デジタルハリウッドSTUDIO吉祥寺 ブログ

ゲーム業界希望の方必見!現役クリエイターによる
公開講座「Unityによるエフェクト制作とShader Graph」受講レポート

2020-07-24

こんにちは。デジタルハリウッド スタッフ 近藤です。

先日STUDIO吉祥寺にて、公開講座「Unityによるエフェクト制作とShader Graph」を開催いたしました。

今回は、デジタルハリウッド東京本校卒業生の望月さんに当日のレポートをいただきました。

ゲームエフェクト、プロの先生からお話を聞けた講座のレポート!


ゲーム業界志望の方必見のイベントですので、参加できなかった方にも是非ご覧いただきたい内容です。


※このイベントは2/29に開催されたものです。


こんにちは。

デジタルハリウッド東京本校卒業生の望月と申します。

今回は、2/29にSTUDIO吉祥寺にて開催された公開講座

「Unityによるエフェクト制作とShaderGraph」の参加レポートをお届け致します。


学習リソースが少ないゲームエフェクト、プロの先生からお話を聞ける数少ない機会ということで、制作ノウハウの一端でも学べたらとの思いで足を運びました。

プロのゲームエフェクトアーティストは何を思い、何を考えエフェクト制作されているのでしょうか。



講師紹介

邑上貴洋氏  
株式会社アプリボット
シニアエフェクトアーティスト

Webクリエーターとしてキャリアをスタートし、webディレクター、FlashDeveloperとして映像系Web制作会社に従事。2013年サイバーエージェントグループの株式会社アプリボットに転職し、2Dアニメーションチームリーダーを務める。2015年、3Dのプロジェクトが立ち上がり、3Dエフェクト制作を開始、「BLADE XLORD―ブレイドエクスロード―」や、新規開発プロジェクトのエフェクト仕様策定からテイスト制作に携わっている。

2017年から東京デザインテクノロジーセンター専門学校にてゲームエフェクト講師にも従事。Twitter:@Ugokashiya

「エフェクトデザイナー」とは?

「ゲームエフェクトデザイナーとは何か?」

「ゲームエフェクトの役割とは何か?」

そんなお話から講座が始まりました。

この問いにパっと答えられる人は中々いないのではないでしょうか?


先生の回答はこのようなものです。

「ゲームエフェクトデザイナーとは『効果を光の表現で伝え、演出するクリエーター』」

そして、特にバトルエフェクトに関しては

『今の状態を伝える、効果情報』

『爽快感などを与える、視覚演出』

『ゲームテイスト(世界観)の伝達手段』

この3つの役割があるとのことでした。


やみくもに派手な演出を求めるのではなく、

「なぜ、そのエフェクトが必要なのか」を突き詰めることで、絵に説得力を持たせているそうです。

ゲームエフェクトは明確な思想の基に制作されているのですね。

「エフェクトの表現技法」

『効果を光の表現で伝える』ことがゲームエフェクトデザイナーに求められるとのことでしたが、では「光」をどのように表現していくのでしょうか?

今回、光の表現テクニック、その具体的な手段についてもご紹介していただけました。


先生曰く

「光は、変化の種類、『ボリュームの差分』で強く感じる」とのことです。


ボリュームの差分とは・・・?

線香花火を例に考えてみます。

暗闇の中、線香花火にパチパチっと光が灯った様子を想像してみてください。

この中に次のような『ボリュームの差分』を見出せます。


・闇と光のコントラスト=明度の差分

・ぷくぷくと揺れる赤色の火球、中央に行くほど白く輝く=色相と明度の差分

・勢いよく飛び出し、失速する光の線=速度の差分

・小さな火花がはじけ、大きくなり、消えていく=スケールの差分

...etc


 イメージがつかめたでしょうか。


私たちは、このようなボリュームの差や緩急によって、光の強弱や心地よさといったものを感じ取っているようです。

一つ一つの要素を積み上げていくことで『光』を深く表現することができます。

こういった要素(らしさ)をみつけるためにも、身の回りにある「光」を観察することはすごく大切な事だそうです。

ゲームエフェクトは、抽象的で掴みどころのないものだと思っていましたが、エフェクトの要素を洗い出し、言葉に落とし込むことで、エフェクト制作の足がかりになることが良くわかりました。

「Unity ShaderGraph」

本講座のメインテーマ、シェーダーグラフ。

シェーダーグラフとは、プログラミングができなくても、ノードベースでシェーダーを製作できるUnityの標準機能のことです。

デザイナーが「こんな表現がしたい!」と思った時に、

プログラマーが必要だったところが、デザイナー1人でも完結できるようになってしまったという便利機能です。

 

 今回、先生がシェーダーグラフで制作されたノード群とシェーダーを見せていただけました。実務では最終的にプログラマーがシェーダーの最適化をするため、制作したシェーダーがそのまま使われることはないそうです。

しかし、デザイナーが1人で絵作りをするという点において、シェーダーグラフを扱えるメリットは大きいとのこと。

 

 それでもデザイナー志望の方だと、プログラミング的なものを敬遠しがちだと思います。私も先生が作ったシェーダーグラフのノード群を見たときは一瞬何が何だかわからないといった感じでした。ところが要所要所の解説を聞くと、そこまで難解なものでないことがわかりました。もちろん複雑にしようと思えばいくらでも複雑にできるのでしょうが、CGの基本的な所を理解している人であれば、シェーダーグラフの学習は比較的スムーズにできると思います。

 

 そもそもプログラミングができなくてもシェーダーが扱えるというコンセプトで作られた機能ですので、デザイナーだからこそ触ってみる価値は大いに有ると言えますし、私も積極的に使ってみようと思います。

「エフェクト制作に必要な行動」

制作ノウハウばかりに目が行きがちですが、『エフェクト制作』を俯瞰したときに、大きく5つの『行動』が大切になってくるようです。

1.目標になる作品を決める

目指すべきベンチマーク(既存作品)を明確に決める

できるかできないかではなく、 作りたいという気持ちを大切に する。


2.参考資料を集め、世界観を固める

SNS(Pinterest、Evernote...etc)などを活用して、参考資料をたくさん集める。リアル、セミリアル、ファンタジー、色々な表現方法の中から、作りたいエフェクトのテイストを固めていく。


3.分析

目標とするエフェクトが、どんな要素、表現技法で構成されているのか分析、分解をしていく。


4.情報収集 

有名クリエーターのブログや、コミュニティサイトを通して最新情報をチェックする。エフェクトデザイナーのコミュニティ(勉強会など)に参加し、 交友を広げる


5.アウトプット

自分の作品をコンテストやtwitterなどで発信し、 多くの人に見てもらう 。できればフィードバックを貰えるとよい。

1.~3.はエフェクト製作の準備段階ですね。ここをおろそかにすると、制作時に迷いが生まれて、いつまでたってもエフェクトが完成しないということになりかねません。

4.5.は情報交換を通じて自分の作品のクオリティアップを図るような行動です。

エフェクトに限った話ではありませんが、作品を制作しフィードバックをもらうという方法が、上達する上での王道なのですね。


「エフェクトデザイナーは人材不足」

幅広い知識が求められるエフェクトデザイナーですが、それが災いしてか、現在は人材不足なのだそうです。

学習リソースが少ないことも大きな要因であるとのこと。

たしかに、私の周りでもゲーム業界を志していた知人は何人もおりましたが、モデラー志望が多かった印象です。

 

 先生曰く、幅広い知識は求められるけれど、アレもコレも完璧に使いこなす必要は無いようです。

例えばシェーダーグラフはあまり触らないけど、代わりにAfterEffectは得意といったように、個性や好みを生かしてエフェクト製作をされている方も大勢いるとか。

 

 そして、ツールを使いこなす事よりもっと大切なことは「エフェクトを作りたいという気持ち」だと言います。絵が上手に描けるだとか、色彩感覚に優れているだとかよりも『作りたい気持ち、熱量のある人』の方が上達のスピードが早いと実感の込もった言葉で参加者に伝えていました。

参加者の中にも、この言葉に励まされた人たちは多かった事と思います。

最後に…

今回のお話はゲームエフェクトに限らず、他の分野にも応用の利く貴重なお話を多く聞くことができました。また、ゲームエフェクトの根幹にある思想、その思想を表現するためのロジックに触れ、雲のように曖昧な存在だったエフェクトが体系的に捉えられた気がします。講座の内容を参考に、私もより良い作品を作れるように頑張りたいと思います。

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