「デッサン」と聞くと、鉛筆でリアルな絵を描く技術を学ぶ授業をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、本科CG/VFX専攻のデッサン授業で学ぶのは、単なる描画テクニックではありません。
デッサンの語源は、ラテン語の「designare(線を引く)」と言われています。対象をじっくり観察し、自分なりに理解したうえで、輪郭や立体、陰影を表現する――。つまり、デッサンとは「見る力」を鍛えるための学びでもあるのです。
CGやVFXの制作現場でも、この「観察力」は欠かせません。キャラクターの造形、質感表現、ライティング、アニメーション。すべては「本物をどれだけ正確に観察できるか」が土台になります。
今回の課題は「自分の手」を描くこと
今回の授業では、自分の「手」をモチーフにデッサンを行いました。
授業の冒頭で先生から伝えられたのは、
「完成させようとしなくていい。まずは、不安な状態で描き始めることが大切です」
という言葉。
定規で寸法を取ったり、知識や経験で補ったりするのではなく、目の前にある手を、そのまま観察して記録していくことが今回のテーマです。
受講生たちは、2Bの鉛筆を鋭く削り、実際の手よりも1.5倍ほど大きなサイズで描き始めます。親指の先から、一ミリずつ線を重ねながら、ゆっくりと手の形を追っていきました。
「手癖」で描かず、「見えたもの」を描く
先生は授業中、何度もこう声をかけていました。
「手癖で描かないこと」
「線を追うのではなく、見えている形を描くこと」
「一度目を離して、他の部分との関係性を見てみよう」
少し顔の角度が変わるだけでも、手の見え方は大きく変わります。そのため、姿勢を保ちながら、何度も観察と描画を繰り返していきます。
また、手の起伏や肉の重なり、皺の表情なども重要なポイントです。
- 凹凸を追って描く
- 一定の線ではなく、抑揚やリズムを持たせる
- 消して描き直すことも大切な工程
- 筆圧は強くしすぎず、修正できる余地を残す
- 神経を使うため、適度に休憩を入れながら描く
一見すると地道な作業ですが、この繰り返しこそが、クリエイターに必要な観察力を養う訓練になります。
講評で見えてきた「観察する力」
講評の時間では、一人ひとりの作品に対して細かなフィードバックが行われました。
「手の表情が似ている箇所があるので、描き方に差をつけるとさらに良くなります」
「ペースも描き方もとても良いです」
「肉の皺や重なりは、よりシビアに観察しましょう」
「しっかり観察できています」
「想像で描くと線が均一になるので、もっと観察して描いてみましょう」
作品の完成度だけではなく、「どのように見ているか」「どのように捉えているか」が評価のポイントになっていることが印象的でした。
目標は「上手に描くこと」ではない
授業の最後に先生が伝えたのは、次の言葉でした。
「あくまで現実のものを見て描く練習です。自分がどこまで見えているのか、その幅を知ることが目標です。」
CGやVFXの世界では、ソフトウェアを操作する技術だけではなく、「現実を観察し、理解する力」が作品の説得力を大きく左右します。
本科CG/VFX専攻のデッサン授業は、まさにその土台となる「クリエイターの目」を育てるための授業なのです。
| 著者名 | デジタルハリウッド編集部 |
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| コメント | デジタルハリウッド編集部は、全国に展開する「デジタルハリウッド」のスクール運営・広報チームによって構成されています。 3DCGを学ぶ受講生一人ひとりの学びと挑戦を日々サポートしてきた経験をもとに、現場のリアルな声や卒業生インタビュー、最新の学習トピックスなど、クリエイティブな学びに役立つ情報を発信しています。 |
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