 
                           【目次】
エンジニアとは?
エンジニアとは、技術的な知識やスキルを用いて、製品やシステムの開発・設計・運用を行う職種の総称です。IT分野では、プログラミングやシステム設計、ネットワーク構築などを担当する技術者を指すことが多く、業種によってWebエンジニア、インフラエンジニア、AIエンジニアなどさまざまな分野に分かれます。エンジニアの仕事は、単に技術を扱うだけでなく、課題解決や新しいサービスの創出など、ビジネスや社会に直接貢献する役割も担っています。近年はAIやクラウドの進化により、より幅広いスキルが求められるようになっています。
種類
- Webアプリケーションエンジニア ―Webブラウザ上で動作するアプリケーションの設計、開発、運用を横断して行う職種です。要件定義、API設計、性能改善まで一気通貫で担います。
- フロントエンドエンジニア ― 言葉通り、Webサイトやアプリケーションなどのユーザーが直接目にして操作をする「フロントエンド」の部分を開発します。
- バックエンドエンジニア ― 認証、DB設計、スケーラビリティを中心にサーバー側を実装します。堅牢性と保守性を担保する役目を担っています。
- インフラ/クラウドエンジニア ― AWS等で基盤を設計・運用します。ネットワーク、可用性、コストを最適化し安定稼働を支えています。
- SRE(Site Reliability Engineering) ― SLI/SLO設計、自動化、インシデント対応で信頼性を継続的に向上させます。
- データエンジニア ― ETL/ELTやDWHを整備しデータ基盤を構築。分析・AI活用が進む土台を作っています。
- AIエンジニア ― モデル開発・評価・MLOpsを担当しています。特徴量設計や推論基盤の最適化まで実施します。
- モバイルエンジニア ― iOS/Androidアプリを開発します。UI/UX、端末資源、ストア審査や配信まで考慮する必要があります。
- セキュリティエンジニア ― 脅威分析と対策を計画・実装します。脆弱性診断や監視でリスクを低減させます。
リスキリングとは?
経済産業省の定義では、「リスキリングとは、新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」とされています。ここ数年はDXが進み、すでにある事業やビジネスモデルではなく、現時点では、まだここにない事業やビジネスモデル、仕事等に取り組む必要が出てきています。今までは、既存の事業や仕事を遂行するために、人材育成の取り組みはOJTがメインでしたが、そうではなく、新たな人材育成の取り組みが必要となってきています。スキルの大幅な変化に適応するためには、リスキリングが重要とされてきているのです。
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OJTとリスキリングの違い
OJTとは、“On-the-Job Training”の略称で新入社員や中途社員、派遣社員に対して、上司や先輩が指導役となって、実際に職場で発生する実務を通して知識やスキルを身につけてもらう人材育成の手法です。基本的に育成担当者は、社内にいる上司もしくは先輩が担当し、マンツーマンでの指導がメインとなります。 一方で、リスキリングの場合は、OJTのように今ここにある仕事内容を実践的に指導するというものではなく、今ここにない事業・仕事を教える必要があります。そうなった場合、社内には新しいスキルを持つ人間がいないというケースも多く、企業が組織的にスキル習得をサポートする必要が出てきています。また、スキル習得後、企業側は、実際に実践の場を用意することも重要です。
エンジニアのリスキリングの必要性とは?
リスキリングは、非エンジニアだけに必要とされるものではありません。エンジニアであっても、新しい言語やフレームワークの登場といったように知識のアップデートが常に必要とされます。今すぐに既存のシステムやサービスがなくなるわけではありませんが、社会的な要望と併せて企業に求められるスキルも変化していくことが想定されます。今までは、こういった知識やスキルのアップデートは、個人の裁量に任せられていましたが、今後は、企業全体の課題として取り組むことが重要視され始めているのです。
業務効率の向上
エンジニアがリスキリングに取り組むことで、最新技術やツールを習得できます。問題解決までのスピードがアップしたり、業務プロセスの効率化につながったり、個人だけではなく、チーム全体の生産性向上にもつながります。業務効率の向上は、仕事の満足度を高めることにもつながりやすいです。
キャリアの選択肢の向上
リスキリングを通して新たなスキルを身につけることができれば、キャリアの選択肢の向上につながります。異業種からの転職も可能です。例えば、Webデザインスキルを身につければ、別の職種からWebデザイナーへの転職といったキャリア変更もできます。転職だけではなく、現在の会社でスキルを活かし部署移動ができたり、副業や業務委託ができたりする可能性もあります。
市場価値の向上
専門知識を持つエンジニアがリスキリングを受けることで、企業からの引き合いが増えリスキリングの効果はより発揮されやすいと言えます。エンジニアの市場価値の向上にもつながります。フリーランスのエンジニアの場合は、多くの引き合いがあったり、より多くの案件に参画できるチャンスを得たりすることができやすくなります。
年収のアップ
エンジニアという職種自体、専門性のあるスキルや知識を持つ職種ではありますが、リスキリングによってスキルセットが充実することで年収アップのチャンスにもつながります。より高度なスキルを持ったエンジニアは市場や企業にとって大きな価値を提供できると考えられるからです。また、フルリモートで働く、報酬単価の高いプロジェクトに参画するなど、働き方の選択肢を増やすことにもつながります。
スキルアップ
スキルセットを更新し続けることで、エンジニア自身のキャリアアップを見込むことも可能です。最新のスキルを持っていることや、情報を得ていることを面接の際に伝えることは、アピールポイントの一つになります。 多様なスキルや知識を持つことで、エンジニア以外のキャリアへつなげることも不可能ではないため、リスキリングに取り組むことでスキルアップを図ることは今後、重要と言えるでしょう。
エンジニアが取り組むのにおすすめのリスキリング
エンジニアが今から取り組むのにおすすめのリスキリングをいくつか紹介します。
クラウドスキル
エンジニアにとって、クラウドスキルを持ち合わせていることは重要です。企業のクラウド移行や運用を円滑に進めることができるからです。
主要なクラウドプロバイダ
・AWS
・Azure
・Google Cloud Platform
など
データ分析スキル
データサイエンティストだけではなく、ITエンジニアにも、データ分析スキルが求められ始めています。多くの企業で、ビジネスの戦略を決める際などにデータに基づいた意思決定がされ始めており、これまで以上にデータ分析の活用は進んでいます。 データ分析において基本スキルは以下のようなものになります。
・SQL
・Python
・R
など
また、データをビジュアライズするツールであるTableauやPower BIなどといったツールを用いてデータ分析の結果をまとめることができればより価値は高まるでしょう。
IoTスキル
IoTスキルは、多くのビジネスに影響をもたらしています。リスキリングを通して身につけるスキルとして、IoTデバイスの開発や運用に関するスキルも良いでしょう。例えば、データ通信やセンサーネットワークといった技術の習得が該当します。ただし、必要とされるIoTスキルは日々進化していくため最新の情報を取得しその時その時に必要なスキルを取り入れることが重要です。
IT系の資格取得
エンジニアとしてのスキルの証明としてIT系の資格取得も有効です。今までに紹介したクラウドスキルやデータ分析に関する資格も多くあり、これらを取得することで専門性をアピールできます。また、プロジェクトマネジメントや専門性のあるテクニカルな資格を取得することも良いでしょう。
とはいえ、資格取得はコストや時間がかかることがあるため、業務に支障が出ないよう効率的にリスキリングを進めることが大切です。
UI/UXデザインスキル
システムやアプリの利便性を高めるうえで、UI/UXデザインの知識はエンジニアにとっても欠かせません。ユーザー中心の設計思想(HCD)やプロトタイピングツール(Figma、Adobe XDなど)の習得を通じて、開発段階からユーザー視点で課題を発見・改善できるようになります。開発スキルとデザイン思考を兼ね備えることで、より完成度の高いサービスを創出することも可能です。
プロジェクトマネジメントスキル
開発規模が大きくなるほど、進行管理やチームマネジメント能力が求められます。リスキリングとしてプロジェクトマネジメントを学ぶことで、開発工程全体を俯瞰し、スケジュール・リスク・品質をコントロールできるようになります。PMPなどの資格取得を通して体系的に学ぶことで、チームをまとめるリーダーや上流工程へのキャリアアップも実現しやすくなります。
生成AIスキル
AI技術の発展により、機械学習や生成AIに関するスキルの需要が急速に高まっています。Pythonなどのプログラミング言語を活用してモデルを構築したり、ChatGPTやClaudeなどのAPIを業務に応用したりする知識は、多くの職種で活かせます。AIの仕組みを理解し、業務効率化や新規サービスの企画に結びつけるスキルを身につけることで、エンジニアとしての価値をさらに高めることができるでしょう。
リスキリングに取り組む方法とは?
実際に、リスキリングに取り組む方法について3パターンの取り組み方法を紹介します。
社内での勉強会
同僚と情報交換や知識共有といった社内での勉強会を通じてリスキリングに取り組むことができます。部署全体のスキルアップだけでなく、モチベーションアップにもつながりやすく、こういった定期的な勉強会を通して、コミュニケーション力の向上にもつながることが期待できます。
社外のセミナー
社外のセミナーに参加することでリスキリングに取り組むこともできます。セミナーに参加することで、最新の情報をキャッチアップしインプットすることができます。ただし、多くのセミナーに参加だけすれば良いというわけではなく、インプットした情報を実際の業務に活用してみたり、同僚へアウトプットしたりするといった取り組みが重要です。
各種スクールで学ぶ
スクールに通学することで、専門的な知識やスキルをカリキュラムに沿って効率的に学ぶことができます。例えば、プログラミングスクールやデータサイエンススクールなどです。スクールの受講方法も、通学だけではなく、オンラインで学べるスクールもあります。日々の仕事と並行して学べるスタイルのスクール選びをすると良いでしょう。
リスキリングを行う際の注意点
企業側が、エンジニアに対して、リスキリングを行う際の注意点がいくつかあります。今回は3つの注意点を紹介します。
リスキリングを行う際の注意点 自社にあわせたリスキリングの実施
企業によって、適切なリスキリング形式は変わってきます。業務を効率化するために、どのようなスキルが今後必要とされるのかをまずは確認し、どのように社員をスキルアップさせるのがベストなのかを分析してからリスキリングを導入するのが良いでしょう。
リスキリングを行う際の注意点 社員の理解を充分に得る
企業側が一方的に、必要なスキルを決めリスキリング制度を導入することで、社員としては、モチベーションを維持するのが難しい場面が発生する可能性があります。リスキリングという考え方が浸透してきてはいますが、まだまだ認知は低い状態です。リスキリングの導入の前に、取り組むことでどのようなメリットがあるのか、現状の業務と並行しながらどのような環境で学べるのかを丁寧に説明しスタートすることが重要です。
リスキリングを行う際の注意点 人材流出のリスクを下げる
リスキリングで身につけたスキルを武器に転職を考える社員も出てくる可能性があります。人材流出のリスクを下げるためには、新たなスキルを身につけたら、活かせる職種や職務を与えたり、インセンティブや役職を与えたりするなどの対策が必要です。この会社でスキルを活かして長く働きたいと思ってもらえるような環境、仕組みづくりが重要です。
エンジニアのリスキリングならデジタルハリウッド専門スクール
リスキリングを通して、エンジニア以外のクリエイティブスキルを身につけたい方はデジタルハリウッド専門スクールがおすすめです。Webデザインやグラフィックデザイン、XR、CGなどといった分野のスキルを未経験から身につけることが可能です。
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まとめ
今回は、エンジニアがリスキリングを行う必要性やおすすめの内容を紹介しました。リスキリングという言葉や考え方はここ最近、広まってきてはいますがまだまだ取り組み始めたばかりという方が大半です。ITエンジニアの方も先端のスキルを身につけ、今後活躍ができ続けるエンジニアを目指すためにリスキリングにいち早く取り組んでみましょう。