未来を作るWEBデザイナーは、ウェブ解析力を持つべきだ!

未来を作るWEBデザイナーは、ウェブ解析力を持つべきだ!

(右)江尻俊章氏のシンガポール、オーキッドにある江尻氏のオフィスでインタビューさせていただきました。マーライオン対談です。(左)占部雅一(スタジオ横浜・代表)

これからのWEBデザイナーになぜ「ウェブ解析力」が必要なのでしょうか?以前から言われ続けてきたことですが、ますます重要になる理由はなぜでしょうか?少々苦手意識を持っている方たちはどういうマインドセットをすべきなのでしょうか?


今回の学習目的

・ウェブデザイナーは、なぜ数字に強くならないといけないか?

・ウェブ解析のために、どういう勉強をするべきか?

・給与、年収、ポジションはどう変わるか?

いまやデザイナーにとってウェブ解析は、必要不可欠な時代になってきています。いまを遡ること20年も前に、ウェブ解析士協会の代表理事、江尻俊章氏は、中小企業の支援を志してWEB制作会社「環(かん)」を起業されました。

当時はインターネットの黎明期。中小企業のトップはネット活用しようとしても、予算がないため、多くのトップは動けないんだという声が多かったといういます。


江尻:1997年くらいです。中小企業の社長を説得させる武器が必要だと探していたときに見つけたのが、「実践論WEBマーケティング(Measuring the Impact of Your Web Site)」という本でした。忘れもしない新宿の紀伊國屋書店でしたよ(笑)。これがウェブ解析ののめり込んだ発端です。WEBサイトの効果を「見える化」することができて、確実に売れるなら、中小企業の社長は、投資をしてもらえたんです。


以来、中小企業をターゲットとするウェブ制作会社「環」は、このウェブ解析を武器に、多くの顧客と評価を得て、楽天ビジネスで2009 楽天ビジネスアワード ホームページデザインジャンル賞 2006 楽天ビジネスアワード ホームページデザインジャンル賞 2005 楽天ビジネスアワード IT部門賞.を受賞するなど、人気の制作会社になったといいます。



江尻俊章(えじり・としあき)

福島県いわき市生。2000年からウェブ解析ツールの開発、ウェブ解析コンサルティングを行い、中小企業の業績を急拡大させた事例を豊富に持つ。2012年WACA代表理理事就任。

著書は『繁盛するWebの秘訣「ウェブ解析入門」~Web担当者が知っておくべきKPIの活用と実践』(2011年・技術評論社刊)など

デザイナーは、企業担当者と会話しないといけない。

江尻:まだGoogleもない時代でした。ウェブ解析で時間滞分析などして、売れている状況を社長さんに見せたんです。そして売れるといきに、どういう施策を打つべきかをアドバイスしました。売れるタイミングの1時間前にメールを打ちましょうとかという。


当時のWEBデザイン制作といえば、大半はデザイン中心で、新しいデザイン手法だったり感性を訴えたものなど、まだまだ「アートの要素」が強かったのを覚えています。また多くのクリエイターの卵たちも、多くは感性中心の方向にいる人たちが少なくありません。


江尻:社長さんの目的がアートではないんですよ。売れることはもちろんですが、会話ができないといけません。ターゲットユーザーは誰なのか?そのクリエイティブはどう影響するのか?ウエブサイトはいつ売れるのか?など、具体的なデータをもって、社長と会話できる共通言語が必要で、それがウェブ解析だったんですよ。

コンバージョンだけではない。ウェブ解析はカスタマー分析へ。

では、江尻さんからみたウェブ制作の会社は、いまどのような状態ですか?どれくらいの会社がウェブ解析を使いこなしているのでしょうか?また今後どのようになっていくでしょうか?


江尻:解析力をしっかり持っている制作会社はまだまだ少ないですね。5-20%くらいじゃないですか? 多くのウェブ制作会社は「コンバージョン重視で、そこに止まってしまっていますね。本当はもっと先に進まないといけません。それがカスタマーアナリティクスです。


カスタマーアナリティクスとは、ユーザーの同行やUXなどをトータルにみて、カスタマーの変数を求めていく分析で、個々のカスタマーの行動分析をするところまで時代は進んでいます。しかし、多くの制作会社が、相変わらず「コンバージョン」なんですね。まだまだ。


学び方、日々の習慣が大事。そしてなにより仮説!


クリエイターの卵であるエントリー層に、いきなりトップエンドのテーマを伝えても厳しいものがあります。では、彼女たちにいったいどういった勉強をアドバイスできますか?


江尻:まずないより現場感が必要なので、サービス事業者や企業ウェブ担当者の立場で数字を見つけることが重要です。その上で、(1)時間滞分析を行うことです。ピーク時にだれがきて、夜の時間滞はどう行動しているかを見ましょう。(2)仮説をつくって、しっかり検証しましょう。仮説なしで、数字ばかりみても無駄です。その上でPDCAを回しましょう。(3)それからしっかり「妄想しましょう。」なぜなら事業会社の社長さんは、ユーザーに関心があるんです。むしろ、そこしかない。

また、ヒートマップなどを見続けることもいい習慣ですね。

仮説 → データ取得 → 分析 → 問題発見

ウェブ解析でジャンプアップ! よりよい年収を得ましょう!

さて、最後にウェブ解析士になると、給料はあがるのでしょうか? せっかくがんばって資格を取った結果はどうなるのでしょうか?


江尻:はっきり上がるといえます。これは毎年、ウェブ解析士取得者にアンケート集計を出しているのですが、ほぼ例年、解析士の給与は平均40万円、月にして3万3000円くらいはコンスタントにあがっています。ウェブ解析士という資格が自分のバリューを高めてくれるのですが、なにより上司から頼られる存在になるというのが大きいですね。


最初はアシスタントでも、「ウェブ解析できますよ」と提案して、データ分析や意見を求められると、あっという間に評価が変わってくるそうです。よりより制作物のアウトプットのために、自らのウェブ解析の技術を磨く。なにより結果を出してのウェブサイトです。あなたもぜひチャレンジしてみてください。

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今回はシンガポールのオーチャードにある江尻氏のオフィスにおじゃました。
アジアと人種、宗教、そして経済も入り交じり、まさに現代のイスタンブールのような国で、熱いトークをさせていただきました。

インタビュー/占部雅一 

うらべまさかず メディアプランナー。デジタルハリウッド大学教授。出版社を経て、インターネット・メディア、広告展開に携わる。女性コミュニティー、メルマガ通信、Yahoo! JAPANなどの広告企画制作、ネットワークメディアの「Glamメディア」、企業のオウンドメディアなどを開発支援。2012年よりスマートフォンWeb最適化サービス「モビファイ」を開始し、モバイルコミュニケーションに傾注。デジタルハリウッドSTUDIO横浜オーナー。

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