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【イベントレポート】世界を目指すあなたへ 『ディズニーで活躍!若杉遼による これから海外で活躍する、CGアーティストになるための必須ガイド』

2024-08-30

【イベントレポート】世界を目指すあなたへ 『ディズニーで活躍!若杉遼による これから海外で活躍する、CGアーティストになるための必須ガイド』

今回のイベントでは、近日公開される『モアナと伝説の海2』でレイアウトアーティストとしても携わられている、 ディズニーアニメーションスタジオ 、バンクーバーの Sony Pictures Imageworks にて活躍されている 若杉 遼氏 をお招きして、海外でのCG就職事情、メイキング、レイアウトアーティストやCGアニメーターの働き方などについてお話しいただきました。

▼登壇者紹介

ウォルトディズニーアニメーションスタジオ

レイアウトアーティスト

若杉 遼


2012年にサンフランシスコの美術大学Academy of Art Universityを卒業後、 Pixar Animation Studios にてCGアニメーターとしてキャリアをスタート。 現在は ウォルトディズニーアニメーションスタジオ でレイアウトアーティストとして所属。 映画スタジオでアニメーターとして仕事する傍ら、3DCGアニメーションに特化したオンラインスクール 「Animation Aid」の創設者として、運営の他、講師として教えている。

これまで参加した作品は『アングリーバード』(2016)、『コウノトリ大作戦!』(2016) 『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』 (2017)『スモールフット』(2018)『スパイダーマン: スパイダーバース』(2019)などがある。

▼レイアウトアーティストとは

レイアウトというのは 映画(CG)を作る上での骨組み になります。 レイアウトアーティスト は2次元的なストーリーボード(絵コンテ)と違って、実際のアウトプットに近いルックを作り、提案し、より伝わりやすい作品を作っていきます。カメラ、キャラクター、カット割りだけではなく、ライティングやエフェクト、場合によってはセットやリグなどを仮で作ったり、全部やることもあるそうです。


日本ではCGアニメーターがレイアウトを同時に担当することが多く、 レイアウトアーティスト という職業にあまり馴染みがない人も多いかと思います。CGのレイアウトは実際は現場に出て学んでいくことが多いので、わからなくて不安という方でも安心してください。

▼アニメーターとレイアウトアーティストの違い

若杉さんが今までアニメーターとして携わった作品の多くは、アニメーターが1つの作品に多くいて、実際は1人で10秒~1分程度の映像しか担当することができなかったらしく、若杉さんがアニメーターの仕事をしていたときは映画を作っているというよりはアニメーションを作っている感覚であまり映画を作っている実感がなかったそうです。

それに対して、若杉さんがレイアウトアーティストになって初めての仕事で1シークエンス(40~50ショット)の担当を任されて、自分一人で ショートフィルムを作っているような感じ でテンションが上がったそうです。ただ、アニメーションと違って レイアウトの場合は自分が作っている部分が映画に直接に映るわけではない ので、人によってはアニメーターのほうが魅力を感じると思います。


アニメーションは 演技、動きのリアルさ が重視されますが、 レイアウトはその場面の登場人物の関係性や雰囲気 に重きを置いています。そして担当する量が圧倒的にレイアウトのほうが多いので、じっくり作業をしたい人はアニメーションが向いてるかもしれないですね。


若杉さんの場合は作業量が多く、時間がないほど燃えるらしいです。アニメーション部署は他部署とのやりとりがあまりないのに対し、レイアウトは「映画の骨組み」になる部分で、レイアウトしか知らないことがあるので、他部署としっかりコミュニケーションをしてすれ違いをなくしていくのが大事だそうです!

▼レイアウトに必要なスキル

カメラワークをつけたり、ルックを最終的な動きに近づけるために アニメーションスキルは必須 になってきます。また、リギングやテクスチャなどもやることがあるので、 Mayaのジェネラリスト的なスキル はすごく役に立つそうです。技術面だけでなく、他部署とのやり取りが多い部署なので コミュニケーション力 も非常に重要になってきます。


自分がどちらに向いているのかを考える際には

アイデアを出すのが好き、「映画を作りたい人」 レイアウト

ディテールを作る人が好き、「演技や動きを極めたい人」 アニメーション

という考え方をしてみてもいいでしょう。


また若杉さんはレイアウトをする際に、ストーリーボードの沿ってつくるだけでなく色々な別案(Alts)を提案して、より良いものができるようにしたり、実写に近い表現をするようにしているそうです。また、作業スピードも大事ですが、コミュニケーションを大事にすることで他部署とのすれ違いをなくすようにしているそうです。コミュニケーションが多い部署であるにも関わらず、さらに英語で話しているのはすごいですよね!

▼ショットの種類

今回のセミナーでは実際に若杉さんが実際に現場で使われるショットの種類をいくつかご紹介いただきました!




エスタブリッシュショット
場所や時間帯を定めるショット。このシーンの見せ方によって雰囲気を決める。キャラクターを含めたスケール感を表現する。


シングル(ワンショット)
キャラクターが一人だけのショット。孤独感を見せたり、ショットサイズによって印象を変える。


→ツーショット
二人の関係性を表すショット。
→グループショット
2人より多いショット。フレーム内の人数が増えてくると構図が難しくなる。
→クラウドショット
大人数のショット


マスターショット
小規模のエスタブリッシュショット。会話シーンなどの、キャラクターの立ち位置や空間の状態を決めるショット。


OTS(Over The Shoulder)
肩越しのショット。会話シーンでよく使われる。


→ダーティシングル
OTSとシングルのハイブリッド、OTSほど2人を映したくなく、キャラクターの一部を映すショット。
→ショット&リバースショット
登場人物AのOTS→登場人物BのOTSのように切り替わるショット。
→180ルール
フレーム内でキャラクターの立ち位置を変えない。立ち位置が変わってしまっていることを、「イマジナリーラインを超えている」と言う。イマジナリーラインを超えることはハリウッドではNG。


リアクションショット
キャラクターがリアクションしている短いショット。


POV(Point Of View)
登場人物の視点からのショット。主観的なショットと言われているが、若杉さん曰く感情が伝わるショットが主観的なショットなので、POVの場合は主観的ではない。


→カットオンザルック
キャラクターが目線を移したカットのあとにPOVのカットを入れること。

▼質疑応答コーナー

  • もし仮に若杉さんがいま、20代で日本からディズニーに就職する場合はどのように行きますか?

    まずは自分の現状がどうであれLinkedInを作り、たくさん応募して、海外でなにか仕事をします。海外で仕事をした経験があるだけでもディズニーで働く道への大きな一歩になります。とにかく応募しなきゃいけませんが、募集要項にある経験年数は無視していいです(笑)。あとは余裕があれば海外に行って、就職イベントに参加して直接企業の方と話しますね。

  • 海外で働くときのコツは?

    海外は実力社会なので、プロジェクトが成功しなかったりするとすぐクビになるので、プロジェクトが成功する運も大事。あとはピクサーでのインターンシップの経験が経歴の証明になるので、自分の実力を証明するものがあるといいですね。

  • Sonyとディズニーの社風の違いは?

    Sonyは人の入れ替わりが激しいです。良い意味で言えば、縦社会ではないので良いです。ディズニーは経験のあるアニメーターと一緒に仕事ができるので、とてもいい経験になりますね。

  • 学生のうちにできるレイアウトの勉強法とは?

    まずはしっかりアニメーションの基礎を固めておくのが一番いいです。実際にアニメーションをつけたり、リグを組んだりすることもあり、勉強することは無限にあります。レイアウトは技術というよりは技術を生かす知識が必要なので、基礎がしっかりしておくといいですね。

▼イベントの様子

▼まとめ

ディズニーアニメーションスタジオ 、バンクーバーの Sony Pictures Imageworks にて活躍されている若杉 遼氏をお招きして、メイキングやレイアウトアーティストとしての働き方などについてお話していただきました。レイアウトアーティストはあまり日本ではまだあまり知られていない職業なのでとても貴重なお話を聞くことができました!CG業界を目指しているみなさんも若杉さんのように挑戦することを恐れずに、自分の目標に向かって動き続けていきましょう!

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