
こんにちは。
デジタルハリウッド東京本校スタッフです。
2025年1月18日(土)に行われた受講生・入学申込者限定イベント
安田現象監督による映画『メイクアガール』特別上映&対談
の様子をお届けいたします。
本作品を手掛けた安田現象監督は
デジタルハリウッドの卒業生
であり、今回は
安田さんの映画デビュー作を公開前にデジタルハリウッド東京本校にて特別上映
させていただきました!
登壇者紹介


●安田現象 監督
株式会社ゼノトゥーン所属。TikTokでフォロワー数290万人、YouTubeチャンネル登録者数205万人、SNS総フォロワー数600万人以上を誇る新進気鋭のアニメ作家・安田現象。たった一人で制作をして、日本で最も歴史のあるCGアニメーションのコンテスト、第29回CGアニメコンテスト(2020年)で入賞した自主制作アニメ『メイクラブ』をベースとした本プロジェクト作品『メイクアガール』を監督として制作。その後制作した「ずっと真夜中でいいのに。」の楽曲『正しくなれない』のMVは約5000万再生を突破し、2023年8月にryo (supercell) の楽曲「笑ウ二重人格」のMVも公開。

●川瀬 好一 プロデューサー
株式会社ゼノトゥーン代表。 株式会社ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社、マーベル・エンターテイメント株式会社、株式会社ポケモン等で数多くのアニメーション・映画・ライツビジネスに携わり、2019年ゼノトゥーンを設立。
安田現象監督ご挨拶
安田現象監督 (以下安田):今回の作品『メイクアガール』は、夢を達成する夢追い人の話と夢をあきらめる夢追い人の話をクロスさせ、夢を叶えることの過酷さや諦めることで得られる幸福を通して、夢との向き合い方について自分の中で対比させて問いかけることをしてみたいと思い制作しました。ぜひ自分なりの夢への立ち向かい方を考えるきっかけとして2回、3回とみてほしい作品です。
川瀬好一プロデューサー (以下川瀬):今回の制作体制のポイントについて簡単に説明をお願いします。
安田 :今回の制作は自分+アニメーター4人、モデラー3人とかなり小規模で90分の大作をつくりあげました。やり方次第で王道ではなくても自分なりに表現方法を確立するというチャレンジもできたし、手札を最大限に活用しながら遜色のないものをつくれるということが証明できたと思います。
川瀬 :少人数で作品をつくりあげたのはすごいこと。最後のエンドロールにも監督とスタッフの名前が何回も出てきます。
安田 :提供していただいた主題歌の途中でエンドロールを切らすということをしたくなかったので、とにかくいろいろな役職名を用意して携わったメンバーの名前をいたるところに出していきました(笑)。実はエンドロール中のショートエピソードの最後をイラストカット(止め)にすることで時間を調整するという工夫もしています。
質疑応答
本イベントでは受講生から事前に質問を募集し、上映後に安田さんと川瀬さんに対談形式でご回答いただきました!
Q :今回の制作にあたって工夫していた部分はどこですか?
安田 :「作りこみすぎない」というところを徹底しました。具体的にはすべてに100点を求めるのではなく、取捨選択をしながら手描きアニメの持つ力を最大限に表現できるようにしました。
川瀬 :こだわって時間や制作費用が予定よりオーバーすることも多い中で、いかに短時間で映像クオリティを上げられるかというところを重視して制作したと思います。
Q :今回初めての映画(長編)でしたが、ショートアニメ(短編)との違いはどんなところに感じましたか?
安田 :個人かチームかの違いというところが大きかったですね。個人で作るときは自分のやりたいままにできることがよさだが、ひとりでできる規模やクオリティにはどうしても制限が出てしまう。ショートアニメをつくるにあたっての各作業領域の研究に充てられる時間にも限界があります。それがチームだと各領域に担当を配置してその領域の研究がいきわたるので、非常に丁寧な作りこみができるというのはよかったと思います。
Q :制作に携わるチームからみた見どころはどこですか?
安田 :携わったメンバーそれぞれ自分が作業したところを見てほしいと思っていると思います(笑)。90分の中に自分の残したものが色濃く残っているので、それぞれのシーンのよさにはどんな工夫があって考えたものがちゃんと表現されているのか、を見てほしいです。制作メンバーも初めから完璧だったわけではなく、制作しながら学びを繰り返すことで表現力が覚醒する瞬間もありました。
川瀬 :監督からいうと見どころは全部になってしまうよね(笑)。見る回数を重ねることで仕込まれているネタに気づくところもあった。個人的な見どころとしては0号のアルバイトのシーンで、短い尺で成長を表現するのが監督の手腕だと感じました。
Q :作品の中で「古めかしさの中に近未来」「無機質なのにかわいい」のような相反するものを織り交ぜるバランスが素敵だと感じたが、バランスの最適化に大事なことは何ですか?
安田 :見た人に伝わる形になっているかどうかというところを意識しています。場合によってはあえてわかりづらく表現することもあるが、意図がないなら基本的にわかりやすさを重視するのがベターだと思います。必然を重ね合わせて面白さを作っていくと想像を広げやすい表現ができると考えています。
Q :監督の受講生時代と変わったことはありますか?
安田 :自分は10年前に卒業していて、当時はアニメCGは背景やメカで使われることが多かったのですが、最近はキャラクターも含めて表現されるようになってきましたね。アニメCGってあまりよくないよねという印象が、年月を重ねて良質な作品が台頭してきたことで評価されるようになってきたと感じます。アニメCGはまだまだ若い技術で年々新しい表現が生まれていますし、まだ開拓されていない表現も眠っていると思うのでこれからも楽しみです。
川瀬 :海外からも3Dアニメが評価されない時代もあったけど、その風潮もだいぶ変わってきたことを実感しています。
Q :制作の裏話や記憶に残るエピソードはありますか?
安田 :アニメーターから元のオーダーと全く異なるものが上がってくることがありましたが、その成果物は熱がこもっていて元のオーダーよりすごくよかったですね。これのほうがいいと思うというところを提示できるメンバーの熱量がよかったし、自身の作品への勇気が持てました。想定外のところからいいものがでてくるのがチーム制作のいいところだったと感じます。これからも関わってくれた人が楽しんでくれる少数精鋭のチームを組んでいきたいです。
川瀬 :プロデューサー目線でいうと、相当な数の書き換えがあってドキドキしました。24稿の次のチェックが勝手に27稿になっていたり(笑)。でも、すごいのはメンバーみんな修正の遅れは自分でしっかりと取り戻してくることでしたね。
安田 :脚本と絵コンテは直しまくりました(笑)。
受講生へのメッセージ
川瀬 :監督の持っている答えを見つけるのは難しいかもしれませんが、一度だけでは気付かない部分があるかもしれないので、ぜひ2回、3回と作品を鑑賞して考察してみてください。
安田 :自分はみなさんとそこまで離れた存在ではないと考えています。みなさんの延長線上で特別な才能ではなく積み重ね。継続さえしていれば実るので、制作・創作活動を続けられるように頑張っていきましょう。
イベントの様子



まとめ
今回のイベントでは安田監督と川瀬プロデューサーによる対談形式で、 作品の見どころや裏話 など、ここでしか聞けない話をたくさん紹介していただきました。
安田さんの作品やメッセージを通してまた一つ制作や学習のモチベーションがあがった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
劇場アニメ『メイクアガール』は2025年1月31日公開 です。本イベントに参加できなかった方も、ぜひ2回、3回と劇場に足を運んでみてください!
また、これからもデジタルハリウッドでは CG業界などで活躍されている方からお話を聞けるイベント を開催していきます。
ブログも更新していきますので、少しでも興味のある方はぜひイベントへの参加をご検討ください!
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