
こんにちは。
デジタルハリウッド東京本校スタッフです。
2025年3月1日(土)に行われたイベント
『デザインとビジネスの未来戦略ー世界が求める日本的クリエイティブ』
の様子をお届けいたします。
登壇者紹介


●菊地 あかね(きくち あかね)
KiQ 主宰/ クリエイティブディレクター/ 所作研究家
デジタルハリウッドSTUDIO卒業生
18歳でデザインを学ぶためにNY移住。帰国し自国への探究として芸者修行を行い日本ならではの「所作」を学ぶ。
2018年に米国SXSWでアート作品「IEKBANA VR EXPERIENCE」を発表。僧侶の法話を可視化した「極楽浄土AR」が 2019年文化庁メディア芸術祭推薦作品に選定。
2020年には新潟市の開志専門職大学のキャンパス全体のアートディレクション、KAISHI LABのブランディングを担当。
2022年、大阪大学の石黒浩教授との共同プロジェクトにて「所作」と「未来の人間」をテーマに、アンドロイドの所作デザインを施し、アップデートを続ける。
国内にとどまらず米国・南アフリカなど国内外でエクスペリエンスやインスタレーション、空間デザインを手がけ、フィジカルとデジタルの垣根を超えた、独自の感性の旅を提言している。

●林 信行(はやし のぶゆき)
ジャーナリスト・コンサルタント
Nobi(ノビ)の愛称でも知られる。テクノロジー、デザイン、アートを基軸に22世紀に残すべき価値を模索し発信するジャーナリスト/コンサルタント。
1990年からIT業界を築いたビジョナリーや経営者などを多数取材し、パソコン、インターネット、スマートフォン、ソーシャルメディア、AI普及の最前線を取材。2010年頃からテクノロジーは必ずしも人を豊かにしないと考えを改めるようになり、良い未来を生み出すデザイン重視の姿勢の啓蒙に注力。
AI時代の足音が聞こえ始めた2015年頃からは課題解決を探すデザインアプローチよりも、課題や問いそのものを探すアートのアプローチが重要と現代アートや教育の取材にも注力。
また2024年からはジャポニスム第3の波「Japonisme 3」の到来を確信して日本語と英語でのバイリンガル発信に力を入れ始めている。「ジョブズは何も発明せずにすべてを生み出した」など著書多数。リボルバー社社外取締役。金沢美術工芸大学名誉客員教授。
自己紹介 & 日本人クリエイターの視点
登壇者お二人から、自己紹介と合わせて、独自の視点で日本のクリエイターが世界で活躍するためにはどのようなことが必要かを伺いました。
まずは菊地さんから自身の経歴やクリエイティブスタジオの理念についてお話しいただきました。菊地さんはデジタルハリウッドの卒業生であり、ニューヨークでの滞在経験を通じて日本文化の魅力を再発見。その後、渋谷に拠点を構え、「デザイン・ヒューマニティー」をテーマとして人間の本質に響くデザインを創造し、感謝を表現することを大切に活動を続けています。特に、「所作」や非言語的コミュニケーションに着目し、日本の美を世界へ発信することを目指している点が印象的でした。
また、ジャーナリストの林さんは、ご自身の取材経験を交えながら、テクノロジーが社会や人々の思考に与える影響について深く掘り下げてお話しくださいました。その中で、AIやバイオテクノロジー、気候変動という「21世紀のABC(AI/biotechnology/climate change)」がもたらす未来についての考察や、AI時代における日本の美意識の再定義、デザインが未来を形作る力についての議論がありました。「未来をつくるのはテクノロジーではなく、デザインである」という話の中で、例えば2001年に発表されたiPodが挙げられます。iPodは単なるテクノロジーの産物ではなく、スティーブ・ジョブズが「持っているすべての音楽をポケットの中に入れて持ち歩く」というビジョンを持っていたことが重要であり、そのビジョンをどのように製品化するかというデザインの優秀さが際立っているのではないかとのこと。
こういった事例は、参加者に大きなインスピレーションを与えました。
世界市場における日本のクリエイティブとビジネス
「水の存在に気づくのは魚ではない」というマーシャル・マクルーハンの言葉を引用し、日本に長くいるとその価値に気づきにくいが、海外を経験することで日本の良さを再認識できるという話題がありました。その中で、インバウンドの増加や日本のポップカルチャーの世界的流行を日本独自の「おもてなし」や「所作」がもたらす魅力について事例を合わせてお話しいただき、日本のブランドやサービスが海外市場で成功するには、単に数字を追うのではなく、文化的背景を活かした体験設計が重要であるとの意見がでたほか、実店舗を持つ企業は成功しやすい一方で、デジタルのみでは難しいという現状も浮き彫りになりました。
日本の価値を世界にどう伝えるかを考えさせられるセッションとなりました。
日本的思考の戦略的活用
「伝統は革新の連続である」という考えをもとに、日本の伝統文化がいかに未来の可能性を秘めているかを議論していただき、着物の持つエコな特性や、文化的な価値を例に挙げ、それが未来の衣服としての可能性を持つかについてお話しいただきました。
また、日本のスタートアップやクリエイターが、日本独自のストーリーや価値観を取り入れることで、より世界に影響を与えられるという話題にも発展しました。
日本の価値を世界に伝えるためには、海外からのフィードバックを活かすことが不可欠であるとのこと。日本独自の表現を再解釈し、新たな価値を生み出すことで、日本の文化やビジネスがさらに成長できるため、海外への情報発信の重要性についても議論されました。
イベントの様子



まとめ
今回のイベントでは、デザインがもたらす未来への影響や日本の伝統的な文化や考えがビジネスの成長につながることなど、この対談ならではのお話を伺うことができ、デザインの重要性を改めて感じる機会となりました。
デジタルハリウッドでは、
デザイン業界などで活躍されている方をお招きし、お話を伺うイベント
を今後も開催していきます。
情報は随時発信しておりますので、少しでも興味のある方はぜひイベントへの参加をご検討ください!
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