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【イベント体験レポート】誰でもできるクリエイターのための営業戦略ノウハウ2023

2023-07-11


デジタルハリウッド出身で、現在はクリエイティブカンパニーEPOCHの代表取締役を務める石澤秀次郎さんをお招きしたトークイベントがSTUDIO新宿で開催されました。

題して、「デジハリ卒業生のクリエイティブカンパニーEPOCH代表直伝! 誰でもできるクリエイターのための営業戦略ノウハウ2023」。


フリーランスのクリエイターだけでなく、クリエイティブ業界の就職を目指す学生や異業種で働く営業担当者にとっても、必聴の内容になっています。


新規クライアント開拓に悩んでいたことがきっかけでイベントに参加した、編集者・ライターHが感想を交えてレポートをお届けします。

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ライターH

編集プロダクション、出版社を経てフリーランスに。現在、WEBデザインとコーディングを勉強中。独立8年目で売上減を経験。営業の重要性を実感し、本イベントに参加した。

登壇者

石澤 秀次郎さん

株式会社EPOCH 代表取締役

https://okanechips.mei-kyu.com/
https://schecon.com/
https://www.epoch-inc.jp/

【目次】

プロローグ:みんな営業を誤解している!

いい営業とは何かを考える

営業のない事業はない!


マインド編:呼吸するように営業を

「クリエイティブの考え方を持ちながら外の世界とつながっていこう」

営業は、僕らの日常の中に潜んでいる


超実践編:実際に何をすべきかわからない人も安心。今すぐ実践できるクリエイティブ営業

まずは、出会いの数を増やすべし。"WHO" と "WHY" を大切に。

営業がやるべきことと持つべき精神


Q&A

参加者の声

さいごに

プロローグ:みんな営業を誤解している!

いい営業とは何かを考える

イベントに参加したのは、将来フリーランスを目指すデジハリ在学生やフリーランスとして活動するクリエイター、他業界の営業職の方など。みんなに共通していたのは、クリエイティブ業界における営業のノウハウがなく、漠然とした不安を抱いていることでした。


営業に苦手意識がある、営業をしたことがないという参加者。何を隠そう私自身も営業経験がなく、営業活動自体に抵抗感を持っている一人でした。石澤さんは、「みんな営業を誤解している」といいます。


石澤さん :"WHY" "HOW" "WHAT" という考え方を知っていますか?『デジハリでデザインをつくっています』というのは "WHAT" にあたります。デザインや動画をつくる意味は、それ単体にはありません。誰かの課題を解決するためにデザインや映像を使うことではじめて "HOW" になるわけです。「なぜつくるのか」を考えられる人は、そもそも営業に向いています。

言われてみれば、私自身もWEBデザインやコーディングを学ぶ上で、作業にとりかかることで手一杯になってしまい「なぜつくるのか?」にまで意識が向いていなかったかもしれません。技術習得の初期段階ではやむを得ないとして、業界に出てからもこの状態が続くようでは、制作がただの「労働」になってしまうという意味も頷けます。



石澤さん :いい営業の参考になるのが、appleのプレゼンテーションです。iPhoneの魅力を伝える2つの方法について見てみましょう。
① 機能・性能を伝える
「データ容量もあり、カメラの性能もよく、おしゃれで持っているだけでスタイリッシュになれるのが、このiPhoneだ」

② なぜやるのかを伝える
「われわれは、世の中で違いや多様性が認められる “Think different”が当たり前の世の中にしたい。コミュニケーションにイノベーションを起こすことでそれを実現することができる。電話に何かを掛け合わせることで、コミュニケーションをアップデートできるはずだ。生活がアップデートされ、世界中でコミュニケーションが取れるようになる。そうすれば、僕らは多様性を認めることができ、違うフィールドにいけるんじゃないか。そこで出来たのがこのiPhoneだ」

どうですか、②の方が説得力が増して、よりiPhoneをほしくなりませんか?

①は "WHAT"(何をやるか)から伝えている一方で、②は "WHY"(なぜやるのか)から伝えています。世の中のブランドで間違っているものは、"WHAT" から伝えているものがほとんどです。

これは、説得力がすごい……。

①の売り方は、機能に差がなくなった場合、競合との違いが不明確になってしまいますが、②の売り方であれば、他社の機能とそれほど差がなくなったとしても、ブランドの思想や理念に共感する人が応援してくれそうです。

自分のスキルについても、今までは「編集とライティングの力で、”いいもの”がつくれます」といった見せ方をしていましたが、もっと根幹にある「なぜやるのか」「何を実現したいのか」を自分自身で掘り下げていく必要があるのだと感じました。

営業のない事業はない!

事を営むこと(事業)が営業だとすると、広い意味では、デジハリでデザインやCGを学んでいるわたしたちも、「営業」に携わっていることになるといいます。なぜなら、営業>マーケティング>クリエイティブという構造であるから。


石澤さん クライアントの課題を解決するためのデザインや、売るためのお手伝いをするCGを制作することは、すべて営業活動の一環です。営業がない事業はないんです。でも、クリエイティブ業界はかなり異質で、“中の人”が営業をしません。これは、クリエイティブ業界はまだまだ未発達であることを意味します。営業をする人がいないということは、超ブルーオーシャンであり、営業したらいくらでもチャンスがあるということでもあります。

ではどうすればいいか。僕は“クリエイティブ村”の外に出ることを提唱したいと思います。

マインド編:呼吸するように営業を

「クリエイティブの考え方を持ちながら 外の世界とつながっていこう」

石澤さん :僕は、クリエイターの中で一番営業しているのはYouTuberだと思っています。彼らがよく言う「チャンネル登録お願いします」という決まり文句はまさに営業的ですよね。10年前は、「YouTuberなんて……」という人もいたかもしれないけど、今や超有名になっている人が何人もいるわけです。彼らが地道に営業してきたことによって、クリエイティブ業界の外にいる多くの人が、“価値”に気付きました。

確かに、YouTuberはチャンネル登録者数を増やすために、他のSNSと連動した運用をしていたり、時にはコラボしたり、さまざまな手段を使って自身のチャンネルを広めようとしています。果たして、わたしはそういった努力が出来ていただろうか……。 石澤さんは、今までのやり方(内輪の評価を得ること、広告賞の獲得、業界誌などのメディアに出ること)も大事な一方、それは業界内の常識であり、外の世界に出ると全く認識されない場合もあるといいます。


石澤さん :世間一般とクリエイティブ業界の常識は違う。だからこそ、クリエイターは積極的にクリエイティブ村の外に出るべきなんです。近年3Dクリエイターの認知を一気に一般的なものにした「メタバース」「VTuber」「VR」という言葉があります。このように、自分の技術を他業界の人にも伝わる言葉に変換することが重要です。僕がデジハリでCGを学んでいた15年程前は、CGクリエイターが認知されておらず、「パソコン得意なんだね」と言われていましたからね。

「あなたは、どんなデザイナーなんですか?」と聞かれたときに、相手に共感してもらえるようなキャッチコピーをつくっておくといいです。ちなみに僕の場合は、“クリエイティブ業界で一番営業している社長”です。

また、「肩書の前の修飾語」を増やしていくことも有効だといいます。


石澤さん :現在活躍している芸人さんや俳優さんを思い浮かべてみてください。芸人でありながら別のジャンルにも挑戦したりしていますよね。自分の活動領域をピボット(旋回軸の意味。特定の分野に軸足を置きながらも、それ以外の部分を変更する意味)ができる人は強く、時代の変化にも対応が可能ということです。
例えば、CGデザイナーという軸はあるけれど、「Vtuberにも興味があって、アニメも好きで、メタバースにも詳しい」みたいにベクトルを違う向きにもっていけると、いろんな人があなたと仕事してみたいと寄ってきてくれます。そういったブランディングをすることも、営業活動の一環です。

営業は、僕らの日常の中に潜んでいる

石澤さん :営業が嫌いだ、不安だと思っているみなさんも、まわりを見渡してみると、実は営業だらけであることに気づくと思います。 ペットボトルを買ったのも、デジハリに通っているのも、営業に引きつけられた結果だといえます。「営業の中にいる」ということを認識することが、営業を知る第一歩です。

大前提として人は他人に興味がありません。クリエイターのみなさんは、絶妙な表現やこだわりがまわりに伝わっていると思い過ぎています。しつこく伝えないと興味を持ってもらえない。だから広告が生まれたんです。そういう意味では、広告と営業はとても似ています。マインドシェアをとるために、TVやWEBに広告を打ったり、人による営業活動をしたりして存在を知ってもらう努力をしています。
みなさんは、知ってもらうための努力をしていますか?いい仕事をして、ポートフォリオさえつくれば、誰かが探してくれて、仕事のオファーしてくれると考えている人が多いと思いますが、これはナンパ待ちなのに部屋に引きこもっているような状態です。

この言葉にはグサッときました。


いい仕事をすることだけがクリエイターにとって唯一の営業手段で、営業しなくても仕事がまわってくるのがいいクリエイターの条件だと考えていました。 しかし、今まで仕事がまわってきたのは、まわりのクリエイターたちが営業してくれていたから。そのおこぼれをもらっていたにすぎなかったのだと気付くことができました。



石澤さん :人気があるうちは営業をしなくてもいいと思いますが、これで成立するのはクリエイティブ業界くらいということも覚えておいた方がいいです。人間にとっての酸素が会社にとっての仕事だとすると、人間が呼吸するように当たり前に会社も営業するべきなんです。

次のフェーズでは実際に何をしていけばいいか具体的な話をしていきます。

超実践編:実際に何をすべきかわからない人も安心。今すぐ実践できるクリエイティブ営業

まずは、出会いの数を増やすべし。 “WHO” と“WHY”を大切に

石澤さんは営業の基本は知ってもらうこと、すなわち出会う数を増やすことにあると言います。しかし、やみくもに営業しても単なる迷惑行為になってしまう。では、どうすればいいのでしょうか。


石澤さん :ここで大事になってくるのが ”WHO” と ”WHY” です。

”WHO” は「誰が自分のクライアントなのか」を見極めること。もう少し噛み砕くと、誰が自分のスキルを必要としているのかを考えればいいんです。

”WHY” は「なぜ頼みたいのか」、すなわち「何に困っているのか」を観察し、自分のスキルのどの部分に期待してくれているのかを正しく理解することです。

営業がやるべきことと持つべき精神

石澤さん :営業がやるべきことは大まかに6STEPに分けられます。忙しくてこんなにやる時間がないと思う人もいるんじゃないでしょうか。でも、忙しいのであればアウトソーシングすればいい。さらに、できるところはテンプレ化して、もっと効率化を図っていけばいいんです。



「営業がやるべきこと」を深掘りし、精度の高い顧客リストの作成方法や情報収集の仕方、営業対応を効率化するテンプレート、クライアントのステータス(関係地と状況)に応じたアプローチの方法、営業後のルーティーンなどを具体的にレクチャーいただきました。


※より細かいテクニックを知りたい方は、石澤さんのノートへ→https://note.mu/ishizawa_epoch/n/n0cfe1adaae91


そして、石澤さんは、メソッド同様、心意気も大事だと言います。


石澤さん :近江商人の「三方よし」と石澤流の「利皆主義」の精神を持つこと。これは、自分だけではなく、仲間も、パートナーも、業界も盛り上げ、買い手を動かし、世間を動かしていけば、結果自分が儲かることにつながるという考え方です。

仕事が無くなっても不安に思うことはありません。だってほとんどの人が、知ってもらう努力をしていないから。工夫してその努力をしていけば、仕事はすぐにもらえます。

深呼吸して一歩外にでて営業してみましょう! 

Q&A

イベント後半は参加している受講生・卒業生との交流タイム。石澤さんへ投げかけられたたくさんの質問のうち、一部を紹介します。



Q|現在、他業種で営業職をしています。クリエイター目線の営業戦略を教えてください。

A|クリエイター目線である必要はないと思います。むしろクライアント目線であるべきです。誰が、なぜ、欲しているのか、そして自社が一番得意なことを考えてみる。自分たちの会社の特徴を見出して、どこが一番とがっているのかに注目してみてください。自社が得意とする技術を求めているお客さんとデザイナーを引き合わせる、「ハブ」になるのが営業の役割だと思います。



Q|仕事をしていたりデジハリで学んでいたりすると、自分が将来どこを目指しているのか、現在どの地点を走っているのか、分からなくなってしまうことがあります。モチベーションを保つ方法があれば教えてください。

A|これは僕に聞くよりも、やりたくない仕事をやっている人に聞いた方がいいですね。やりたくないのに、毎日出勤してくるモチベーションってめちゃくちゃすごいじゃないですか。彼らが続けられる理由を俯瞰して考えたとき、目の前の結果が一回出ることにあるんじゃないかと思うんです。例えば飲食業界で言うと、お客さんが残さないで食べてくれたとか、おいしいと言ってくれたとか。


内省して試作品ばかりつくっていると、辛くなりがちだと思います。そういうときは、自分軸から他人軸に変えてクライアントが喜んでくれるものに取り組むこと。あとは、仕事以外のこと、例えば家族のために自分の技術を活かすみたいに置き換えをしてみるといいと思います。


人間はすごく単純で、サウナにいったら悩みが消えるみたいなこともあります。同じくらいしんどいもので別のことをやってみるのもいいかな。そうすると、改めてCGやデザインの楽しさが感じられて、モチベーションが戻る場合もあります。

Q|将来「映像作家100人」に選ばれたいという目標があります。初心者が選ばれるためには、石澤さんだったらどのような戦略をとりますか?

A|まず、映像作家100人に選ばれるために映像を頑張るのはやめた方がいい。


過去選ばれた例で言うと、アーティストの世界観を拡張して解釈し、そこに対して情熱をもってクリエイティブをつくっている人が素晴らしかった。その理解と、誰かのためにやっている、献身的な映像をつくっていることが人の心を打ち、感動に繋がるということがありました。僕個人としては、映像をつくるという才能を人のために猛烈な熱量でアウトプットを出したことに対して評価をしたいと思っています。


例えば、「モンドセレクションに選ばれるお菓子を作りたい」、「めちゃめちゃ子供に喜んでもらえるお菓子をつくりたい」という二者がいたとして、後者の情熱が素晴らしいから結果モンドセレクションに選ばれるといったことはあるかもしれない。 でも、最初からモンドセレクションに選ばれるためのお菓子を研究されると、それ以上のものにならないと思うんですよね。


だから、本当に選ばれたいのであれば、めちゃめちゃ好きなものを大事にした方がいい。友人の結婚式のビデオでも素晴らしければ選びたいと思いますよ。自分の誉の為でなく、誰かのためにやっているから美しいのだと思います。

参加者の声

イベント終了後には参加者へのアンケートを実施。結果を見ると、イベントの満足度はとても高いものでした。実際に参加された方の声を一部紹介します。


  • 経営の立場でもご自身の足というか、縁を大切にするための努力を沢山されている点が大変参考になりましたし、尊敬いたします。
  • 営業という自分に足りないものが具体的に言葉になったので安心したのが大きかった。
  • 現職で営業をやっているので、経営者視点の営業施策が面白かった。
  • 「他人にモチベーションを設定する」というお言葉にはっとしました。自分視点になっていることに気がつきました。
  • 概念から実際の行動まで考え方を教えていただくことができて満足です。

さいごに

営業の本質的な考え方や実践すべきことを教えていただき、とても勉強になりました。

中でも、「知ってもらう努力をしていますか?」という問いにハッとしました。わたしは、いいものをつくってさえいれば、仕事は自然とくるものだと思っている典型でした。営業を軽視し、知ってもらう努力をしてこなかったことを反省しています。



今まで、営業活動といえばポートフォリオを持って売り込みに行くことくらいしか思い浮かばなかったのですが、人との出会いやつながりを大切にすること、SNSを通じて積極的にアウトプットを行うことも営業活動の一環なのだと気付かされました。

「深呼吸して一歩外にでて営業してみよう」という石澤さんの言葉にとても励まされ、前向きに行動していこうと思いました。


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