デジタルハリウッドSTUDIO千葉 ブログ

県職員向け「DX企画力向上講座」を開催しました!
〜住民起点で考える“行政DX×生成AI”を2日間の実践プログラム〜

2025-12-24


デジタルハリウッドSTUDIO千葉です。

先日、姉妹校のSTUDIO松山で、県職員の方向けの「DX企画力向上講座」を実施しました。


今回の研修は、

・「現場の業務が忙しくてDXまで手が回らない…」

・「住民の困りごとを把握しても企画に落とし込むのが難しい」

・「生成AIを活用したいが、行政業務のどこで役立つのかイメージできない…」

といった声にお応えし、

“住民視点の課題発見 × デザイン思考 × 生成AI” を組み合わせ、

企画を考えて終わりではなく、実際のDXプロジェクトとして一歩動かせる状態を目指す、2日間の実践プログラムとして設計しました。

行政の現場で「明日から使える企画力」を身につけることを目的とした研修となります。

講師紹介

みむら かずや

デジタルハリウッドSTUDIO松山・千葉

コミュニティマネージャー


1982年生まれ、愛媛県松山市出身。幼稚園~高校まで松山で15年過ごして、大学から上京。上の娘の小学校入学に合わせて松山にUターン。

夢の国キャスト、教員、NGOファンドレイザー等を経てデジタルハリウッドの運営へ。2022年春より、デジタルハリウッドSTUDIO松山を開校しUターン移住。「学び」をアップデートするコミュニティプロデューサーとして、デザイナー、クリエイターを場作りをしながら様々な企業・自治体とつながりイベントを企画・DX推進を行うなど地域人材カタリストとしても活動中。

松本 朋也

NPO法人日本タイポグラフィ協会 正会員
松朋デザイン合同会社
デジタルハリウッドSTUDIO松山 トレーナー


1979年、愛媛県松山市出身。九州産業大学芸術学部デザイン学科卒業後、福岡でサインデザインを手がける制作会社でアシスタントを経験。その後、東京でアニメーション関連のウェブサイトや中小問わず様々な企業のウェブサイト、そしてグラフィックデザインの制作に携わる。2019年6月に松朋デザイン合同会社を設立。2022年より書体に関係するワークショップやセミナーを定期的に開催している。

・日本タイポグラフィ年鑑展 2014 九州展 スペシャルトーク登壇
・JP_Stripes Connect 2019 登壇
・日本タイポグラフィ年鑑 入選

▶松朋デザイン合同会社:https://mtodllc.com/
▶ジッテンフォント:https://jitten410.com/

高山 歩

デジタルハリウッドSTUDIO 講師/トレーナー
(株式会社ウェブキャリア 代表)


1987年生まれ、神奈川県横浜市出身。デジタルハリウッド卒業後、オールアバウトグループや博報堂アイ・スタジオなどでWebディレクターとして勤務し、NTTドコモをはじめとした大手企業のサイトを含む、運用・制作を多数経験。現在は、デジタルハリウッドの講師・トレーナーとしても5年以上従事し、これまでに1,500名以上の受講生をサポート。未経験者の視点に寄り添いながら、実践的な指導を行う。
近年は、企業の経営層や実務担当者に向けた生成AIの活用支援に携わり、AIリテラシーの向上を図るとともに、制作現場や業務改善の場面でも生成AIの実践的な活用に取り組んでいる。

Day1:住民の”困った”に本気で向き合い、課題の本質を掘り下げる日

今回の研修では35名の方が参加され、8班に分かれてグループワークを進めていきます。

初めましての方同士もいらっしゃったので、参加者の皆さんには、簡単な経歴・担当している業務・いま興味のある事などをテーマに自己紹介していただき、和やかな雰囲気でスタートしました。

AIの基本について知る

まず皆さんには生成AIと人間、それぞれ特化した強みについて考えてもらいました。

・生成AIにしかできないこと

・人間にしかできないこと

様々な意見が出てくる中で、これらの答えがでてきました。


生成AIの強みは「量」と「速度」

一方で、人間の強みは「文脈を理解して、判断する力」


生成AIは「無限に案を出せる力」を持っています。

その中でどれを選び、どう進めるかを決めるのは人間です。

このワークを通じて、AIと人間それぞれの役割や、得意・不得意が整理されました。

デザイン思考とは何か?

デザイン思考とは、デザイナーが業務で使う思考プロセスを活用し、 課題に対して、最適な解決を図るための思考法となります。


企画をする際、「制度」「予算」「前例」から考えがちになってしまいますが、今回は、デザイン思考を県政に置き換えて考えてみました。


デザイン思考を取り入れることで、「この方は何に困り、どんな不安を抱えているんだろう?」

といった視点から課題を深掘りすることができ、住民が本当に求めている“真のニーズ”を捉えることができるようになります。

住民の困りごとブレスト

いよいよ実践ワークがスタート。
テーマは 「住民の困りごとを書き出す」

各チーム最低50個を書き出すミッションでしたが…
実際はそれを大きく超える“本音”が飛び出しました。


「情報がどこにあるかわからない」
「申請のたびに同じ紙を何枚も書かされる」
「高齢者がオンライン申請を使いこなせない」
「役所に行く時間がない」


など、“現場をよく知る職員だからこそ出せる視点”がたくさん。

出てきた付箋を壁に貼り、カテゴリ別に整理すると、
「情報迷子」「移動の壁」「申請地獄」など、
行政現場を象徴するユニークなカテゴリ名が誕生しました。

今回は、各チーム上がった困りごとの中の一つをテーマにして、課題解決に挑みます。

ペルソナ作成 & ヒーローズジャーニー

次は、選んだ課題の“当事者”となるペルソナを設定しました。

・どんな仕事をしている?
・家族構成は?
・1日の流れは?
・どんな瞬間に困っている?

これらを整理したら、
住民の1日を“物語”として描く「ヒーローズジャーニー」に取り掛かります。

これはドラマや映画制作の現場でも用いられる手法で、数字や項目だけでは捉えきれなかった住民の心情が、ストーリーにすることで一気に理解しやすくなります。

中にはイラストを取り入れている班も^^

こうして、課題に対するリアルな人物像にフォーカスして、解決への道のりをより具体的に整備することができました。

Day1のワークを通して

1日目は、生成AIを使う前段階として、住人目線での課題を捉え、本質を掘り下げることにじっくり向き合いました。

デザイン思考を通じて見えてきたのは、「 “課題解決には、テクノロジーの前に他者への理解から始まる”」ということです。

制度や、前例、効率だけで考えるのではなく、

「この人は、どんな状況で、何に困っているのか?」

と住民1人として想像することで、企画の質が変わってきます。

住民1日をストーリーとして描き、感情や行動を追体験することで、

これまで見えてなかった本当の課題が言語化されていきました。


1日目で磨いたこの視点を土台に、

2日目は、いよいよ生成AIを活用して、企画をさらにブラッシュアップしていきます!

Day2:生成AIを“考える道具”として使いこなす

前回の振り返り

2日目は、生成AIを使って企画を一歩深く、具体的にしていきます。

生成AIの「チューニング力」

生成AIを「仕事」で活用する上で、注意点が必要となります。

大切なのは「AIに正解を出してもらうこと」ではなく、

目的に合わせてAIをチューニングする力です。


<チューニングのポイント>

「実現したい目的」や「ターゲット」に合わせて、

制作物や「出力したもの」を調整していく力が重要


チューニング力を意識しながら、

実際に1日目に考えた企画をAIに頼りながら、企画のブラッシュアップをしていきました。

企画をさらに深めるにあたり、ペルソナやストーリーをAIに読み込ませ、

「見落としている視点」や「他に考えられる困りごと」などもアイディアを反映しながら、

住民像をより立体的にしていきます。


AIに補助的な視点を加えてもらうことで、

職員の方だけでは気づきにくい“根本原因”が浮き彫りになり、

最終プレゼンに向けた最終仕上げを行っていきます。

最終プレゼンテーション

2日間の研修の集大成として、各班による最終企画のプレゼンテーションを行いました。

テーマは多岐にわたり、子育て・交通・医療・移動・安全といった、愛媛で暮らす人のリアルな生活課題が次々と浮かび上がりました。


どの企画に共通していたのは、「便利そうだから」「新しい技術だから」という発想ではなく、「この人は、なぜ困っているのか?」という住民視点から丁寧に組み立てられていることでした。


住民の1日の行動や感情を追いながら、

・どの場面で困りごとが生まれているのか

・既存の制度や仕組みでは、なぜ解決しきれていないのか

を言語化したうえで、DXやAIを“手段”として組み込んでいく。


その結果、

「すぐにでも実証してみたい」

「現場で実際に使うイメージが湧く」

と感じられる、具体性の高い企画が数多く生まれました!


発表例

・松山市の子育て世帯の悩みをDX×施設で総合的に解決する企画

・「愛媛県デジタル自治体『e-yo(イーヨ)』建国計画」

・AIによる小児患者受診相談 ― 保護者向けサポートシステムの提案

・交通難民 ―「遠回り 愛の憂鬱」―

この2日間を通して

生成AIを活用することで、業務は確かに便利に、スピーディーになります。

しかし、生成AIに頼るだけでは、どうしても表面的な議論にとどまりがちです。


今回の研修で大切にしたのは、

まず人が「住民の声」に向き合い、課題の本質を考え抜くこと。

その上で、生成AIを壁打ち相手として活用して、

企画を何度も磨き直していくプロセスでした。


企画の軸がしっかりしていれば、

生成AIは単なる便利ツールではなく、

「本当に解決したい課題」に近づくための強力なパートナーになります。


人が考え、生成AIと対話しながら企画を深めていく。

その積み重ねこそが、行政DXを現場で使える形にしていく第一歩だと改めて感じた2日間でした。

参加者の声(アンケート結果一部抜粋)

デジタルハリウッドSTUDIO千葉でも、
自治体・企業向けのDX研修も実施しています!

・行政DX研修

・生成AIのリテラシー講座

・デザイン思考ワークショップ

など、目的に合わせてカスタマイズ可能です。


研修のご相談はお気軽にお問い合わせください。

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