2026年8月15日、デジタルハリウッドSTUDIO渋谷にて、
「デザインで、プロダクトチームを動かす」をテーマにしたイベントを開催しました。
今回のイベントには、DMM.comでプロダクトデザイナー/プロダクトオーナーとして活躍する、ふるじゅんさんが登壇。
AIによってデザインのあり方が大きく変化する今、デザイナーにはどんな力が求められるのか。
そして、プロダクト開発の現場でデザイナーはどのような役割を担っているのか。
実際の開発現場での経験をもとに、これからのデザインキャリアについてお話しいただきました。
登壇者
ふるじゅん/プラットフォーム開発本部 第3開発部 Developer Productivity Group フロントエンドチームデザイナー/プロダクトオーナー(@design_oldriver)
小さな事業会社でWebディレクション、デザイン、実装から解析、Webコンサル業務などの多様な業務に取り組む。
デザイナーとして個人事業主と本業を両立。2023年4月にDMM入社。
DMMプラットフォームのデザインシステムの開発を行うチームで、デザイナー兼プロダクトオーナーを務める。
本部のAIエヴァンジェリストとしても活動し、開発プロセスの中にAIを浸透させる取り組みも行なっている。
「デザイナー=画面をつくる人」ではない
ふるじゅんさんが現在携わっている仕事は、デザインシステムの設計・運用だけではありません。
プロダクト戦略の設計、判断基準の設計、ユーザー調査、ワークショップ、ロードマップ設計、組織改善、AI活用の推進など、その仕事は非常に多岐にわたります。
「これってデザイナーの仕事なんですか?」
そう思う方もいるかもしれません。
しかし、プロダクトをより良くするために「何をつくるのか」「なぜつくるのか」「誰のためにつくるのか」を考えていくと、デザインの領域は自然と広がっていきます。
デザインは、画面の見た目だけを整える仕事ではありません。
ユーザーの課題を理解し、チームで解決策を考え、実際にプロダクトを前に進めていく。
そのプロセスそのものに、デザイナーが関わることができるのです。
AI時代に「変わらないデザインの本質」とは?
今回の講演では、AIによってデザインの仕切りが下がり、デザイナー以外の人でも一定レベルのUIをつくれるようになってきた現状についても触れられました。
では、AIによってデザインができるようになったら、デザイナーは必要なくなるのでしょうか?
ふるじゅんさんが示したのは、「デザインの本質」に立ち返ることの重要性でした。
AIによって、具体的な表現方法やツールの使い方は大きく変わっていきます。
一方で、
* ユーザーのニーズを理解する
* 置かれている状況や文脈を理解する
* 本当に解くべき課題を見つける
* 何を優先するべきか判断する
* 関係者と合意形成する
といった部分は、これからもデザインにおいて重要な力として残っていきます。
つまり、「どうつくるか」だけではなく、「何のためにつくるのか」を考える力が重要になっているのです。
AIが得意なこと、人間だからこそできること
講演では、AIをデザインの敵ではなく、味方として活用する考え方も紹介されました。
たとえば、情報収集や下書き、アウトプットへのレビューなど、AIが得意な部分は積極的に任せていく。
一方で、
「このユーザーの言葉の裏には何があるのか?」
「このプロダクトは、何に最適化すべきなのか?」
「今、本当に解くべき問題は何なのか?」
といった判断は、人間が担う領域です。
特に印象的だったのが、「AIが苦手な領域のスキルを磨く」という考え方。
表面的なアウトプットをつくる力だけではなく、文脈を読み、問いを立て、意思決定する力を持つことが、これからのデザイナーの強みになっていきます。
プロダクトチームを動かす「3つの力」
では、実際にプロダクト開発の現場で活躍するためには、どんな力が必要なのでしょうか。
今回のお話の中で、特に印象的だったのが以下の3つです。
1.分析力
目の前にある問題を一つひとつ解決するだけではなく、
「そもそも、なぜこの問題が起きているのか?」
「複数の問題に影響している根本原因は何なのか?」
を考える力です。
表面的な課題ではなく、その背景にある構造まで捉えることで、「今、何に集中すべきなのか」が見えてきます。
2.コラボレーションする力
プロダクト開発は、デザイナーだけでは完結しません。
エンジニア、プロダクトマネージャー、ビジネス側など、異なる専門性を持つ人たちと一緒に進めていく必要があります。
だからこそ、専門領域を超えて会話し、共通のゴールをつくる力が重要になります。
「デザインの話だからデザイナーだけで考える」のではなく、みんなが意見を出せる問いに変えていく。
そんなコミュニケーションも、デザイナーの重要な仕事の一つです。
3.ファシリテーション力
どれだけ良いアイデアがあっても、チームが動かなければプロダクトは変わりません。
前提を揃え、共通のゴールを設定し、関係者の合意形成を進め、次のアクションにつなげる。
そして大切なのは、「小さくても次の行動を生み出すこと」。
昨日より今日、少しでも良くする。
その積み重ねが、組織やプロダクトを変えていくのだというお話がありました。
これからデザイナーを目指す人へ
最後に、これからデザイナーを目指す人に向けて、ふるじゅんさんからキャリアについてのアドバイスがありました。
その中でも印象的だったのが、
「信頼できる一次情報に当たる」
「顧客のニーズを感じ取れる場所にいる」
「情報が入ってくる場所に立つ」
という考え方です。
デザインのノウハウやツールは、これからも変化していきます。
だからこそ、変化する「HOW」だけを追いかけるのではなく、ユーザーや社会、事業の変化を捉えながら、自分自身の判断軸を持つことが大切です。
そして、デザイナーとして活躍する場所は、制作会社やデザイン部門だけではありません。
プロダクトチームの中に入り、エンジニアやビジネス側と一緒に課題を見つけ、プロダクトを改善し、事業を動かしていく。
そんなキャリアも、これからますます広がっていくのではないでしょうか。
「つくる」だけではなく、「動かす」デザイナーへ
今回のイベントを通して見えてきたのは、これからのデザイナーに求められる役割が、確実に広がっているということです。
UIをきれいにつくる。
Webサイトをデザインする。
それだけではなく、
「ユーザーは何に困っているのか?」
「本当に解くべき課題は何なのか?」
「チームでどうすれば前に進められるのか?」
を考え、周囲を巻き込みながらプロダクトを動かしていく。
AIによって「つくる」ことのハードルが下がる今だからこそ、デザイナーには「考える」「問いを立てる」「人を動かす」力がより求められています。
デジタルハリウッド本科UI/UXデザイン専攻では、UI/UXの知識やデザインスキルだけでなく、ユーザーの課題を発見し、価値ある体験を設計するための実践的な学びを行っています。
「画面をつくるだけではないデザイナーになりたい」
「プロダクト開発の現場で活躍したい」
「AI時代に求められるデザインの力を身につけたい」
そんな方は、ぜひ本科UI/UXデザイン専攻の学びをチェックしてみてください。
本科UI/UXデザイン専攻では何を学ぶ?
本科UI/UXデザイン専攻では、デザインの基礎だけでなく、 ユーザーの課題を発見し、価値ある体験を設計するためのUI/UXデザインを、 実践的な課題制作を通して学びます。
ユーザーの視点に立って課題を考え、 「誰に、どのような体験を届けるのか」を整理しながら、 UI設計やUX設計、Webサイト・サービスの改善提案などに取り組みます。
学べる内容
- デザイン基礎
- UI/UXデザイン
- ユーザー分析・ユーザー調査
- 課題発見・UX設計
- UI改善提案・UI設計
- Webデザイン・コーディング
- サービスデザイン・インタラクティブ表現
- 実践的な課題制作
- 卒業制作・ポートフォリオ制作
単に画面をきれいにデザインするだけではなく、 「ユーザーは何に困っているのか」 「どのような体験を設計すれば、その課題を解決できるのか」 といった思考のプロセスから学んでいきます。