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【イベント報告】『プロから学ぶ、映像クリエイションのためのワークショップ』

2024-03-13

『プロから学ぶ、映像クリエイションのためのワークショップ』を開催しました


こんにちは、デジタルハリウッド山口スタッフです。

今回のワークショップでは、『プロから学ぶ、映像クリエイションのためのワークショップ』ということで、 山口県萩市の出身で映像作家として活動されている、田邊アツシさんを特別講師としてお迎えし、3日間を通して 映像制作を学んでいきました。

この3日間では、参加者の皆さんで2つのチームに分かれていただき、同じ課題で30秒間のCMを制作していきます。


講師プロフィール



田邊 アツシ(たなべ あつし)

山口県出身。映像作家。自らのカメラによるアーティストのドキュメンテーション、美術館・博物館・文学館等 の展示映像を主軸に、TVCM、企業等の VP、ミュージックビデオの企画制作も手掛ける。 長編映画初監督作とな る『マゴーネ 土田康彦「運命の交差点」についての研究』においても撮影に加え、編集、脚本、ナレーションま でこなし、従来のドキュメンタリーともフィクションとも異なる表現、映画・文学・美術の境界を超えて「私」 を見つけるひとつの試みに挑戦した。イタリア・ヴェネチア在住の日本人ヴェネチアンガラス作家・土田康彦の 作品シリーズ「運命の交差点」のコンセプトワークと、2012〜18年に渡り取材した映像素材をもとに、その人 物像、創作の秘密を描いた同作は、2023年6月9日のシネスイッチ銀座を皮切りに全国各地で劇場公開された。

【1日目】



オリエンテーション

今回のイベントの一番の目的は、『イマジネーションのコミュニケーション』という感覚を持って頂きたいということでした。まずは、参加者の皆さんに『巨木』をイメージしてもらい自己紹介も兼ねて、各々でイメージした『巨木』を共有していきました。

自宅の近くにある大きな木や、川棚の楠木、HITACHIのこの木なんの木、高校の校庭にある大きな松の木、大好きな金木犀の木など その人のストーリーなどによってイメージされた木には違いがあります。

よく田邊さんは『なぜ、同じ被写体を撮ってても田邊さんの映像はこんなに違うんですか?』と聞かれることがあるそうです。人それぞれで生きた環境も違えば、考え方や価値観も違うので、物事の捉え方や見方が違ってくるのは当然のことです。なので、イメージした木の背景が違うのと同様に、映像にもその人の人生や経験が映し出されると考えているそうです。

ですので、このイベントでも自分が撮影された映像には自信を持って頂きながら撮影を楽しんでもらいたいとおっしゃられました。 必ず皆さんにはカメラマン役をやって頂き、一本のCMを作成していきます。





じゃあ、技術に関しては教えてもらえないの?

そんなに悲しまないでください!技術はいつでもどこでも学べます!
これから、皆さんで課題に向けて撮影していきますが、その中でイメージした映像が撮れなかったり、ライティングがうまくいかなかったりと壁に当たってきます。技術論というのはそこから生み出されています。例えば、「この時のこのレンズが違っていた」や「このライティングは違う」など、体験に基づく反省から技術面を磨いていくのです。

頭でっかちになり、先に技術面をガチガチに固めて撮影に望むより、自分のイメージした通りにやっていき技術面を磨いていく方が身についていきます。

田邊さん流の撮影に対する姿勢




私たち人間は、言語という優秀なツールを用いてコミュニケーションを図りますが、映像は言語化不可能な領域までコミュニケーションを図ることができるツールなので言語よりも慎重に扱わないといけません。

この表現によって誰かを傷つけてはいないかをじっくり吟味しながら映像制作に取り組まないとなりません。 今では誰もが映像を世に発信できる時代になりましたが、映像制作する上ではその作品に対し必ず自分の情熱やハートを持って制作して頂きたい。

そういったポジティブな感情を作品に刷り込ませて発信していくことで、今後の未来もポジティブな方向に変えてくれる道標になることを信じて、田邊さん自身も制作に取り組んでおります。

『クリエイターたるもの、作品で発信すべし!』


質疑応答




Q,撮影時に注意するポイント、こだわり

A,カットを頭の中で想定しながら撮影をしています。カットとカットで繋がるイメージが湧けば撮影します。
撮影前段階の話にはなってしまいますが、あるテーマに対して自分が語るべきストーリーがどこにあるのか?それにどうやって気付き、どうやって寄り添っていくのか?というところにその人らしさや個性が出てくるので自分なりの切り口というのは大切にしています。
こだわりとしては、人は美しく撮るということと。そして不明瞭な相手に向けて作るのではなく、明確にターゲットを決め、そこに向けて作品を作ることです。



Q,早朝、日中、夜間での撮影のポイント

A,まずは色温度的にはノーマルで撮ります。後々の編集で朝っぽくしたり夜や夕方っぽくできるようにノーマルで撮影します。 ドキュメンタリーにおいてはあまりノイズなどは気にせず撮影をしています。


Q,ライティングのポイント

A,太陽光が一番最高です。とはいってもライティングが必要な時は必ずあります。その際は、自分が何を明確に見せたいのかを意識し、ライティングを行います。しかし、ライティングを重ねすぎても良いものになるとは限らないので、シンプルに光は作っています。


Q,クライアントさんとの仕事ロードマップ

A,映像作家をやっておりますので、作家性を活かしたクライアントワークになるのですが、「田邊の選出に委ねたい」とおっしゃって頂けるように日々精進しております。アーティストさんとのやりとりが多くあり、場を乱されることを嫌う繊細な方が多いです。なのでお仕事の際は一人で現場に入りカメラを回す前から、アーティストとの距離感を縮めながら撮影に挑んでいました。


Q,仕事で大切なこと

A,自分が積み重ねてきたことを信じる。信じた上で丁寧で誠実でお仕事を頂いたことに感謝しています。そして道具も大切にします。座右の銘ではないですが『愚直』、『専門家は飽きられない』という言葉を信じて自分の道を突き進んでいます。



課題発表




今回のワークショップの課題では、架空のコーヒー飲料『デジバリスタコーヒー』の30秒CMにチャレンジしていきます。2つのチームに分かれて全く同じ台本のCMを作ります。


【制作の流れ】

①2つのチームに分かれ、各チームのリーダーを立てます。あくまで意見を集約する時のためのリーダーで絶対的な権限があるわけではありません。演出や撮影は必ず一人一回は担当すること。

②ドラマパートの上司役、社員役の2名のキャスティングを決める。性別や年齢の設定はありません。

③演出を決める。参考CMをベースに作成します。

④撮影を行う

⑤編集を行う

⑥ナレーション取り

⑦BGMの設定


まずは、現在TVでも放送されている、ベースとなる飲料CMを試聴しました。
CMは基本的にドラマパート、商品イメージカット、商品カットで構成されております。





【設定】

今回のCMの設定は、オフィスで仕事を頑張る若手社員とその上司が、週明けのプレゼン資料の制作に追われているという場面を設定しました。PCに向き合って資料作りに格闘している若手社員に、少し休憩を入れようと上司が一杯のコーヒーを手渡します。そのコーヒーを若手社員が飲み、癒されホッとした表情から決め台詞を言います。
商品イメージカットでは、コーヒーのシズル感を演出し美味しそうな画になるよう工夫していきます。



CM制作開始


それでは、2つのチームに分かれて『デジバリスタコーヒー』のCM制作開始です!





早速、それぞれのチームで進め方に違いが出てきました。
チームの皆さんを下の名前で呼び合い、作品の構成を入念に確認しながら制作を進めていくチーム。 とにかく参考CMをベースに一旦構成の流れを作り、後からみなさんのアイデアを入れていくスタイルのチーム。
一体どんな作品が出来上がるのでしょうか?






1日目は、午前中にワークショップのオリエンテーションを行い、午後から2チームに分かれてチームごとでミーティングを行い、 早いチームは早速撮影に入りました。各チーム全くスタイルが違い、同じ課題に取り組んでいきますがどれぐらい作品が変わってくるのかがすごく楽しみです。




【2日目】

さて、2/24日には二日目のワークショップが開かれました!

初日に講師の紹介をすることができなかったため、二日目にして講師の田邊アツシさんのご紹介ができました。
講師の田邊アツシさんは山口県に在住しており、映像作家として活躍されています。

TVCM、企業等のVP、ミュージックビデオの企画制作も手掛けており、スタジオでは過去に制作された作品を見せていただきました。 去年は自身初の映画となる『マゴーネ 土田康彦「運命の交差点」についての研究』も全国各地で劇場公開されています。





2日目は2チームとも前回の話し合いや参考動画を元に実際に本番撮影を行なっていきました。 それぞれ、役者さんとナレーションを立てながら撮影・録音を行なっていきます。




撮影の時には、ロケーションやカメラの画角、カットの割り方などそれぞれのチームで試行錯誤ながら話し合っていきました。
お互いがどんなイメージを持っているのかを全員で共有し、少しでもイメージ通りの作品ができるよう意見を擦り合わせていきます。商品イメージカットも撮影を行い、用意したコーヒー豆や淹れたてのホットコーヒーをシズル感を出しながら、いかに美味しく見せられるかを考えながら撮影していきました。

ナレーション撮りも、映像のタイミングに合わせながら棒読みにならないように何度も繰り返し録音されていました。




一番難しいところは演技の部分です。役者に選ばれた方は、もちろん普段俳優をやっている訳ではないので、どうしても慣れてくるまでは時間が必要です。
どちらのチームも満足のいくカットが出るまで繰り返し撮影を進めていました。 どちらのチームも、コミュニケーションを図りながら、役者の方の緊張をほぐし、最高のカットが撮れるように一致団結している姿がすごく印象的でした。

2日目後半からは、各チームとも編集作業に入っていきました。
撮った素材をPremiaProに読み込み、カットの編集を行なっていきます。




と、編集に入ったところで2日目が終了。
残すところ、あと1日です。果たして完成まで持っていけるのでしょうか?
最終日は、前半は作品の編集から仕上げまでやっていただき、後半では完成した動画の講評会も行います。完成が楽しみです!

【3日目】



さて、最終日がやってきました。
ここまであっという間に時間が過ぎてしまい、この日は各チーム編集からスタートしました。 当所の3日目のスケジュールは、映像の仕上げに入っている予定でしたが、果たして締め切りまで完成できるのでしょうか?

なんと前回の進捗を見越して参加者の方の中にはご自宅で編集されて来られた方や、見栄えを良くするためにロゴデータを加工された方もいらっしゃいました。皆さんでいい作品になるように、入念に話し合い着々と制作を進められました。




この仕上げの段階で田邊さんが初めに言われていた『イマジネーションのコミュニケーション』の共有が、大きく見えてきました。 ここまでしっかりミーティングを重ね、理想のカットをある程度決めてきましたが、撮ってきた素材映像から実際に必要な映像を選定し30秒間に入れなくてはいけません。

話し合いを続けてきましたが、それでも一人ひとりイメージしている画というのは少し違っています。
ここの段階はそれぞれで思っているイメージを擦り合わせていき、時には自分が気に入っていたカットを切らなくてはならなかったり、削っていく作業になります。一人ひとりイメージをしっかりと共有し、全員が納得できる映像を作っていきました。




講評会



あっという間に最終日も後半を迎え、なんとか2チームとも30秒CMの完成まで辿り着きました!
3日間本当にお疲れ様でした!

それでは完成したCMを皆さんと講評していきます。
各チームCM制作の進行方法は全く違い、「Mチーム」は初日からカメラを回し動画版絵コンテを作成し、2日目から本番カットを撮影していきました。 印象としてはかなりスピーディーな進行でしたが、一人ひとりの意見もしっかりと組み入れ、短い制作時間の中でもまとまったCMになったのではないかと思います。 なにより、役者の方の演技がすごく魅力的で印象的でした。


【Mチーム CM】

 

 

 


続いて『Fチーム』は、しっかりと一人一人とコミュニケーションを交わし、それぞれのこだわりポイントを聞いていき入念に話し合いを行っていました。
30秒間のカット割も細かく決めていき、みんなの理想を形にしようと作成しました。こだわる部分も多くあり、時間ギリギリにはなってしまいましたが、一つ一つのカットにはそれぞれのこだわりが入っており、チーム一丸となって作り上げた、思いのこもった映像となりました。



【Fチーム CM】

 

 

 



まとめ



 

今回のイベントに参加された方々は、映像未経験の方やベテランではない方が多くいらっしゃいました。その上、編集時間も実質約6時間というタイトなスケジュールだったので、当初思い描いた理想の映像と、出来上がった映像のギャップがあったのではないかと思います。

しかし、その問題点をどのように工夫していくか、ギャップを埋めていくのかを考えていくことが大事です。
技術だけを学び撮影をしてしまうと、問題にぶつかった時に、自らその問題点を考えることをしなくなってしまいます。

技術を教えてもらう前に、まずは理想通りに撮影してみて、その理想とのギャップを埋めれるように技術を磨いていくことが大切だと田邊さんはおっしゃられました!

本当にこの3日間のイベントでは、映像制作についての考え方や哲学を学び、一つの課題に対してチームメンバーのイメージを擦り合わせCMを制作したりと、参加者の皆さんにとってはかなり充実した3日間になったのではないかと思います。

イベント終了後も、田邊さんに質問をしたり、納得いく映像になるまで残って修正したり、参加者の皆さんも前のめりな姿勢でワークショップに臨まれていました!

また、映像に関するワークショップを開催する際は、皆様もぜひご参加ください!

 


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