「クリエイティブの仕事に興味はあるけれど、自分にできるか分からない」
「未経験からデザイン業界に転職するのは難しいのでは?」
「今の仕事を辞めて、新しいキャリアに進むのが怖い」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは、デジタルハリウッドの卒業生である櫃石祥歌さん。
大学時代からWebサイト制作や広報、ブランディングなどに興味を持っていたものの、「これを仕事にできる」という自信が持てず、新卒では情報システム系の会社へ入社しました。
しかし、入社から約1年後、「やっぱりクリエイティブがやりたい」と退職を決意。
デジタルハリウッドでUI/UXデザインを学びながら、未経験からクリエイティブ会社へ転職。その後、クリエイティブディレクター、プロジェクトマネージャーとして経験を積み、現在は大手IT会社でプロダクトマネージャーとして働かれています。
一見すると順調に見えるキャリアですが、その道のりには「本当に自分にできるのか」という迷いや、転職先で「間違えた」と感じた時期もありました。
そんな櫃石さんに、キャリアチェンジを決めた理由、デジタルハリウッドでの学び、仕事を通して見つけた自分の強み、そして未経験からクリエイティブ業界を目指す人へのアドバイスを聞きました。
卒業生プロフィール
櫃石 祥歌さん
デジタルハリウッドSTUDIO
本科UI/UXデザイン専攻卒業生
大学卒業後、情報システム系の会社に勤務するも、クリエイティブ職への思いを諦めきれず退職。未経験からデザインを学ぶためデジタルハリウッド東京本校へ入学を決意。運よく入学前に株式会社ロフトワークへ入社が決まり、通学と両立しながら、クリエイティブディレクターとしてWeb制作やデザイン経営ワークショップの企画・運営、デザインリサーチなど幅広いプロジェクトに携わる。現在は大手IT企業にてプロダクトマネージャーとしてサービスの企画・改善に従事。
「クリエイティブを仕事にできる」と思えなかった
――まず、デジタルハリウッドで学ぶ前のキャリアについて教えてください。
大学卒業後は、情報システム系の会社に新卒で入社しました。
もともと大学時代からクリエイティブには興味があったんです。
学生団体などで、Webサイトを作ったり、広報やブランディングに関わったりしていました。
ただ、それをきちんとポートフォリオとしてまとめるところまではできていなくて。
「これを仕事にできるのかな」
という自信がなかったんですよね。
だから、新卒では情報システム系の会社に入りました。
――クリエイティブに興味がありながら、別の業界を選んだんですね。
そうですね。
ただ、入社してみると、想像していた仕事と少し違いました。
私は大学時代に、企画やWebなど「表側」の仕事をしていたので、もう少し企画寄りの仕事を想像していたんです。
でも実際には、セキュリティやサーバー構築、ネットワークインフラなど、かなりシステム寄りでした。
「職種として、これをずっとやるのはちょっと違うかもしれない」
と思うようになりました。
だったら、別の道を探すなら早いうちがいい。
そう考えて、入社から1年ほどで退職を決めました。
「一度、全部クリエイティブに振り切ろう」と決めた
――1年で会社を辞めるのは、勇気が必要だったと思います。
もちろん怖さはありました。
でも、もともと「クリエイティブをやりたい」という気持ちはずっとあったんです。
大学時代から興味があったものの、仕事にできる自信がなかった。
だからこそ、一度ちゃんとクリエイティブの方向に振り切ってみようと思いました。
仕事をしながらクリエイティブの勉強をして、転職活動もするという器用なことは、自分にはできないと思ったんです。
「やるなら、100%そっちに振り切った方がいい」
という感覚がありました。
その決断の背景には、海外に行った経験や、周囲にいた「仕事を辞めてもなんとかなる」と考えて行動する人たちの存在もあったそうです。
身近に、これまでとは違う生き方をしている人がいる。
その姿を見たことで、
「人生って、思っているより自由なのかもしれない」
と感じられたことも、背中を押すきっかけになりました。
キャリアを見直すきっかけになった「対話」
実は、退職を決めるまでには一度、クリエイティブの道を諦めかけた時期もありました。
そんなとき、友人が勉強していたコーチングを試しに受けたことが、転機になったといいます。
キャリアについて話していく中で、改めて自分の気持ちを振り返ってみる。
すると、
「やっぱりクリエイティブなんだ」
と気づいた。
そこから一気に動き始め、翌週にはスクールに入り、退職届を出すところまで進んでいったそうです。
キャリアを変えるとき、自分一人で答えを出そうとすると、どうしても迷ってしまいます。
でも、誰かとの対話を通して、自分の中にある考えを整理する。
それが、次の一歩につながることもあります。
デジタルハリウッドで特に印象に残った「グループワーク」
――デジタルハリウッドでの1年間はいかがでしたか?
一番印象に残っているのは、やっぱりグループワークですね。
以前、別のスクールにも通っていたのですが、デジタルハリウッドではグループで課題に取り組む機会がありました。
みんなで課題を特定して、UIの改善案を出していく。
もちろん大変なこともありましたが、すごく面白かったです。
特に良かったのは、同じクラスにいろいろなバックグラウンドの人がいたこと。
完全な未経験者もいれば、コーディングが得意な人、現職でリサーチや企画をしている人もいました。
そういう人たちと一緒に課題に取り組むことで、
「そんな視点で考えるんだ」
と刺激を受ける。
そして、
「経験者と自分、意外と視点が変わらないかもしれない。自分もいけるかも」
という自信にもつながりました。
「手を動かす」より「方向性を示す」方が自分には合っていた
デジタルハリウッドで学んだことで、もう一つ見えてきたのが、自分がどんな仕事をするのが好きなのかということでした。
当時はPhotoshopなどを使って自分でデザインを作る機会もありました。
でも、思うようにいかないことも多かった。
一方で、
「これ面白いじゃん」
「これをもっとこうしたら面白いんじゃないか」
と考えたり、それを言葉にしたりすることは楽しかった。
そして、自分が考えた方向性をもとに、デザイナーやコーダーが形にしてくれる。
さらに、自分が想像していた以上のものが返ってくる。
その過程が面白かったんです。
だから、
「手を動かす側になるより、方向性を示す側の方が自分には合っている」
と感じるようになりました。
UI/UXデザインを学ぶことで、単にデザインスキルを身につけるだけではなく、自分がクリエイティブの中でどんな役割を担いたいのかを考えるきっかけにもなったのです。
前職の経験も、意外なところで役に立った
未経験からクリエイティブ業界へ転職するとき、
「前職の経験は役に立つのだろうか?」
と不安になる人もいるでしょう。
櫃石さんの場合、前職で担当していたのは、PCの準備やトラブル対応など、いわゆるヘルプデスク業務が中心でした。
一見すると、クリエイティブとは直接関係がありません。
しかし、そこで身についた経験が、転職後に思わぬ形で役立ちました。
前職では、社内のさまざまな人から一度に問い合わせが来る。
それに対して、優先順位をつけながら対応していく。
その経験が、クリエイティブ会社で複数の案件を並行して担当するときに役立ったといいます。
「いろいろなところから、いろいろな要件が来るけれど、うまくさばいていく」
という基本的な力は、前職ですでに鍛えられていたのです。
だからこそ、櫃石さんは、
「1年しか経験していないから、その経験を活かさなければ」
と無理に考える必要はないと話します。
「人生は長いから、いろいろやったことがいつかつながればいい」
そんな考え方も、キャリアチェンジを考える人にとって大きなヒントになるのではないでしょうか。
転職先を決めるときに大切にしたのは「人に話を聞くこと」
未経験からクリエイティブ業界へ転職する際、櫃石さんが活用したのが、業界で働く人に直接話を聞くことでした。
あるサービスを通じて、企業で働く人と1時間ほど話せる機会をつくり、そこでクリエイティブ業界について相談。
その中で複数の企業を紹介してもらい、最終的に自分が一番面白そうだと感じた会社を選びました。
「転職サイトを見て、一人で悩み続ける」のではなく、
実際に業界で働いている人から話を聞く。
それによって、自分が知らなかった会社や仕事の情報を得られたり、「自分に合いそうな仕事」を具体的にイメージできたりします。
櫃石さん自身も、
「業界の人と話すことはめちゃくちゃ大事」
と振り返っています。
ポートフォリオは「転職のため」だけじゃない
クリエイティブ業界への転職で欠かせないものの一つが、ポートフォリオです。
櫃石さん自身、最初に作ったポートフォリオは、今振り返るとかなり改善の余地があったそうです。
転職活動では、最初に応募したときにはポートフォリオを添付しておらず、同じ大手IT企業の職種に応募して一度不採用になった経験もありました。
その後、ポートフォリオをきちんと作ってから再度応募し、採用につながりました。
この経験からも、ポートフォリオが転職活動において重要な役割を持つことが分かります。
しかし、櫃石さんが考えるポートフォリオの価値は、それだけではありません。
「転職しなかったとしても、ポートフォリオはあった方がいい」
と話します。
なぜなら、ポートフォリオを作ることは、自分のキャリアを棚卸しすることにもなるからです。
自分は何をしてきたのか。
何ができるのか。
何を大切にして仕事をしてきたのか。
それを整理して、人に伝わる形にする。
つまりポートフォリオ制作そのものが、自分自身の経験を言語化するトレーニングにもなります。
そして、大手IT企業のプロダクトマネージャーへ
クリエイティブ会社で約4年間経験を積んだ後、櫃石さんは転職。
現在はプロダクトマネージャーとして、サービス改善に携わっています。
現在の仕事では、サービスの改善やキャンペーンなどについてスケジュールを立て、仕様を決め、デザイナーや開発メンバーと連携しながらプロジェクトを進めています。
特に面白いと感じるのは、すでに多くの人に使われているサービスだからこその「制約」の中で、より良い答えを探すこと。
新しい機能を追加するときも、
「どういう画面の導線にするか」
「どのように要素を配置するか」
「これまでのサービスの流れとどうつなげるか」
など、さまざまな条件を考えながら最適解を探します。
櫃石さんは、その感覚を「パズルみたい」と表現します。
ユーザーファーストという価値観のもと、さまざまな制約がある中で、
「ユーザーにとってはどうするのが良いのか?」
を考え、最後に「これだ」と答えが見つかった瞬間に面白さを感じるそうです。
「最初から今の会社にいたら、たぶんつまらなかった」
現在は安定したサービスの中でプロダクトマネージャーとして働いている櫃石さん。
一見すると、現在の仕事がキャリアのゴールだったようにも見えます。
しかし、本人は少し違う捉え方をしています。
「最初から今の会社に行っていたら、たぶんダメだったと思う」
と話します。
クリエイティブ会社では、さまざまな案件に関わり、幅広い経験を積みました。
一方、現在は一つのサービスを深く掘り下げる仕事。
どちらにも違った面白さがあります。
だからこそ、
「この順序で経験できたのは、自分にとってよかった」
と感じています。
キャリアは、最初から正解を選ぶ必要はない。
その時々で必要な経験を積んでいけば、後から振り返ったときに、それぞれの経験がつながっている。
櫃石さんのキャリアからは、そんなことも見えてきます。
「アクセルをかける瞬間」が大事
櫃石さんのキャリアには、いくつかの転機があります。
情報システム系の会社を辞めたとき。
デジタルハリウッドで学び始めたとき。
クリエイティブ会社へ転職したとき。
そして、現在の会社への転職を決めたとき。
そのたびに、偶然の出会いや情報収集をきっかけに、
「これかもしれない」
と思ったら、一気に動いています。
本人は、
「これかもと思ったら、一旦ズカーッと行ってみる」
と表現します。
もちろん、勢いだけで動いているわけではありません。
業界の人に話を聞く。
求人を調べる。
ポートフォリオを作る。
エージェントに相談する。
必要な情報を集めたうえで、「ここだ」と思ったら動く。
その繰り返しが、キャリアを前に進めてきました。
未経験からクリエイティブ業界を目指すなら、「まずやってみる」
最後に、これからクリエイティブやデザインを学びたい人へのアドバイスを聞きました。
櫃石さんから返ってきたのは、とてもシンプルな言葉でした。
「迷っているくらいなら、まずやってみる」
やってみることで、見えてくることがたくさんある。
やってみて違うと思ったら、そこから軌道修正すればいい。
実際、櫃石さん自身も、最初から今のキャリアを思い描いていたわけではありません。
情報システム系の会社に入り、違和感を覚え、クリエイティブ業界へ。
そこで苦労しながら経験を積み、クリエイティブディレクターとしての自信を身につけ、さらに現在のプロダクトマネージャーへ。
一つひとつの経験を積み重ねる中で、自分に合う仕事や働き方が見えてきました。
だからこそ、
「失敗したらどうしよう」
と考えて動けないよりも、
「まずやってみて、そこから考える」
ことが大切なのかもしれません。
UI/UXデザインを学ぶことから、キャリアの可能性を広げよう
櫃石さんのキャリアは、「UI/UXデザインを学んだら、必ずUI/UXデザイナーになる」というものではありません。
UI/UXデザインを学び、グループワークを通してさまざまな人の視点に触れ、自分の得意なことや興味のあることを見つけていく。
そこからクリエイティブディレクター、プロジェクトマネージャー、そしてプロダクトマネージャーへ。
学んだことを土台にしながら、自分自身のキャリアをつくっていく。
そんな選択肢もあります。
デジタルハリウッドの本科UI/UXデザイン専攻では、UI/UXデザインの知識・スキルだけでなく、グループワークや実践的な課題を通して、さまざまな視点を持つ人と協働しながら学びます。
また、本科UI/UXデザイン専攻2026年10月生では、最後のクライアントワーク課題として、Yahoo!フリマのサービス改善をテーマにしたクライアントワークに取り組む予定です。
「クリエイティブの仕事に興味があるけれど、自分に何が向いているのか分からない」
「未経験からデザイン業界を目指したい」
「今の仕事とは違うキャリアに挑戦してみたい」
そんな方は、まず「学んでみる」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
迷っているくらいなら、まずやってみる。
櫃石さんのキャリアは、その一歩が次の可能性につながっていくことを教えてくれます。
本科UI/UXデザイン専攻では何を学ぶ?
本科UI/UXデザイン専攻では、デザインの基礎だけでなく、 ユーザーの課題を発見し、価値ある体験を設計するためのUI/UXデザインを、 実践的な課題制作を通して学びます。
ユーザーの視点に立って課題を考え、 「誰に、どのような体験を届けるのか」を整理しながら、 UI設計やUX設計、Webサイト・サービスの改善提案などに取り組みます。
学べる内容
- デザイン基礎
- UI/UXデザイン
- ユーザー分析・ユーザー調査
- 課題発見・UX設計
- UI改善提案・UI設計
- Webデザイン・コーディング
- サービスデザイン・インタラクティブ表現
- 実践的な課題制作
- 卒業制作・ポートフォリオ制作
単に画面をきれいにデザインするだけではなく、 「ユーザーは何に困っているのか」 「どのような体験を設計すれば、その課題を解決できるのか」 といった思考のプロセスから学んでいきます。
デジタルハリウッドSTUDIO編集部
デジタルハリウッドSTUDIO編集部は、全国に展開する「デジタルハリウッドSTUDIO」のスクール運営・広報チームによって構成されています。
Web・映像・デザインなどを学ぶ受講生一人ひとりの学びと挑戦を日々サポートしてきた経験をもとに、STUDIO現場のリアルな声や卒業生インタビュー、最新の学習トピックスなど、クリエイティブな学びに役立つ情報を発信しています。
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