デジタルハリウッドSTUDIO山口 ブログ

【スタッフブログ】
#19『音にもこだわってみる?』

2021-07-11

トレーナーのヒラヤマと申します。
簡単に自己紹介すると、かれこれ20年くらいの間フリーランスという立場で、ウェブ制作を中心にDTPや映像や写真などいろんなことをやっています。


さて、今年の3月からSTUDIO山口でも「動画編集・ネット動画クリエイター専攻」コースが開講されました。かく言う僕は「Webデザイン・Webデザイナー専攻」コースとの兼任でトレーナーを担当しているわけですが、今回は主に動画コースに関係するお話です。

映像も大事だけど音も大事よ

当たり前っちゃ当たり前なんですけど、ほとんどの「動画」というものには何かしらの「音声」が付随していますよね。
目に見える映像部分のクオリティも大事なんですけど、耳に聞こえる音声、例えば声や音楽や効果音、それぞれの音量や音質、そしてノイズの有無なども動画のクオリティに大きく左右するんです。そんなわけで動画制作にこだわるならば、音にもこだわらないとせっかく作った動画の魅力が半減してしまうことになってしまいます。


ではそのためにどうすればいいのか。
一番手っ取り早いのはモニター用と呼ばれるヘッドフォンやスピーカーを利用して音声をしっかりチェックすることじゃないかなと思います。

モニター用ヘッドフォン・スピーカーってなに?

一般的に家電量販店などで売られているヘッドフォンやスピーカーはだいたいにおいて「リスニング用」と分類されています。 リスニング用、つまり「音楽を楽しむこと」が一番の目的となっているのです。そのために低音を強調したり耳当たりが良くなるように音質が調整されています。日本では一般的に「ドンシャリ」と呼ばれる低音と高音を強調した迫力ある音作りが好まれる傾向にあります。


それに対して「モニター用」と呼ばれるものは、なるべく原音を忠実に再生するように作られており、低音から高音まで味付けなくフラットな特性を持ち、音量や定位、エフェクトのかかり具合などを正確に把握できるように設計されています。
レコーディングスタジオのミキサーコンソールの周りに置かれていたり、ミュージシャンやレコーディングエンジニアの人が使っているアレ、と言えばなんとなく想像できるのではないでしょうか?
音楽制作現場で主に使われていますが、もちろん動画制作の現場でも使われています。

絶対に必要なの?

絶対に必要なわけではありません。特に学習を始めたばかりの人はまずPremiere ProやAfter Effectsの操作に慣れることの方が大事だと思います。そこからさらに一歩踏み込み、高いクオリティを求め始めた段階で初めて「音声」の重要性やそのための機材が必要なことに気づいていくのではないかなと個人的には思っています。


なので自分が必要だと思ってから購入を考えても全然遅くないと思いますよ。

なにを買えば良いの?

ミュージシャンやレコーディングエンジニアの友達がいたらその人に相談してください、っていうのが自分ではベストな回答だと思ってるんですけど、それじゃあまりにも不親切な気もするので僕にできうる限りの回答を考えます。


その前にまず注意点としては「モニター用」のヘッドフォンやスピーカーを長時間使っていると、人によってはすごく疲れたり耳の奥が痛くなったりする場合があります。これは機材が音声を「楽しむ」ために作られているわけではなく、あくまで「確認」するために作られているから起きる現象です。このことについてはあらかじめ頭に入れておいた方が良いと思います。


そしてヘッドフォンにしてもスピーカーにしても値段もサイズも本当にピンキリです。
特にスピーカーはノートパソコンの横にちょこんと置けるサイズから一般家庭では持て余してしまうようなサイズまで本当に多種多様な製品が存在し、アンプ内蔵の「アクティブスピーカー」とか「パワードモニター」と呼ばれるものとアンプ非搭載の「パッシブスピーカー」などと呼ばれるものがあります。
一般的にはスピーカーはサイズが大きくなればなるほど低音がしっかり出るようになり音質が良くなる傾向がありますが、その分値段も高くなることが多いです。とはいえノートパソコンの横に置けるサイズでも詳しくない人が聞いたらビックリするような値段のものもあるので一概には言えなかったりします。


なんて御託を並べてたらそろそろ「結局どうなのよ?」って声が聞こえてきそうなので、僕なりの回答を出しますね。


まずヘッドフォンに関して。
1万円以下のものでも結構良いものがたくさんあります。メーカーで言うとSONY、AKG、Sennheiser、オーディオテクニカ辺りが人気だしユーザーも多いです。お財布と相談しつつ、実機で試聴して音質や装着感、頭の締め付け具合を確認してから購入すると良いかなと思います。


そしてスピーカーについて、これは置き場所が確保できるサイズを選ぶことが重要だと思います。
スピーカーは置き場所や置き方、壁との距離などによって同じ製品でも鳴り方がずいぶん変わってしまったりするので、まず自分の環境で置ける場所とサイズの上限を測った上で選ばないと大変な目にあうかもしれません。
それとアンプ内蔵の「アクティブスピーカー」を選んだ方が良いと思います。
初期費用を抑えられることがメリットですし、アンプとスピーカーの相性を考えなくて良いことがかなり重要な要素です。
値段は最初に買うならペアで3万円以下のもので充分すぎるくらい充分なんじゃないかなと個人的には思っていて、メーカーで言うと、YAMAHA、JBL、FOSTEX、MACKIE、IK MULTIMEDIA辺りを選んでおけば間違いはないと思います。メーカーや機種によって音の傾向があるのでできるだけ実機で確認することをお勧めします。

参考までに僕の機材を

スピーカー


ヘッドフォンはSONY MDR-7506、スピーカーはJBL 104-Y3、これらとiMacを接続するためにオーディオインターフェイスのBehringer UMC204HDを使っています。


どれも1万円台で買える機材ばかりでコストパフォーマンス重視な選び方をしてます。
それぞれの機材を解説すると、ヘッドフォンは通称「赤帯」と呼ばれるSONYのMDR-CD900STという機種が日本のプロのスタジオでスタンダードだったりするんですけど(YouTubeで人気の「THE FIRST TAKE」シリーズでミュージシャンがこぞってつけてるアレです)、僕は音質の好みから通称「青帯」と呼ばれるMDR-7506を選んで使っています。こちら方が海外でスタンダードだったりするのと、宇多田ヒカルさんがプライベートで使用している姿がテレビで放映されたことで一時期話題になったりもした機種でもあります。


次にスピーカーのJBL 104-Y3についてですが、低音から高音まで素直に鳴って、癖がない音色と定位がわりとしっかりしていること、小音量でもバランスがさほど崩れないところが気に入っています。
弱点がいくつかあるんですけど、値段を考えれば充分すぎる性能だと思います。


最後にオーディオインターフェイスのBehringer UMC204HD(写真の左下に映ってるツマミがたくさんついてる機材です)についてですが、PC内で処理するためのデジタル信号と音声出力や入力のためのアナログ信号を変換するための機材で、iMacとUSBで接続し、この機材からスピーカーやヘッドフォンに音声信号が流れるようにしています。
なくても良いっちゃ良いんですけど、なるべく音質を向上させたいのと、今後やってみたいことへの拡張性を考えて使用しています。
またヘッドフォンを使う時にiMac本体の端子やスピーカーの端子を使うよりもこの機材の端子を使う方がホワイトノイズが少ないので、細かなノイズチェックをするときに重宝しています。

最後に

もしこの記事で興味を持ったら、まずはモニターヘッドフォンを探してみると良いんじゃないでしょうか?
ググれば情報がたくさん出てきますし、価格も手軽なものがあるしデザインも様々なので選ぶ楽しさもあると思います。好きなミュージシャンと同じものをなんて選び方をすればテンションが上がるかもしれませんね。


最後にもう一度繰り返しますが、今回ここに書いたことは絶対に必要というわけではありません。
学習されるみなさんが将来必要性を感じたときのために役立つ情報を、というこころ持ちで書きました。
高度な内容に感じられて面食らった方がいるかもしれませんが、機材選びのガイドラインのひとつと軽く思っていただければ充分だと思います。

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