地元の現状を変えたい
当時、デジタルやクリエイティブを勉強する環境が長崎県内に無く、行政も大学や教育機関を誘致する力がない現状を変えたいという思いでした。デジタルハリウッドSTUDIOの存在を知ったとき、この形であれば企業でも頑張って地域で学びを提供する事ができるようになる、これはやるしかないと思いました。デジタルやクリエイティブを学ぶには県外に出るしかない、長崎はそういう人達がたくさんいる街というのが大前提になっていました。ましてや私は対馬で育ってきたので、高校を卒業すると島を出るしかない離島の現実を見てきました。「あのときこんな場所があったら良かったのに、こんな場所があれば島に戻るという決断もできたのではないか?」とも思うようになりました。その頃から対馬と出島の2拠点でSTUDIO事業をやりたいという思いが明確になりました。
あえて対馬から
県の中心である長崎から開校するのがセオリーですし、弊社創業の地ということもあり、最初は長崎から出店することを検討していました。2013年頃のことですが、当時はまだ準備が整っていない事もあり出店については保留になっていました。一方対馬ではケーブルテレビ事業を展開しており、すべての世帯にネットワークやメディアを揃えています。あとは教材とコンテンツが提供できればできると思っていましたし、対馬のほうが弊社の事業規模も大きかったので、それであれば対馬から始めてしまおう!ということになりました。ネット環境とツールがあればどこでも仕事や勉強ができる世の中です。社名をコミュニティメディアというワードにしているのも、「離島や僻地であっても環境さえあればビジネスができる!」というのをコンセプトにしているゆえです。それを体現している意味でも、出島ではなく対馬から開校したのは象徴的なことであり、いい決断をしたと自負しています。
地域の変化を実感、さらなる事業展開へ
以前は、お子さんがらっしゃる主婦にとって、仕事といえば対馬ではパートタイムしかなく、島で子育てをして終わってしまうのが普通でした。そんな主婦のうち、STUDIOに通って努力をした結果、子育てをしながらクリエイティブな仕事を請け負い、さらにはSTUDIOでトレーナーとして稼働してくれている、そんな卒業生も出始めました。
確実に人生が変わっている、そういう方が何人も対馬と出島で出ているというのが実感です。「なぜ対馬にこういうもの(STUDIO)があるんだ?」という驚きとともに、ここでフィールドワークをしたいとか、移住をしたいという声が明らかに出てきています。
そうなってくると在校生、卒業生、関連業界の人たちが集える場所も必要になってきますし、コワーキング事業にも波及効果がでてきます。初期段階からSTUDIOで学んで仕事ができるスキルを身につけた後に、仕事ができる環境・人脈形成と情報交換の場まで提供するため、STUDIO出島・対馬ともにコワーキングスペースを併設していましたが、思っていた通りの流れになっています。
私自身、常にチャレンジして新しい事を先に開拓しておかないと、すぐに陳腐化したり、大きい会社に追い抜かれたり吸収されてしまうという危機感をもっており、積極的に外部の研究機関や大学と新しい事に取り組んでいます。
これからも、地域に学びを、就業機会を、有意義な場を提供し続けるとともに、私自身チャレンジを続けていきたいですね。
※直近のコミュニテメディア社の取り組み例
・クリエイターズユニット Limáni(リマニ)
・海洋デジタルツイン


未来のオーナーへ
この事業は、どこの地域でもチャンスがあります。その地域に住んでいて、これからも住み続けたい、その時に何を仕事にして地域に残るのか?あるいは移住したいと思っている人が移住後に何をして生計を立てるのか?
デジタルハリウッドのカリキュラムで身につけたスキルは必ず役に立つと思います。
STUDIOのモデルは都市部にあればいいというものではないと考えています。どの地域にも人生を変えたいと思っている人はいます。あとは市場に合わせてうまくシナジーを組み立てれば、毎年何百人という入学者を獲得するモデルとは異なり、地域と密着した仕事作りができると思います。
終わりに

オーナーの情熱と地域への愛情が溢れるインタビューでした。デジタルハリウッドは、単なる教育機関ではなく、地域の未来を切り拓く力を持っています。これからの展開にも大いに期待が寄せられます。