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新薬開発の流れー開発にかかる費用と時間、4つのステップ

業界のきほん

更新日:2023.5.26

「病気に効果がある」かつ「安全」な新薬の開発には、多くの手順をクリアする必要があります。 この記事では、その新薬開発全体の主な流れをご紹介します。

1新薬開発の時間・金額・成功率
実はハイリスクな新薬開発
先生 先生

さて、ブンさんは新しい医薬品を開発するためにどれぐらいの時間とお金がかか ると思いますか?

うーん…コロナのワクチン開発ニュースを思い出すと、開発期間は2年。 薬はなんとなく高そうだから、10億円かなあ?

ブンという名前の就活生 ブン
先生 先生

残念!実は、コロナワクチンのケースは異例中の異例。 通常は、新薬開発に長くて約17年、金額はなんと約500億円がかかるんです。

一般的に新薬開発かかる金額は約500億円、時間は約9~17年と言われています。しかし、それだけ莫大な費用と時間を費やしても、開発の成功率は約22,000分の1しありません。

製薬企業は国際的な市場競争の中で、リスクを抱えながら新薬を開発し続けています。
薬のアイコンPOINT:数字で見る新薬開発
新薬開発には約500億円と9~17年かかる一方で、成功率は20,000分の1
新薬に求められる2つのポイント

でも一体何に、沢山のお金と時間を使っているんだろう?

ブンという名前の就活生 ブン
先生 先生

それは、皆が新薬に望んでいる2つのポイントをクリアするためです。

薬のアイコンPOINT:新薬の重要なポイント2つ
① 病気に効果があること
② 安全であること
医薬品を服用する目的は、体の不調を治すためなので、当然「① 病気に効果があること」が求められ ています。しかし、それと同じくらい、「② 安全であること」も求められているのです。
先生 先生

医薬品は病気を治すいい面もあれば、副作用という負の面も兼ね備えています。 抗がん剤による脱毛症状も副作用の一種ですね。

場合によっては命に係わる医薬品の副作用。開発の段階で危険と判断された基礎物質は医薬品の候補から除外されます。

医薬品による事故を防ぐためにも、長い年月と多額の金額を持って新薬が開発されています。
2新薬開発の一連の流れ

実際に、新薬開発では何をしているんだろう?

ブンという名前の就活生 ブン
先生 先生

一般的には、これから紹介する4つのステップを踏みます。

薬のアイコンPOINT:開発の4ステップ
新薬開発の4ステップは、①基礎研究、②非臨床試験、③臨床試験、④承認申請と審査
まずは新薬の基になりそうな物質を見つけ出すための「基礎研究」、物質の効果と安全性を確認するための「非臨床試験」と「臨床試験」、そして厚生労働省へ申請し行われる「審査」の4段階です。

特に人体に対する効果を調べる 「臨床試験」では、企業だけにとどまらず病院や一般の方の協力が必要となり、もっとも時間のかかる割合が大きいステップです。
34ステップの解説

ここでは、各4ステップで具体的に何をしているのか、少し掘り下げて紹介します。

3-1ステップ① 基礎研究
まずは、 医薬品の基になりそうな基礎物質を探し出すことから新薬開発は始まります。天然素材から見つけ出したり、時には物質同士を合成させたりと、様々な科学技術が用いられます。

その後、 候補に挙がった基礎物質をさらにふるいにかけて、どれが次のステップに進むのか調べていきます。
新薬になりそうな基礎物質を考える研究者のイラスト
薬のアイコンPOINT:基礎研究まとめ
・基礎物質を見つける
・挙がった候補をふるいにかける
ステップ② 非臨床試験
基礎研究で見つけ出された 基礎物質の効果と安全性を調べるために、まずは人体ではなく細胞や動物を用いて試験を行います。

また、体内動態と呼ばれる基礎物質が体でどのように「吸収・分布・代謝・排泄」されていくのか調べる試験を行うこともあります。
非臨床試験に使用される細胞とラットのイラスト
薬のアイコンPOINT:非臨床試験まとめ
・まずは、細胞や動物で基礎物質の効果と安全性を調べる
ステップ③ 臨床試験
非臨床試験をクリアした基礎物質は、実際に人体にどのような影響があるのか確かめるために臨床試験を行います。ここではさらに3ステップに分け、病院と一般の方に協力してもらいながら進めていきます。

「第1相試験」では少数の健康な人に、「第2相試験」では少数の患者さんに、「第3相試験」では大勢の患者さんにと、段階を踏んで効果と安全性を調べてます。
患者が治験役を服用するイラスト
薬のアイコンPOINT:臨床試験まとめ
・人体への影響を調べる
・第1相試験から第3相試験と、段階を踏んで調べられる
ステップ④ 承認申請と審査
調べた物質を新薬として販売することを国に認めてもらうために、臨床試験までに集められたデータをまとめ、厚生労働省へ届けを出します。

そこで学識経験者による「薬事・食品衛生審議会」と呼ばれる審査が行われ、突破するとようやく製薬企業は開発した新薬を必要としている患者さんのもとへ届けることができます。
治験等で纏めた新薬のデータを厚生労働省に提出するイラスト
POINT:承認申請と審査まとめ
・新薬販売のためには国の審査が必要
・試験のデータをもとに、「薬事・食品衛生審議会」で審査される
4まとめ
医薬品には、きちんと病気に効果があることに加え、安全であることが強く求められます。効果と安全性をクリアするために、莫大な金額と時間をかけながら、4つのステップと突破する必要があるのです。
先生
先生

実は、文系も新薬開発に関わる職種があります。下記の記事で紹介している ので、是非チェックしてみてくださいね!
リンクのアイコンCRAのお仕事とは?ー新薬開発を支える、文系の職種

ファイルのアイコン 新薬開発 安全性
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筆者の顔写真

記事を書いた人:前川茉由

製薬・医療系会社での新卒採用担当としての経験を基に、就活生に向けて業界情報を発信している。特に、文系から製薬業界を目指す学生が良い就活をするために知っておいてほしい情報を、採用担当者目線で紹介する。

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