公開日:2025-11-20
AR/VRポートフォリオの作り方
AR/VR業界は急速に拡大しており、UI/UXデザイナー、テクニカルアーティスト、3Dモデラー、エンジニアなど多様な職種が求められています。
しかし、まだまだ“評価基準が定まっていない”分野でもあり、就職活動ではポートフォリオの質が採用可否に直結します。
本記事では、AR/VR分野で採用担当者に刺さるポートフォリオを作るためのポイントを、具体例とともに解説します。
AR/VRポートフォリオの作り方のポイント7つ
1.AR/VRポートフォリオは「体験の説明」が命
AR/VRは“体験そのもの”が価値の中心にあります。しかし、その体験は紙面では伝わりにくいため、次の3点が重要です。
-
動画で見せる
- 実際のプレイ映像 / ユーザー視点での体験動画
- 30~60秒でテンポ良くまとめる
- 可能なら複数アングル(1人称+外からの様子)
-
before/afterで意図を説明
- どんな課題に対する解決策か
- UIや演出の改善プロセス
- 直感的な操作性への工夫
-
言語化で補強
- 体験の目的
- 想定ユーザー
- 技術的制約と工夫
- 使用ツール(Unity、UE、Blender、ARKit、ARCoreなど)
▶ポイント:単なる作品紹介ではなく、「体験設計の思考」が伝わるほど評価が上がる。
2.プロセスの可視化が信頼を生む
採用担当者が知りたいのは、「この人と一緒に開発したらどうなるか」。そのため、完成品よりも開発プロセスが重要です。
掲載すべきプロセス例
- コンセプトスケッチ
- プロトタイプ動画(紙プロト含む)
- テストプレイの記録
- 変更履歴と理由
- 失敗例や学び
特にARやVRは検証と改善の繰り返しが不可欠なため、“プロトタイピングの速さと質”は大きなアピールになります。
3.AR/VRライクな演出をポートフォリオに盛り込む
AR/VRの作品を閲覧する立場に立つと、以下の演出があると理解しやすくなります。
◎3Dモデルの回転ビュー
Sketchfabなどにアップして埋め込むと印象アップ。
◎操作説明をイラスト化
- ハンドトラッキング
- コントローラー操作
- 視線操作
など、操作体系を図解にすると伝わりやすい。
◎UXフロー図を掲載
“どんな体験がどの順序で進むのか”が一目でわかるようにする。
4.「AR/VRである必要性」を明確にする
優れたポートフォリオほど、作品の冒頭にこのプロジェクトがAR/VRである必然性が説明されています。
例:
- 「空間の広がりを体感させるためVRが最適だった」
- 「現実の物体と重ねて表示するためARを採用」
- 「教育用途のため、体験学習に向くXRを活用」
なぜ3D空間で表現したのかが語れると、企画力の評価も高まります。
5.コード・技術スタックの明確化(エンジニア志望の場合)
エンジニア職を狙うなら、技術面の開示は必須。
書くべき情報
- 使用エンジン:Unity/Unreal
- フレームワーク:ARFoundation/MRTK/XR Interaction Toolkit
- 対応プラットフォーム:Meta Quest/Vision Pro/HoloLens/WebAR etc.
- 実装した機能:ハンドトラッキング、空間マッピング、物理演算、シェーダーなど
- パフォーマンス最適化:ドローコール削減、LOD、バッチングなど
GitHubや技術記事へのリンクがあるとより強力。
6.「企業が求める視点」を押さえる
企業は主に以下をチェックしています。
-
XRならではの課題を理解しているか
- 3D酔いへの配慮
- UIの距離感・視認性
- インタラクションの自然さ
- 空間スケールの扱い
-
チーム開発の経験
XRは複数職種が絡むため、
- コミュニケーションの工夫
- 役割分担
- バージョン管理
などの記載はプラス。
7.初心者でも評価される作品の作り方
- 小規模でも「体験の質」を重視
- 既存アセットの使用は問題なし(企画と体験設計で勝負)
- 1~2週間で作れる作品を複数仕上げる方が有利
- “未完成の大作”は評価されにくい
まとめ:AR/VRポートフォリオは「体験×思考プロセス」
AR/VRのポートフォリオは、
体験が伝わる動画 + 思考プロセスの可視化 + XR特有の理解
の3つが揃うと一気にレベルが上がります。