こんにちは!デジタルハリウッドSTUDIO新宿 卒業生の佐伯ハルです。
この記事では、先日行われた「動画副業の第一歩!“営業用”ポートフォリオ構築講座」をレポートします。
ご登壇いただいたのは、フリーランスで映像ディレクター、コンポジッター、エフェクトデザイナーなどをされている新井順一先生。ネット動画クリエイター専攻を受講中の学生や、副業・フリーランスコースを卒業したメンバー向けに、営業用のポートフォリオには何を書くのか、なぜそれを書くのかといった、ポートフォリオ作成時の注意点をお話しいただきました。
講師紹介
新井順一|映像ディレクター・エディター
ディレクターとして映画キル・ビルのテーマ曲でもある、布袋寅泰「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」のミュージッククリップや、チェリオ「LIFEGUARD」のCMをはじめ、広告・プロモーションの映像作品の演出に携わる。
エディターでは、プチョン国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞した、中野裕之監督の映画Samurai FictionやCM、MV、TV番組など映像作品の編集に携わる。また六本木ヒルズのオープニングレセプションや国内最大級の野外レイヴ「Rainbow2000」にVJとして出演、CDジャケットや音楽雑誌の写真撮影など、映像作品以外でも絶賛活動中
実績(一部抜粋)
■ CM / Trailer
Disney Channel / Disney XD / LIFEGUARD / ライブ・スペクタル NARUTO / 布袋寅泰 "アナザー・バトル" / 小室哲哉 "EUROGROOVE #2" / Towa Tei "MARS" / FOE "FOE GET ALL, NOW"
■ VP
Google x YouTube X GEO“CREATOR DAY” / Cisco Imagine“What Borderless Networks Can Do” / LEXUS Mu-TV / Canon Digital Creators Contest / エビアン “Making of 6weeks” / Honda Smile Mission
■ MV
布袋寅泰 "Battle Without Honor or Humanity" / Towa Tei "Last Century Modern" / UZUMAKI "BLAZE OF GLORY" / KOJI-12000 feat. MAKIKO "DUET!!" / bloodthirsty butchers "方位"
■ STAGE PROJECTION
テニスの王子様 / 文豪ストレイドッグス / CORNELIUS "Welcome To The Jungle Tour" / 藤井フミヤ "Tour"
■ EDITOR
THE突破ファイル / ザ!世界仰天ニュース / Qさま / 家事ヤロウ !!! / バナナマンのせっかくグルメ!! / トークインーンズ / ワールド極限ミステリー
目次
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営業用と展示用、ポートフォリオには2種類ある!?
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クライアントが思わず選びたくなる、ポートフォリオの必須要素2つ
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クライアントに自分の制作過程や考え方が効果的に伝わる、構成の秘訣
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さいごに
営業用と展示用、ポートフォリオには2種類ある!?
皆さんは営業をする時、ポートフォリオとデモリールの2種類を別々に作っていますか?また、営業用とは別に展示用のポートフォリオやデモリールを作っていますか?
ポートフォリオとデモリールでは資料としての性質が異なり、営業用と展示用でも目的が全く異なる、と新井先生は言います。
新井先生:
まずポートフォリオというのは、クライアントに読んでもらう資料です。自分のスキル、こんなことを考えて作っている、大切にして作っているということを書くのがポートフォリオ。一方、デモリールは見せる資料です。動画でないと伝わらないこと、例えば、動きを見せたり技術職を目指している方であればどんなスキルがあるか、というのもここで見せる必要がありますね。
また、営業用のポートフォリオは仕事を取りに行くためのものなので、作品の説明をする資料ではなく、皆さんのことを説明するための資料であるというのがポイントです。皆さんのスキルとかポテンシャルを見てもらうための資料ですね。そして展示用のポートフォリオは、皆さんの作風や何が得意なのか、過去の実績などを見せてもらうための資料です。作品の説明は展示用のポートフォリオですると良いでしょう。
この営業用と展示用、1つにまとめてしまう方が多いんですけれど、1つにして見せられると何を見ていいのかわからないんですよ。
私もまさにこの辺りが混乱していて、これまで「ポートフォリオサイトを一つ作って作品の説明と一緒にデモリールを載せとけば大丈夫だよね☆」と思っていました(反省)。
完成に至った制作過程や思考のプロセスを掲載して、クライアントに読んでもらえる状態になっていることが、ポートフォリオの役割だったんですね。それぞれの資料に目的と意図を持たせることが重要そうです。
クライアントが思わず選びたくなる、ポートフォリオの必須要素2つ
ポートフォリオが「自分を伝えるもの」だとすれば、どんな人間であることを伝えればいいのでしょうか。クライアントが副業人材を探すときの選定ポイントに自分がヒットしていることを伝えたいのですから、クライアントが見ているポイントを理解することが必要です。
それは、スキル? 納品のスピード? 挙げればキリがないようにも思われますが、先生はそれを「信頼性」と「メリット」であると言います。
新井先生:
そもそも、副業の人を探したいクライアントは、コスパ重視なんですよね。
短い時間で依頼内容を理解してくれることや、連絡もオンライン完結。メールだけ、チャットだけで済むのが理想だったりするわけです。別に時間をかけて対面で打ち合わせできるならば、フリーランスを呼んでじっくり話をした方が理解してもらえるんです。でも副業に頼むのは時間もコストもかけたくないからなんですよ。なのでポートフォリオからそういったことが読み取れるといいですよね。「こんな感じで依頼してもらえれば、こういうことができます」という点をを見せることができれば、信頼性に繋がります。
それから、副業の方には本業があるので、1週間や1ヶ月などの単位で合計で何時間ぐらい稼働できるかも明示しておきたいですね。また、いつ連絡がつくのかというのもポイントになり得ます。フリーランスの方はいつでも連絡を取れることが多いので、その辺はあまり気にしないですが、副業の方に依頼するときには、日中は連絡NGなのか、夕方何時ならよいのか、夜なのか、みたいなところが気になります。
あとは、自社にない知識やノウハウを提供してほしいという需要もあります。例えば、本業が営業職であれば、営業職向けアプリのプロモーションの内容を理解してほしいであるとか。自己紹介のページで書いておくと、ヒットすることが意外とあります。
新井先生のお話からは、副業人材ならではの視点が多数ありましたね。副業を探しているクライアントは、フリーランスを探しているクライアントよりも圧倒的にコスパ重視であるということ。これは私の中では新しい気付きでした。クライアントは何を求めていて、自分には何が提供できるのか、しっかり分析して効果的なアプローチに繋げたいですね。
クライアントに自分の制作過程や考え方が効果的に伝わる、構成の秘訣
さて、ここまででポートフォリオのコンセプトやどういった内容を織り込むかを学んだところで、いよいよ実際の構成に入っていきます。
◆表紙
興味を持ってもらうため、必ずつけましょう。
名前(ふりがな)& 連絡先の記載も忘れずに。
◆自己紹介
写真/名前/生年月日/居住地/資格/趣味や特技/自分史/使用ソフト/PC/素材サブスクなどの記載。
履歴書を出す機会がないのであれば、そこに書きそうなことは書いておくのが◎。
挿入する写真の選択など、読ませ方が重要!じっくり考えましょう。
◆自己PR
強み/価値観/目標/モットー/人間性/映像を志した理由など。
ポートフォリオ作成の、8割近くの時間を割いても良いほど、重要な項目だそう。とにかく興味を持ってもらうため、人間性を知ってもらうことを念頭に。今後の目標などを書いてもよい。
◆できること
業務範囲/稼働時間/連絡方法/作業量/希望単価など。
稼働時間は、背伸びせずに本当に稼働できる具体的な時間を。
連絡方法は複数記載すること(Slack、ChatWorkなど)連絡可能時間はきちんと守れる時間を書く。
希望単価がある人はここに。
◆目次
ここから始まる作品紹介の全体量がわかるように目次をつける。
カテゴリー/作品名/解説/デモリールURLやQRコード。
短い時間で見ても全体がわかるように書くことが重要。デモリール中のどこにその作品があるか(秒数)も記載する。
◆作品
テーマ・コンセプト/制作意図/ワークフロー/思考プロセス/資料/制作時期時間/使用ソフト
作品の解説は重要ではないので、思考プロセス等に重きを置く。コンテンツが増えがちなので見やすいレイアウトに。
◆自主制作
自主制作も記載してよい。制作を通して考えたことや感じたこと、そのプロセスなど詳しく書ければOK!架空案件の作品 or 課題型コンテスト作品を作る。
◆裏表紙
手を抜かずに最後までつくる。
例:「最後までご覧いただきありがとうございました」といった旨の記載、表紙と対になっている等の工夫をしても◎。
さいごに
今回は「準備編」ということで、ポートフォリオのあり方・作成時の考え方から始まり、構成のフレームまでを学びました。クライアントがどんな人材を欲しているのかを分析し、自分がそこにマッチしていることをアピールするための、「読む資料」としてのポートフォリオが作れるようになりたいですね。
次回は、ポートフォリオを実際に作成する「実践編」や、副業以外のポートフォリオの準備編も開催予定とのことです。これからたくさんのお仕事に携わるため、より良いポートフォリオとなるよう、皆さんでブラッシュアップしていきましょう!