こんにちは。
デジタルハリウッド東京本校スタッフです。
デジタルハリウッドCG系コースの卒業生、 伊東ケイスケさん の作品 「Sen」 が第80回ヴェネチア国際映画祭クロスリアリティ(XR)部門「Venice Immersive」にノミネートされました!
これまでの 「Beat」(2020年)、「Clap」(2021年)「Typeman」(2022年) に続き4作品目、4年連続のノミネートとなります!
伊東ケイスケさんのプロフィールや作品をご紹介します!
プロフィール
VRアニメーション監督,XRクリエイター
1986年生まれ。多摩美術⼤学グラフィックデザイン学科卒業。メーカーのグラフィックデザイナーを経て、現在はXRアーティストとして活動する。これまでにヴェネチア国際映画祭やカンヌ国際映画祭、世界最大のCGの祭典SIGGRAPHなどで上映を行ってきた。ヴェネチア国際映画祭のVR部門では2020年より自身が監督を務めるVRアニメーション作品で3年連続ノミネート。
ベネチア国際映画祭
127年の歴史を持ち、本年で80回を迎える映画祭であり、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭の一つです。本映画祭のVR部門は、 2017年に新設され、本年度から、VR部門「Venice VR Expanded」をXR部門「Venice Immersive」とし、バーチャルリアリティ技術だけでなく、あらゆるXR表現手段に対象を広げています。
XRとは...
VRとARを組み合わせたゲームや、ARとMRとの間にあるようなコンテンツなど、各技術が融合しているサービスも「XR」と呼ぶことができます。
「Sen」
●制作年
2023年
●長さ
約15分
●あらすじ
この作品は日本の伝統文化である「茶道」をベースにしています。体験者は、日本の茶室に身を置き、黒樂茶碗『万代屋黒』を両手に持って日本の伝統世界を体験します。体験者は薄暗い茶室の中、自分の手の中の茶碗から生まれるお茶の精霊"Sen“を通して、自分と世界との関わりを知ります。最初は恐る恐る世界を知っていく“Sen“ですが、様々な存在に関わることによって、自分が存在することの喜びを知ります。美しい世界が目まぐるしく変わる中、“Sen“は自分たち以外に、同じような存在がこの世界に存在していることに気づきます。他の存在との繋がりや、関わりが心地よく、自己中心的に目の前の存在と関わることばかりを考えるようになります。そんなある日、突然自分の心地の良い世界が大火によって全て消失してしまいます。何もかも失ってしまった”Sen”は茶碗の中に落ち、自分の存在が宇宙の中で粒子となり溶けてしまいます。“Sen”と体験者は、この世界の生きとし生きるものあらゆる存在と自分は共にあるということに気づいた時、自分の存在が、茶室に戻っていることに気づきます。そしてまた何気ない日常が始まります。
●作品に込めた想い
私は日本の伝統文化である「茶道」をベースに、XRを通して自己を深く見つめる体験を作りたいと考えました。
Senとは、とても大きな数、無限を表しています。
私は、私たち地球上の生命体は、無限の宇宙に溶ける粒子のような淡い存在であり、心臓の鼓動を与えられて存在しているのではないかと考えるようになりました。
この物語で体験者は、両手で持ったChawan Deviceからこの世に生まれ落ちた、お茶の化身「Sen」と出会います。
彼は生まれてはじめて、自然や他者に出会い、関わり合います。
生きる楽しみ、そして多くの苦しみを味わいます。
そんな彼の「生」は、わたしたちとなにもかわりはありません。
彼はあなた自身です。
両手から伝わるChawanのあたたかな感触と鼓動のぬくもりとともに、他者との繋がりを体験してください。
そして、深い闇の中で、あなた自身の「生」を見つめてください。
「Sen」は第80回ヴェネチア国際映画祭だけでなく、 ルミエール・ジャパン・アワード2023でもグランプリを受賞されました。
本当におめでとうございます!これからも伊東さんの活躍が楽しみです!
今までにノミネートされた作品
伊東さんの作品は、今回の第80回ヴェネチア国際映画祭だけではなく、第77回、第78回、第79回にもノミネートされています!
そちらの作品もご紹介させていただきますので是非ご覧ください!
「Typeman」
●制作年
2022年
●長さ
約25分
●あらすじ
Typemanはこれまで多くの人間に必要とされ、期待や喜び、悲しみを分かち合い、共に時間を過ごしてきました。しかしいつしか人々から忘れられてしまい、自分の存在意義を見失ってしまいます。 体験者は古びたアパートの一室で、そんなTypemanと出会います。あなたは初めてTypemanと向き合ったとき、彼に対してどんな感情を抱き、どのような行動をするでしょうか。 その世界で誰かの存在に気づいたとき、あなたはここにいる意味を考え始めるでしょう。
●作品に込めた想い
『Typeman』はメタバース上でリアルタイムに行われるVR演劇です。
作中には「I am here」(ここにいるよ)という重要なフレーズが繰り返し現れます。I am hereと叫びたい思いをしている人々に、存在意義を失ってしまったTypemanとの出会いの中で、自身の存在を確かめ合う体験をしてもらいたいと思います。
▼Typeman [Trailer]
「Typeman」は第79回ヴェネチア国際映画祭併設の、イタリアの独立系映画評論家が独自に選出するPremio bisato d'oro 2022(プレミオ・ビサト・ ドーロ/金鰻賞)で 最優秀短編賞 を受賞しました!
おめでとうございます!
「Clap」
第78回ヴェネチア国際映画祭バーチャルリアリティ(VR)部門「VENICE VR EXPANDED」にノミネートされた作品です!
▼作品紹介
人は心から相手を賞賛したいとき、手の痛みを我慢してでも、一生懸命大きく強く手をたたいて気持ちを届けようとします。しかし、その気持ちは相手にちゃんと届いているのでしょうか。この物語はClapの受け手である主人公と、送り手であるあなたの目線で紡がれる物語です。自分に自信がなく、自分のことを何の取り柄もないちっぽけな存在だと感じてしまい、糸のような姿になってしまった主人公、糸男。ある雨の日、糸男が路地を歩いていると、目の前に錆びた空き缶が落ちてきます。その空き缶から鳴り響く、可笑しくも心地良い音に魅了された彼は、自分で音を鳴らしてみたくなり、空き缶を足に履いて踊り始めます。やがて糸男の周りには大勢の人だかりができ、拍手の音も大きくなっていきます。しかし次第にその拍手が大きなプレッシャーとなり、彼を悩ませます。糸男はなぜ拍手が怖くなり、受け入れられなくなってしまったのか。あなたの心からの拍手を糸男に届けることができたとき、Clapは本来の意味を取り戻し、美しい音色を奏ではじめます。
▼Clap [Trailer]
「Beat」
第77回ヴェネチア国際映画祭バーチャルリアリティ(VR)部門「VENICE VR EXPANDED」にノミネートされた作品です!
▼作品紹介
「Beat」はあなたの”ハート”から生まれる物語です。この作品は体験者が自分の”ハート”を手に持って体験します。“ハート”は体験者の心臓の鼓動と共に振動します。体験者は錆びたロボットと出会います。でもロボットは動く気配がありません。ロボットは”原動力”となる”ハート”を持っていませんでした。体験者が自分の”ハート”をロボットにかざすと、ロボットに新たな”ハート”が生まれます。“ハート”を持ったロボットは立ち上がり動き出します。動き出したロボットは「生きる喜び」を精一杯表現します。でもロボットはどこか寂しそうです。ロボットは友達を探します。本当に大切な友達と出会えた時、どのように接して良いか分からなくなるロボット。”ハート=鼓動”が物語を動かす「鍵」になります。ロボットの成長を通して自分自身の”ハート”の存在を意識することを目指した作品です。
▼Beat [Trailer]
▼「Beat」のVRChatワールド
とても素敵な作品ばかりですね、、!
なんと!
「Sen」はSTYLY都市型XRエンターテインメントにてスマートフォンでのAR(拡張現実)体験はもちろんのこと、有償チケットを購入いただいた方に向けたVR/AR/MRデバイスを用いたリッチな没入型体験が可能だそうです
さらには1つのエリアで実施した取り組みをパッケージ化して世界展開も行う予定とのことです。
これからも伊東さんが作る作品が楽しみです!