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心斎橋にて開催中の「微わかる展」「小さすぎるよ展」に見る、UI/UXデザインの考え方

2026-09-05

心斎橋の「微わかる展」「小さすぎるよ展」に見る、UI/UXデザインの考え方

大阪・心斎橋で同時開催中の「微わかる展」と「小さすぎるよ展」に足を運んできました。一見するとどちらも体験型のポップな展示ですが、UI/UXデザインの視点で見ると、随所に「人の行動をどう設計するか」というヒントが詰まっています。今回はこの2つの展示を通して、UI/UXデザインという言葉があまり馴染みのない方にも、その考え方の面白さが伝わるようにまとめてみます。

UI/UXデザインとは何か

まず前提として、UI/UXデザインは「アプリやWebサイトの見た目や操作性を整える仕事」というイメージを持たれがちです。しかし本質はもう少し広く、「人がストレスなく、あるいは楽しく行動できる仕組みをつくること」全般を指します。画面の中に限らず、案内板の文言や店舗の動線設計、今回のような展示体験の設計にも同じ考え方が使われています。

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会場は自然と動線ができていました
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ドアに触れてその時の気持ちを思い出す展示も

「小さすぎるよ展」に見る、不便さを利用した体験設計

この展示は、とにかく徹底して「小さい」ことが特徴です。

  • チケットを受け取る窓口自体が小さく、壁の穴にカーテンが掛かっているだけの構造
  • チケットそのものも小さく、ピンセットで挟んで手渡される
  • 展示の入り口も小さく、しゃがまないと入れない
  • 「小さいうれしいすぎるよ」「小さい器すぎるよ」といったテーマがミニチュアやルーペを使わないと読めない文字で表現されている

一般的なUIデザインの原則では、「ボタンは押しやすく」「文字は読みやすく」「動線はスムーズに」といった、いわゆる利便性の高さが良いデザインとされます。その意味では、この展示の設計はあえてその逆をいっています。

ただし、この「不便さ」は狙って設計されたものと考えられます。UI/UXの世界には、ユーザーが最初に触れる体験がその後の心理状態を決める、という考え方があります。しゃがんで入る小さな入り口や、ピンセットで受け取る小さなチケットは、来場者に頭で理解させるより先に、体の感覚で「小ささ」を認識させる役割を果たしています。

「読ませる」のではなく「体験させる」ことで理解をつくる――アプリで言えば、説明文だけのチュートリアルではなく、実際に指を動かして操作させることで理解を促すオンボーディング設計に近い発想です。

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入場時点で小さすぎる世界観が設計されています
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小さな感情の動きを、小さな展示方法で表現

「微わかる展」に見る、言葉とリサーチ設計

一方の「微わかる展」は、空間としては非常にシンプルです。壁にキャプションが貼られていたり、柱に印刷物が貼られていたりするだけで、装飾的な仕掛けはほとんどありません。その分、内容の言葉選びで勝負している展示です。

  • 「アラームは起きたい時間と、これ以上は本当にやばい時間の2段階でセットする」
  • 「仕事内容より結局上司」
  • 「ライブの交通費はタダだと思っている」

こうした、日常の中で誰もが感じたことのある感情を、絶妙な解像度で言語化しています。これはUI/UXデザインの現場で言う マイクロコピーの役割に近いものです。ボタン1つの文言やメッセージの言い回し1つで、ユーザーの受け取り方が大きく変わることはよく知られており、この展示は壁とキャプションという最小限の要素だけで、共感や話題性を生み出しています。

会場には「微わかる」か「微わからない」かを選んで押せるボタンのエリアもあり、見るだけでなく、考えて意思表示するという行動が自然に組み込まれています。これはUXデザインで言う エンゲージメント設計の一種で、受け身の体験より能動的な体験の方が記憶に残りやすく、話題としても広がりやすいという特性を活用したものです。

さらに出口には、来場者が自分で考えた「微わかる」を投函できるポストが設置されています。運営側から感想を求めるのではなく、展示の世界観の中に自然な形で組み込むことで、来場者自身がネタを提供する仕組みになっています。これは UXリサーチの手法を、体験そのものの中に組み込んだ設計と言えます。アンケートフォームで感想を集めるより、来場者の心理的なハードルが低い形でデータが集まる点が特徴です。

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ユーザーの考える「微わかる」が並んでいます
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足元の話は地面に貼り付けられている

2つの展示から見えるUI/UXデザインの共通点

共通点はないように見えますが、2つの展示はいずれも「どうすれば人は自然に行動し、共感するか」という同じ問いに向き合っています。

「小さすぎるよ展」は身体感覚に働きかけ、ルーペをのぞく、ミニチュアをつまむといった動作を通じて没入感をつくっています。「微わかる展」は言葉で共感を生み、その後意思表示、投稿という一連の行動を促しています。

どちらの展示にも、説明的な誘導はほとんどありません。それにもかかわらず、来場者の行動は自然に導かれています。これは、画面の中だけでなく、日常のさまざまな場面に応用できるUI/UXデザインの考え方そのものだと言えます。

普段何気なく使っているアプリやWebサイトが「ストレスなく操作できる」と感じるとき、その裏には同じような設計上の工夫があることが多いです。UI/UXデザインに馴染みのない方も、こうした身近な展示を通じて、その考え方の面白さに触れてみてはいかがでしょうか。

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出口には参加者が書き込む「微わかる」ポストも
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一緒に参加した人と感情を共有できる場所もあります

本記事は、大阪・心斎橋で開催中の「微わかる展」「小さすぎるよ展」の来場記録をもとに、UI/UXデザインの視点から構成しています。

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