まわりの人と協力できるスキルは必須だなと思います。
デジタルハリウッドに通って良かったと思うことは?
一杉さん:
頼れる恩師や仲間のつながりができたことです。友だちがたくさんできるのも良いし、いざとなったときに聞ける仲間ができたのは大きかったです。
深山さん:
僕は勉強が苦手なので、モチベーションを保つために「仲間がいるから勉強できる」という環境を買ったイメージです。
これからのお二人の未来予想図は?
一杉さん:
会社に属しながらフリーでも活躍することですね。会社のメリットを受けながら、Webサイトに予算を大きくかけられない個人で活動されている方などを救っていけるような仕事をしていきたいです。
個人的に伸ばしていきたいスキルは、UI/UXデザインです。Webサイトのように一時的に見られるものではなく、アプリなど日常的に見るようなデザインを研究していきたいなと思っています。就職活動中でもよく聞いていたので、これからは「UI/UX」が大事な時代なんだなと感じましたね。
今はアプリのスクショを集めたり、本を読んだりして勉強しています。今在籍している会社でも今後やらなくちゃ行けないので、仕事のなかでも学んでいく予定です。
深山さん:
デザイナーとしてのスキルと、今まで培ってきたディレクターのスキルを掛け合わせて仕事をしていきたいです。
個人としては、綺麗なコーディングができるようになりたいですね。Webサイトは実際に表示させるためにコードを組むのですが、同じものを表示させるのにもいろんなコードの書き方があるんですよ。
Webサイトは作って終わりなのではなく、その後に他の人による修正が入ったりするので、誰が見ても綺麗なコードの書き方を追求したいと思っています。
半年間の勉強期間を経て、わずか2ヶ月足らずでWebデザイナーへの転職を成功させたお二人。在学中の勉強法や、ポートフォリオの内容、受けた会社の数など、普段聞けないようなリアルな話を語ってくれ、今までにない赤裸々なイベントとなりました。
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