動画コンテンツや動画広告に触れる機会が爆発的に増え、動画クリエイター/ディレクターという存在が身近になってきました。動画・映像を作る仕事に以前にも増して注目が集まり、映像業界に就職・転職したいと思う方も増えています。
「未経験から、映像業界に就職・転職できるのか?」「一体どんなスキルが必要なのか?」
ここでは、そんな悩みに直面されている方に向けて、どんなスキルや経験を身に付けておくべきなのかについて、ポイントを紹介します。
1. 映像制作を仕事にするために必要なスキルとは?
映像業界と言うと、実力や経験が高く求められそうなイメージがあるかもしれません。
もちろん専門性の高い大学や、映像業界での経験、またはデザイン・ディレクション業務の経験があることは強みになるでしょう。しかし、必ずしも、採用時点での技術や実績、学歴が強く求められている訳ではありません。
未経験可の求人も多く、就職したり、またはアルバイトとして、現場で学んでいきながら経験・キャリアを積んでいくことは、映像業界での自然なキャリアとも言えます。
未経験から就職・転職を目指すにあたって、身につけておくべきものとは何でしょうか。
それは・・・
①編集・撮影・ライティング(照明技術)の基本的なスキル
②映像を企画・編集するセンスを磨くこと
主にこの2点が重要になってきます。
■編集・撮影・照明の基本的なスキルについて
まずは、編集ソフトや、撮影・ライティングの基本的なスキルについてです。
一定の知識やスキルがあるかどうかで、就職先の条件や選択肢は変わってくる上、就職後の適用力・応用力と言った点で、差が出てくることでしょう。
編集ソフトを使用して、どのような技術を学ぶべきか、という点については、目指す映像の方向性やジャンルにも寄りますが、顧客の依頼による様々な映像制作(例えばWeb向けの企業広報動画など)を想定するなら、幅広い範囲でよく使用される技術を中心に学んで、制作していくのがオススメです。
主には、映像のカット編集や、テロップデザイン、モーショングラフィックス(ロゴムービーやインフォグラフィック等々)、VFX(実写合成)、イラスト素材を使用したアニメーション、などが挙げられます。
そのほか、カメラ・照明機材、その他撮影機材について、映像に適切な機材を選ぶ基準や撮影手順・方法・注意点も学んでおくべきでしょう。
■映像制作のセンスとは?
次に、企画・編集センスは、才能よりも、普段からより多くの映像やデザインを注意してみていくことで培われていくものです。
映像のカットやコピーライティングのつなぎ方、テンポ感、様々な表現方法・・・そう言ったものを、多く観察することにとって、身につけていく「引き出しの多さ」が、センスに繋がっていくでしょう。
また、映像制作を行う中で、顧客の要望や課題に対して、適切な企画や表現を行う必要がありますが、そのなかで顧客、または制作メンバー達と、議論や擦り合わせをしていくコミュニケーション能力も必要です。社会人経験のある方は、顧客・社内メンバーとのプロジェクト進行経験があれば、映像業界で活かされるはずです。
2.動画編集ソフトは、何を使うのが良いの?
さて、映像制作を学んでいくにあたって必要になるのが、パソコンと編集ソフトです。
編集ソフトについては、無料や、安価な映像編集ソフトが数多くリリースされていますが、仕事として今後映像に携わるのであれば、より編集やデザインできる幅が広く、仕事の現場でも多く使用される有料ソフトを契約するのが好ましいでしょう。
特に、これから学ばれる方には、映像制作の代表的なソフトである、Adobeの「Premiere Pro」と「After Effects」がオススメです。
■Premiere Pro と After Effects
Premiere Proは、複数の動画素材や音声素材を切り貼りして繋ぎ合わせる、カット編集に長けていて、After Effectsは、モーショングラフィックスやアニメーション、様々なビジュアルエフェクトを重ねることにより適しています。
案件の特性によって使い分けたり、1つの案件の中でもAfter Effectsで作った複数のクリップを、Premiere Proで音声も含めて1つの動画に繋げていく、というような使い分けをすることも多いです。
また、「Photophop」や「Illustrater」と言った、Adobeの他のデザイン制作ソフトとの連携ができ、背景やイラスト・テロップ素材を組み合わせたスムーズな制作が行えます。
Adobeのソフトは、年額や月額制のサブスクリプションモデルで、1ソフト単体のプランや、Adobeのソフトが全て使用できるプランなどがあります。PhotophopやIllustraterを使用した素材の制作や調整も映像制作では必要になってくるため、全て使用できる「Adobe Creative Cloud」にしておくべきでしょう。
デジタルハリウッドの在学中なら、アカデミック価格で購入することができます。
Adobe Creative Cloud
■そのほかの映像編集ソフト
Adobeのほか、現場で使用されているソフトは多く存在します。
brack magick design社の「DaVinci Resolve」は、カット編集や音声編集、エフェクト・モーションデザインなど、1つのソフトに幅広い機能が含まれており、特に撮影素材の色彩調整(カラーグレーディング)に定評があります。無料版でも一部の機能を除いて問題なく使用できるので、 他のソフトを使用する方でも、試してみる価値が高いです。
Grass Valleyの「EDIUS」は、テレビ業界などの編集現場でよく使用されている編集ソフトで、カット編集の操作性・効率性が高く追求されています。WindowsのOSのみ対応しています。
Appleの「Final Cut Pro」は、直感的な操作で、様々なエフェクトを加えたり、カット編集が行えるソフトで、MacのOSのみ対応しています。
Adobeのソフトがサブスクリプションなのに対し、「EDIUS」「Final Cut Pro」は買い切りです。また「DaVinci Resolve」は無料版が利用でき、全ての機能が使えるPro版は買い切りとなっています。
まずは代表的なAdobeのソフトを学びつつ、その他のソフトのメリットデメリットを理解して、併用して使ったり、実際に現場で使用するソフトに合わせて、学んでいくのが良いでしょう。
3.パソコンのスペックはどれだけ必要なの?
次に、映像制作を行うにあたって、必要なパソコンのスペックについて説明します。
映像制作は、スペックによって、作業スピードがかなり大きく左右されますので、パソコン選びは非常に重要になります。作業スピードは、映像制作を学ぶスピードにも直結します。
もちろん、目指す映像制作の中身によって、必要なスペックは変わります。また、ソフト・パソコンいずれも、バージョンアップに伴って情報が変わることもあるので、購入されるタイミングで、最新の情報をチェックするようにしてください。
スペックを考える上で、大切になるのは、主に、CPU・メモリ(RAM)・グラフィックボード (GPU)の3つです。
■CPU
CPUは人間で例えると「脳」とよく表現されますが、その性能は処理速度に直結します。
After Effectなどのソフトで言えば、サクサク動くかどうかや、書き出し速度が左右されますので、まずは最も重視すべきポイントだと言えます。
一般的なものはintel製です。様々なスペックがありますが、4K撮影素材を用い、ある程度複雑なエフェクトや、快適なカット編集の環境を求めるのであれば「core i7」シリーズ以上を選ぶのが良いでしょう。
フルHD画質程度の動画の、簡単なカット編集であれば、「core i5」シリーズでも問題なく可能でしょう。
※同じcore iシリーズでも、第9世代、第10世代、というように、世代(バージョン)によって、性能も変わるため、できる限り最新のものが搭載されているかを、見る必要があります。
■メモリ(RAM)
メモリは、よく「机の大きさ」と表現されるように、重い処理や、複数の処理を並行して行う場合に、処理性能の差が見られます。一般的なオフィス用のPCだと8GBや4GBが主流ですが、これは映像制作にはかなり厳しい性能です。
比較的快適な映像制作環境として、32GBは欲しいところです。
16GBでもエントリーモデルとして映像制作を進めていくことはできるでしょう。4K動画素材の加工・編集や、複雑なエフェクトやモーショングラフィックスを目指す場合は、速度が遅いと感じることはあるでしょうが、仕事で納期に追われることがない場合は、まずは16GBを選んで、試してみるのも手かもしれません。
■グラフィックボード (GPU)
グラフィックボード は、画像や映像の描写の処理に使用され、CPUやメモリ(RAM)に次いで重要なポイントとなります。
CPUやメモリを十分も満たして、さらに予算がある場合に、より高いスペックのものを選ぶのが良いでしょう。
それほど機材に詳しくない人にとっては、グラフィックボード は、CPUやメモリに比べてその名称に馴染みがなく、選ぶ基準が難しいかもしれません。(例えば、「NVIDIA GeForce・・・」や「AMD Radeon・・・」など)
製品ごとの、ベンチマークテスト結果(性能テスト結果を数値で表したもの)などが発表されているので、それも参考にして判断してください。また、有名なモデルや、最新のmacに搭載されているモデルなどは、youtubeでの比較レビューも上がっているので、参考になるでしょう。
■その他の基準
他にも、「そもそも持ち運ぶノートか、より性能を追求するデスクトップか」「Windowsかmacか」「SSDの容量の大きさ」「冷却性能」など、様々な視点があり、検討し始めると、なかなか決まらないことも多いでしょう。しかしパソコン購入は一度限りではありません。今買える範囲の金額・必要な範囲の性能のものを選んでいきましょう。
また、各ソフトの提供元がソフトの推奨環境や最低環境を公式に出しているので、まずはそれを上回るスペックを揃えてください。
スクールで学ばれる方は、スクールのパソコンを一定期間使ってみてから、どの程度のスペックが必要かどうかを判断するのも、リスクの少ない選び方かもしれません。
4. スクールには通うべきなの?
最近は、ネットで多くの有料/無料教材が見つかりますし、Youtubeでも基礎的なチュートリアル動画が充実しており、映像制作の独学の環境も良くなってきています。それほど金額をかけずに、ある程度の知識を得ていくことができるかもしれません。しかし、、スクールに通うと、短期でも数万〜数十万の金額がかかりますが、スキルを体系的に得られるだけでなく、アドバイスの質や、チャンスの大きさという面で、メリットがあります。
プロの講師に直接、就職・転職に向けた技術のポイントを相談できることや、多くの場合、スクールには求人やコンペの情報が集まるため、そこから直接仕事に繋がります。就職・転職を目指すのであれば、より魅力的な選択肢と言えるでしょう。
先述した映像のストックを増やしていく方法など、様々なテーマで、講師や、スクールの仲間と共に、議論や相談ができる繋がりも、スクールだからこその魅力です。
講座内容はスクールによって変わります。編集技術だけなのか、撮影技術も含まれるのか、そのほか企画やマーケティングに関する分野は含まれているのか、必要なスキルに合わせて、講座内容をチェックして、自分にあったスクールを選ぶことが大切です。
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最後に
未経験から、映像業界に転職・就職するためのポイントをいくつか紹介いたしました。
何よりも、映像が好きな気持ちを大切にして、まずは自ら編集ソフトを駆使して作品をいくつか作ってみることが、第一歩です。
そこから、映像制作の楽しさ・大変さ・奥深さというものを自分なりに知っていき、今後のキャリアや、さらなる勉強の仕方について、計画していくのが良いでしょう。
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