デジタルハリウッド(専門スクール)

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世界が注目する落合陽一の考え。これまでの「標準」をどう壊す?

2017.07.26

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本稿はデジタルハリウッドが主催する特別授業『EAT creative program』の内容をカルチャーニュースサイトCINRA.NETがレポートした内容を転載したものです。

 

1000年以上も前の発想を参照する、最先端メディアアーティスト

1987年生まれ、弱冠29歳にして筑波大で学長補佐も勤めている。研究者でありながら、起業家、メディアアーティストとしてもいくつもの顔をもち活躍する落合陽一は、いま、最も熱い視線が注がれる人物だろう。「デジタルネイチャー」をコンセプトに、さまざまな活動を展開する彼への注目は、日増しに高まるばかりだ。

 

そんな落合が、自身も客員教授を務めているデジタルハリウッド主催の連続講義『EAT creative program』に登場。意外なことに、時代の最先端をひた走るメディアアーティストは、その冒頭から、奈良時代に日本に伝えられた仏教の宗派「華厳宗」について話し始めた。

EAT creative program講義の様子

落合 :これまでの社会では、自然を観察し、人が理論化=抽象化した事物の関係性を記述することによって問題の解決がなされてきました。しかしこれからの時代、特徴量を人がコーディングしない機械学習、例えばディープラーニングなどによる解決の過程は人間には理解できず、抽象論の前に解決がやってきます。それは、あたかも華厳宗で語られている「理事無碍」と「事事無碍」のようなものでしょう。

 

理事無碍とは「理性と現象とが無碍(邪魔するものがない)なる関係」であり、事事無碍とは「現象の個物と個物とが融通する」(『華厳の思想』講談社学術文庫・鎌田茂雄著)こと。これまでは、人間の「理」によって「物」が生み出されてきたが、ディープラーニングを前提とした世界では、常に結果である「物」が先立ち、人間の「理」ではなく「物」と「物」との関係性によって世界が進んでいく……。

大量生産の時代が作った画一的なマインドから、多様性のある時代への転換

「デジタルネイチャー」時代のクリエイター・落合陽一は、決して未来ばかりを見つめているわけではない。彼は、これからの時代を見据えるために、1000年以上も前の発想を参照している。20世紀を「映像の世紀」と定義する落合にとって、「魔法の世紀」である21世紀を生み出すための前提として必要なのが、そんな前近代的な発想だった。では、なぜ「映像の世紀」からの転換が図られなければならないのだろうか? 落合によれば、エジソンやフォードに象徴される20世紀近代社会は、大量生産・大量消費を是としながら、画一的な商品や均一な生産を人々に強いてきたという。

 

落合 :「映像の世紀」では、「標準的」であることが優先され、ダイバーシティ(多様性)がとても低かった。いま、スクリーンに当たった映像を見ているからみんなが同じ方向を向かなきゃいけないですよね。でも、僕のプロジェクトで作った「フェアリーライツ」のように、空気を直接光らせる3次元ディスプレイが進化するか、全員が透過型のヘッドマウントディスプレイを装着する世界がくれば、どこにでも光を投射することができる。一人ひとりが、違う言語で見てもいいし、違う字幕が出てもいい。それによって、光に関するダイバーシティが上がるんです。このように、「一人ひとり違うことをしていてもいい」という世界にしていきたいという想いが僕の発想の根本にあります。音も光もそういうツールとして更新していかなくてはならない。そのために原著論文を国際会議で発表するところから、自分で起業して販売するところまでやり切らなくてはならない。

 

左から:落合陽一、杉山知之(デジタルハリウッド学長)

 

活動の中心は「これまで標準とされてきたものを、どのように壊していくか」

では、ダイバーシティが上がった「魔法の世紀」において、人々はどんな未来を手に入れられるのだろうか? 落合は、その一つの例として「障碍(障害)が障碍ではなくなる」という社会の姿を提示する。

 

落合 :20世紀の大量生産社会では、人間に対してもまた「標準化」という発想を強いてきた。だから、「健常」という標準に対する「障碍」が生まれ、「異性愛」という標準に対して「LGBT」はマイノリティーとなる。けれども、「標準」がなくなれば、障碍もLGBTもただ「そういう人」として認められます。僕らが今取り組んでいる活動の中心にあるのが、これまで標準とされてきたものを、どのように壊していくのかなんです。そしてそれを「パラメータ」として受容できるようにしていくか。

 

特に、これから高齢化社会を迎える日本社会において、目が見えない、耳が聞こえない、歩けないといった「ダイバーシティ」に対応していくことは急務となっていくはずだ。標準を追うのではなく、標準を打ち壊し、ダイバーシティを手に入れることこそが、「魔法の世紀」におけるクリエイターの果たすべき役割なのだ。落合が、講義の中で引用したあるアニメ作品のセリフは、その意味でとても示唆的だろう。

 

落合 :僕、幾原邦彦監督のファンなんですけど、アニメ『輪るピングドラム』に「世界は幾つもの箱だよ。人は体を折り曲げて、自分の箱に入るんだ。ずっと一生そのまま。(中略)だからさ、僕は箱から出るんだ」というセリフがあります。いますべきことは、標準化という「箱」を壊していくことなんです。かつては、根性論によって「箱」を壊していましたが、今はテクノロジーの力によって、「箱」を壊していくことができる時代に突入しているんです。

 

わずか1時間の講義の中で、参加者の頭がパンクしそうなほど濃密過ぎる内容をまくし立てた落合。いったい、その眼にはどんな世界が見えているのだろうか……。参加者からの質疑応答の時間には、自身の失敗経験談から、情報の収集、人間と動物の知性の違い、明治時代に生み出された近代語の問題、5次元の可視化などなどなどなど……、ありとあらゆる質問も、次々と溢れ出す発想で解答を行っていった。

 

華厳宗から『輪るピングドラム』まで、時代もジャンルも横断して語られる彼の「魔法」を、多くのEAT受講者は目を輝かせながら見つめる。彼のような天才に出会い、その話に耳を傾けることができたことは、これからの長いクリエイターとしての活動にとって、必ず糧となることだろう。

 

『EAT creative program』の次回講師は、脳科学者の茂木健一郎。脳から世界を見る茂木が語るクリエイティブとは、いったいどのようなものだろうか?

 

 

 

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